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グローバルでBOMを一元管理

東洋電装

グローバルでBOMを一元管理
設計・生産改革に新システム導入

海外に5つの工場と5つのオフィスを構え、グローバルなビジネスを展開する東洋電装。同社が、海外のライバルメーカーに対する競争優位性を築くために、新たなPLMシステムを導入して、グローバル規模で設計・生産体制の改革に取り組んだ。開発本部技術管理室の坂本貴志氏が、改革の狙いや新システムの詳細を語った。

東洋電装株式会社
開発本部 技術管理室
坂本 貴志

 東洋電装はオートモービル、モーターサイクル、汎用品という3つの事業領域でエンジニアリング製品の製造・販売を手がけている。同社にとって、海外の地場メーカーに対する競争優位性を築くことが重要な課題となっていた。

 技術力の向上が著しい中国やインドのメーカーと競っていくためには、価格競争力を高めるのにとどまらず、顧客企業のニーズにきめ細かく対応することも求められる。「設計業務の効率化のみならず、生産領域も含めた業務効率化が不可欠と判断して、新たなシステムの導入を決断した」(坂本氏)。

工場ごとにBOMを管理する体制が効率化の障壁に

 世界中の自動車・二輪車メーカーや建機・農機メーカーに製品・部品を納入している同社では、同じカテゴリーの製品・部品でも膨大な数の派生機種を抱えていた。グローバル展開する車種向けでは、数百の派生機種が存在する。派生機種の多さが、同社の業務効率化の障壁となっていた。

 例えば、コストダウンのために製品・部品を構成する一部の部品を変更すると、その部品を流用している製品・部品の全ての版数を追従しなければならない。調べるだけでも大きな負担がかかる上に、抜けや漏れ、図面の誤記や出図遅れなどが発生するケースも少なくなかった。

 こうした問題が発生する背景には、それぞれの工場が独自にBOM(bill of material:部品表)を管理しているという事情があった。さらに、企画書や仕様書などのドキュメントを設計担当者が個別に管理し、必要な部門へ送付するという体制も業務の効率化を阻んでいた。

 そこで、新たに導入するシステムに対して次のような方向性を打ち出した。まずは、BOMを部門や個人ごとではなく、グローバルで一元管理することだ。これによって、開発と製造現場の連携が強化できる。ドキュメントも、必要な時に必要な人が必要な情報をすぐに入手できるように、電子データ化して一元管理する。さらに、設計変更に付随する事務工数を削減するために、ルーチン作業を自動化するという項目も盛り込んだ。

 システムの選定に当たっては、
(1)CADやPDMのバージョンアップなど他システムからの影響が少ないこと、
(2)環境変化に応じてユーザー側で容易にカスタマイズできること、
(3)グローバルでの使い勝手を考慮して、ウェブベースのシステムであること、
(4)自社の要望を十分に理解してくれる適切な開発パートナーを選ぶこと
――という条件を掲げた。

カスタマイズが容易なAras Innovatorを採用

 この結果、PLMシステムには、オープンソースでカスタマイズが容易なAras Innovatorを採用。開発パートナーには、自社の要望の真意を理解してくれるアルゴグラフィックスを選定した。2014年から本番環境の構築を手がけ、2015年3月から本番稼働を開始した。

 新システム「Te-BOM」は、グローバルで展開する多様な事業のBOMを一元的に管理することが大きな特徴(図)。製品・部品のコードを指定すると、ツリー状でBOMを表示する機能や、設計変更などの際に構成部品を指定すると影響を受ける製品・部品を一覧表示する機能を備える。BOMをExcelのデータとして生成する機能もある。CADやPDMと連携する機能も搭載。例えば、構成部品の変更などで製品・部品の版数を変更する際には、版数のコードや担当者名、日付などのデータを図面データに自動的に入力される。

●Aras Innovatorを採用し、多様な事業と業務の部品表を一元管理するシステム「Te-BOM」を開発
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 本番稼働当初は日本の設計部門から利用し、2015年6月からは海外を含めた開発拠点での利用を開始、8月末には全部門での立ち上げを完了した。既存のBOMデータやドキュメントの移行は完了していないが、「人間の曖昧な判断が入り込まないので、使い込んでいくうちにデータが奇麗に整っていく」(坂本氏)と期待している。