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2015年をPLMを再考する年に

基調講演 Aras Corporation

Arasコミュニティをアップデート
2015年をPLMを再考する年に

「ACE 2015 Japan」の第1日、最初に米国Aras CorporationのCEOで創業者のピーター・シュローラ氏が登壇し、「Arasコミュニティのアップデートと将来の方向性」と題したキーノートスピーチを行った。その中で同氏は、「ReThink PLM(PLMを再考する)」をテーマに、エンジニアリングにおける課題とそれを解決するArasのPLMソリューションの特長について語った。

Aras Corporation
CEO&創業者
ピーター・シュローラ

 飛行機や自動車といったメカニカル製品は、もはやエレクトロニクスやソフトウエアなしには、動作させることができない。エンジンの稼働状況は常に各種センサーによってセンシングされ、ビッグデータとしてコンピューターに蓄積されている(図)。そのため、ソフトウエアを更新する際には、各製品に合致したものか否かをきちんと判断しなければならない。また、蓄積され続けるデータに関しても、パーツや部品表(BOM)の情報とつながっていなければ意味がない。製品のハードウエアとソフトウエアの整合性を正確に把握し、変更管理を行っていくことが求められているのだ。

●飛行機や自動車は、情報化が進み考慮すべき焦点が増え過ぎた
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複雑化する製造工程とその問題点

 このように、今や製造分野においては、ハードウエアからエレクトロニクス、ソフトウエア、マニュアル、IoTに至るまで、すべてを考慮した上で、製造業務に当たる必要性が高まってきている。

 「しかし、それは容易なことではない」とピーター・シュローラ氏は語る。実際のところ、製品開発においては、設計から製造に至るまで、その工程の多くを外注に頼っており、しかも国境をまたぐ。そのため、要件を正確に外注先に伝達し、連携を取っていくことが不可欠となるが、うまくいっているとは言い難い。加えて、毎年各国では、新たな規制やコンプライアンスが生まれており、迅速な対応が求められるが、システムの変更はそれに追いついていない。

 シュローラ氏の指摘は続く。企業では、製造工程や製造技術、製品に関する知識を、ベテランの技術者に頼っており、その技術者が退職してしまうと、技術や知識が途絶えるといった問題も抱えている。その結果、製品自体や製造プロセスが複雑化しているにも関わらず、適切な対応が取られていないことになる。主任技術者は、制御不能に陥っているのだ。

従来のPLMの課題と「Aras Innovator」の優位性

 このような製造業の現状に対し、ピーター・シュローラ氏は、「これらの課題解決の一翼を担うのが、PLM(Product Lifecycle Management)だ。しかし、現在のPLMには課題が多い」とし、その要因として、メカトロニクス、エレクトロニクス、ソフトウエアの3つの分野がそれぞれ独自に開発されているため、連携が難しいことを挙げた。それに対し、「我々が提供するPLMソリューションを使えば、主任技術者を支援することができる」と言及。そして”サイエンス オブ エンジニアリング”と”ビジネス オブ エンジニアリング”という2つのキーワードを紹介しながらその理由を語った。

 過去20年間、製品開発力を向上させるために3DCADやEDA、各シミュレーションツールなど多くのツールの導入が図られてきた。これらのツールへの投資により”製品仕様の定義”の効率化を実現することができた。これらの取り組みのことを”サイエンス オブ エンジニアリング”と呼び、エンジニアリングにおける論理的、技術的な検討の品質向上やスピードアップが実現した。しかし、エンジニアリングは論理的または技術的な検討だけではなく、技術的に検討されたコンテンツを製造技術や品質管理およびサプライヤーなど、様々な関連部門と情報共有して製品を形あるものにしていく必要がある。今日のエンジニアリング支援環境に欠けているのは、ものづくりに関わる人たちのビジネスプロセスの効率化を実現する情報共有基盤の整備をより進めていく必要がある。我々はこれを”ビジネス オブ エンジニアリング”と呼び、製品を具現化するために関わる関係者間の情報の共有化にも力を入れるべきだと考えている。

 これからのものづくり環境には、3DCADに代表されるツール等の”サイエンス オブ エンジニアリング”への投資と同時にものづくりのビジネスプロセスを効率化させる”ビジネス オブ エンジニアリング”の両輪が効率よく回るシステムインフラの整備が必要と考えており、Aras Innovatorを使えばメカトロニクス、エレクトロニクス、ソフトウエアの情報を一元管理した”ビジネス オブ エンジニアリング”環境を実現することが可能である。

 それに対し、同氏は、「Arasは、2015年を、従来のPLMを再考する年にしたい」と述べ、新たなPLMのあるべき姿として、次の2点を挙げた。1点目は、市場や環境の急速な変化に対応できる柔軟性の高いPLMであること。2点目は、すべての分野の人が誰でも簡単に理解でき、使いやすいユーザーインターフェースを備えていることだ。

 その点で、「Aras Innovator 11」は、メカトロニクス、エレクトロニクス、ソフトウエアのすべての担当者が、同じ言語で話ができるように設計されており、”サイエンス オブ エンジニアリング”、”ビジネス オブ エンジニアリング”も実現していると言及。また、素早い開発と実装が可能である点についても強調した。そして、「高いPLMのビジョンを実現する上で、素晴らしいプラットフォームになっている」と語った。

 最後に同氏は「Arasプロジェクトに着手しようと決心したのであれば、小さな問題への対処ではなく、ビジネス全体の問題を解決し、それによって会社を健全化するのだという考えを持つことが重要だ」と語り、さらに「PLMは複雑で、連携先が多岐にわたるため、1つの企業だけで実装するのは難しい。企業をまたいだコミュニケーションが非常に重要である」と述べて、キーノートスピーチを終えた。

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