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オン・セミコンダクター

様々な分野で実装が進んでいるIoT(モノのインターネット)。オン・セミコンダクターは「新・産業革命のカギを握るエッジデバイスは『Internet of "very different" Things』の時代へ」と題して講演を行った。IoTの現状や課題を分析しつつ、同社の強みであるイメージセンサーやコネクティビティ関連製品の戦略を語った。

堀内 伸郎氏
オン・セミコンダクター
シニア・コーポレート・マーケティングマネージャー

 オン・セミコンダクターはモトローラの半導体部門から分離・独立した半導体ベンダーである。全世界で2万3000名の従業員を抱え、2014年の売上高は32億ドルある。2011年に旧三洋半導体を傘下に入れた関係で、日本国内にも開発拠点や製造拠点を持っている。

 同社の半導体製品は、オートモーティブ、コンピューティング、コンシューマ、コミュニケーション、産業・医療・防衛・航空といった分野において、パワー制御・管理やコネクティビティ関連のディスクリート、IC、SoC、モジュールやイメージセンサーなどが売り上げの主流になっている。特にオートモーティブ向けや産業機器向けのイメージセンサーでは業界トップクラスにあるという。

産業用イメージセンサーに強み

 オン・セミコンダクターの堀内伸郎氏はこのように同社の版図を示しつつ、IoT(Internet of Things)市場について次のように述べた。

 「すでにIoTはバズワード(流行語)のフェーズではなく、実際に具現化するフェーズに突入している。一方、IoTの市場機会は多いかもしれないが、定義がばらばらで、しかも極めて多数のアプリケーション(用途)に細分化されている。それゆえに全体像がつかみにくくなっている」。この状況をたくさんの違いがあるという意味を込めて「Internet of “very different” Things」と表現した。同社が捉えるIoT市場に対する取り組みが如実に表れている。

 多岐に渡るIoTの用途のうち、同社では、ADAS(先進運転支援システム)などのオートモーティブ、患者モニターやドラッグデリバリなどのモバイルヘルス、スマートフォンやウエアラブルなどのワイヤレス、そしてインダストリアルIoTの4分野に注力しているという。

 同社が得意とするイメージセンサーはこれらの分野で多くの製品用途を抱えている(図1)。

図1●産業機器向けイメージセンサーを幅広くラインアップ
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 ハイエンド向けの高性能CMOS/CCDを使ったイメージセンサーは、ファクトリーオートメーションやロボットの視覚といった「マシンビジョン」、空中査察や高度道路交通システムなど向け高感度カメラの「ハイエンド・サーベイランス」、デジタルX線写真などの「医療機器」、他にも宇宙探査や映画撮影などにも用途がある。

 一方、ローエンドのCMOSを使ったイメージセンサーは、メインストリームになるものだ。バーコードリーダーやPOSターミナルといった「スキャン装置」、ホームセキュリティ用のWebカメラやCCTVといった「監視カメラ」、照明施設や白物家電などのIoT用の「スマートホーム」、そのほかATMの貨幣照合などのセンサーにも使われている。ローエンドの用途は今後の成長が見込まれるため、ローコストで高画質要求に対応していくために、画像処理の専業ベンダーとの協業も進めているという。

 セキュリティおよびサーベイランスに関しては数年前から市場の急成長が見られており、同社が強みとするイメージセンサーのほか、カメラをパン/チルト/ズームさせるための駆動モータードライバーや、パワーマネジメント製品およびアナログ製品を展開し、市場のニーズに応えていく考えだ。

 スマートビルおよびスマートホームに関しては、環境(温度・湿度)や人の出入りを検出するセンサーデバイスに加え、それらデータを上位に転送するコネクティビティ(ネットワーク)が重要との認識を示した。有線では住宅やビルなどの制御プロトコル「KNX」や商用電力線を利用するプロトコル「PLC」などに向けた製品に注力しているほか、ワイヤレスでは近距離無線規格「ZigBee」などに注力しているという。

IoT向けコネクティビティを強化

 イメージセンサーと並び同社がIoT分野で注力しているのが、コネクティビティ関連製品である。

 IoTでは、センサーで収集したデータは、上位のインターネットに送信される。そこでは特に、無線ならではの設置性の良さを生かして、ワイヤレスコネクティビティのソリューションが期待されている。講演では、このソリューションについても紹介した(図2)。

図2●ワイヤレスコネクティビティのソリューション
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 同社が2014年11月に発表した「NCS3651x」はIEEE 802.15.4-2006に準拠した低消費電力の2.4GHz帯ワイヤレストランシーバーである。単一のPHYおよびMACのレイヤー上に複数のソフトウエアスタックを載せられるのが特徴で、ZigBee PRO、6LoWPAN、WirelessHART、Threadなどのプロトコルに対応できる。

 「NCS36510」はプロトコル制御用にARM Cortex-M3プロセッサを内蔵。暗号化エンジンや乱数生成回路も搭載する。最低1.0Vまでの低電圧での動作が可能なほか、「送信時の消費電力を競合製品の1/3程度に抑えた」(堀内氏)ことで、電池やエナジーハーベスティング(環境発電)での動作にも対応できる。

 電力の消費状況などをモニターするスマートメーターの用途、セキュリティ・照明・サーモスタットなど高度に細分化されたホームオートメーションの用途、そしてさらにHVAC(冷暖房空調設備)なども包括したビル全体をモニター・コントロールするビルディング・オートメーションの用途と、様々なアプリケーション(用途)を提案していく。

 また、IoT向け専用ネットワークのSigfoxなどを含む新しいウルトラナローバンド向けサブギガ帯(900MHz帯)のコネクティビティについては、2015年8月に買収したスイスAXSEM社のRFソリューションで対応していく考えだ。

 なお同社は、コネクティビティを含む業界の様々な標準化活動に参画し、規格の策定や普及にも努めているという。

 また、堀内氏はIoTのセキュリティの重要性について触れ、「今後IoTのアプリケーションが拡大しエッジデバイスが増えると、予期しない侵入経路が生まれてしまう。様々な階層でセキュリティ対策を行うことで、Internet of “Secure” Thingsを構築していく必要がある」と、コネクティビティに関連する新たな課題を指摘した。

 最後に堀内氏は、イメージセンサーを中核に、コネクティビティやパワーマネージメント、モーターコントロールやマイクロコントローラなどの幅広いソリューションを、「Internet of very different Things」となっている多様なIoT向けに引き続き提案していくとともに、大量生産を扱ってきた同社の知見や経験を活用してIoT市場の急激な成長に対応していくと述べた。

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