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【日本NI】インダストリアルIoTで進化する「状態監視」 エッジコンピューティングが実現のカギに

ナショナルインスツルメンツ(NI)が提供する「状態監視ソリューション」が、インダストリアルIoT(Internet of Things)の実践に取り組む技術者の注目を集めている。保守管理にかかるコストや手間を大幅に削減できることから様々な分野で導入の動きが進んでいる状態監視。その仕組みを実現するうえでカギとなる「エッジコンピューティング」のための、効率的かつ合理的なプラットフォームを提供するからだ。

 あらゆるモノがインターネットにつながった環境を指すIoT。リアルな世界と仮想空間(コンピュータ)が連動する「サイバーフィジカルシステム(CPS:Cyber Physical System)」を実現し、それをベースにした新しいアプリケーションをもたらす可能性を秘めている。中でも幅広い分野で多くの関心を集めているのが、リアルな世界から収集した膨大なデータから抽出した有意義な情報を基に、既存のシステムの効率化や最適化を従来よりも格段に高いレベルで進める、いわゆる「ビッグアナログデータ」の活用である。すでに、実践導入に乗り出す動きも様々な分野で始まっている。その中で産業用分野において実用化に向けた動きが最も進んでいるアプリケーションの1つが「オンライン状態監視」である(図1)。

図1 インダストリアルIoTの代表アプリケーションであるオンライン状態監視
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 オンライン状態監視とは、発電機やポンプなどの回転機械をはじめ、定期的なメンテナンスが必要な様々な産業用システムの動作状態をオンラインで遠隔監視する技術である。単純に機械の動作状態をモニタリングするだけでなく、リアルタイムで収集したデータを解析することで故障の予兆を検出。故障に至る前にメンテナンスを施す、いわゆる「予知保全」を可能にする。予知保全は、機械の管理者や、機械を使って事業を展開する企業や組織に大きな利点をもたらす(図2)。例えば、予知保全によって、予期していない故障を防止することができれば、工場などの設備の稼動率を高めることができる。メンテナンスのタイミングを最適化することで、保守保全にかかるコストや時間を削減することも可能になる。つまり、従来は見込みや経験を基にタイミングを計って部品交換していた。この場合、故障に至る事態を回避するためにメンテナンスのタイミングは、どうしても早めになる。これに対して、機器から収集したデータを基に故障の予兆を検出することができれば部品交換の間隔を最大限に延ばせる可能性がある。

図2 タイミングを最適化することでメンテナンス・コストを削減
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データを活用する工夫が不可欠

 こうした状態監視の仕組みを実現するうえで大きな課題の1つが、収集した膨大なデータを十分に活用できる仕組みを実現することだ。「実は現場から収集したデータのうち活用されているのは、全体の5%にすぎないと言われています」(日本ナショナルインスツルメンツ マーケティング部 シニアテクニカルマーケティングマネージャ 岡田一成氏)。集めたデータが活用できなければ状態監視において十分な精度が確保できない。しかも、このままではセンシング技術の進歩とともに、状況がもっと悪化する可能性がある。「データが爆発的に増えるからです。分析用に整理されていない非構造化データだけが膨れあがる可能性があります」(岡田氏)(図3)。

図3 IoTの普及で爆発的に増えるデータ
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図4 莫大なデータを処理しきれないセンサ+クラウド
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 では、95%ものデータが活用されずに眠ってしまう原因はどこにあるのだろうか。「原因は、IoTの仕組みの中で、データを収集する末端の部分に当たるエッジノードにあります」(岡田氏)。現状では、センサーが出力した生データをそのまま収集するシステムが多い(図4)。このため、分析用に整理されていない非構造化データが、どうしても増えてしまう。「構造化された有意義なデータを集めるには、各種センサ間での同期計測や、重要データ取得のための演算などが必要です」(岡田氏)。さらに精度の高い状態監視を実現するために、収集するデータの精度を高める必要もある。「状態監視を実現するために、エッジノードにおいて計測器並みの精度でデータを取得できる機能が求められるようになっています」(岡田氏)。これらの問題を解決する有力なソリューションの1つとして注目を集めているのが、ナショナルインスツルメンツの状態監視ソリューションである。

カギはエッジコンピューティング

 同社のソリューションは、いわゆる「エッジコンピューティング」の環境を構築するためのプラットフォームを提供する。「爆発的に増えるデータを活用するためには、センサーに近いエッジノードで、クラウド側で解析しやすい構造化データに変換するのが合理的です。これによって活用されるデータの割合は飛躍的に伸びるでしょう」(岡田氏)(図5)。

図5 「エッジコンピューティング」の概念
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  同社が状態監視ソリューションとして提供しているのは、時系列データやその解析結果をグラフなどの分かりやすい形で表示したり、解析機能やデータ収集装置のコンフィギュレーションなどを統合管理したりする機能を提供する各種ソフトウエアと、データ収集システムを構築するためのモジュール式ハードウエア群である。ハードウエア群は、組み込みコントローラとFPGAを搭載したシャーシに、様々なI/Oモジュールを装着することで、用途に応じたデータ収集ハードウエアを自由に構築できる。しかも、I/Oモジュールは、200種類以上が用意されている。「I/Oモジュールは計測用に設計されているので、高精度のデータを取得することができます。組み込みコントローラに、用途に応じたアプリケーションを実装することで様々なデータ処理が可能です」(岡田氏)(図6)。

図6 200種類以上のI/Oモジュールを提供
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  つまり、計測器と同等の高精度データを取得し、さらにエッジノードで処理して有意義なデータに変換するシステムが効率良く実現できるわけだ。「最近では、サーモグラフィなど画像データとして情報を出力するセンサー(計測器)が増えています。こうした高度なデータを、他のデータと同期を取りながら蓄積するシステムも簡単に構築することができます」(岡田氏)。さらに、もう一つ見逃せない特長は、柔軟性と拡張性を備えたソリューションなので、将来にわたってシステムを進化させることができることだ。

各地に展開する発電所をモニタリング

 こうしたNIの状態監視ソリューションは、すでに実際の現場で活躍している。その一例が、米国最大の発電容量を誇る電力会社Duke Energy社である(図7)。同社はNIが提供する状態監視ソリューションをベースに開発したシステムで、各地に展開する火力発電所を一括してモニタリングしている。同社が、同ソリューションを採用した大きな理由の1つは、サーモグラフィーと各種センサを用いた総合計測システムを構築したかったからだ。さらにオイル分析センサーとして、高周波信号計測が必要となる特殊なデバイスを採用予定だった。こうした要求に、PLCなど既存のFA(Factory Automation)/PA(Process Automation)機器では対応できなかった。さらに複数のセンシングデバイスを同時に扱うシステムを合理的に実現できる点や、将来にわたって進化させることができる点も高く評価されたと言う。

図7 各地の火力発電所を統合監視
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 このほか米General Electric社が提唱したIndustrial Internetの普及推進団体Industrial Internet Consortiumが進めている実証実験プロジェクト「Testbed」の中でもNIのソリューションをベースに状態監視/予知保全の技術を検討する取り組みが進行中だ。

 IoTは様々な革新的アプリケーションを多くの分野をもたらすことが期待されている。実用化に向けた動きが進むにつれて、IoTの利点を最大限に生かした状態監視システムを効率良く実現できるNIのソリューションに対する関心は、ますます多くの分野に広がるに違いない。

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