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機器の価値を高める高速SRAMと不揮発性SRAM、市場をリードするサイプレスが磐石の品揃え

高性能SRAMおよび不揮発性SRAMで市場をリードするサイプレス。プロセッサコアとアナログIPブロックを統合した「PSoC」や高性能なタッチパネルコントローラ「TrueTouch」などで有名な同社だが、実はSRAM分野ではおよそ25年もの実績を有する「老舗」ベンダーである。近年は電源をオフにしても内容を保持できる「nvSRAM」や強誘電体材料を使った「F-RAM」のポートフォリオも拡充。産業機器や車載からパーソナルなウェアラブルデバイスまで、幅広いニーズに応える。

吉田 真大 氏
日本サイプレス株式会社 メモリ製品部門 プロダクトマーケティングエンジニア シニアスタッフ

 高速なランダムアクセス性能やローパワーを特徴とするSRAMは、高い性能を要求されるネットワーク機器や通信インフラ機器、計測器、イメージングシステムのほか、産業機器やゲーム機など、幅広い分野で使われている。

 また、機器の電源をオフにしたときでもメモリの内容を保持し続ける不揮発性SRAM(ノンボラタイルSRAM)の需要も高く、スマートメーター、PLCやFA機器、IT機器やOA機器、自動車、ウェアラブルデバイスなど、やはりさまざまな分野で用いられている。

 こうしたSRAMおよび不揮発性SRAMの製品ポートフォリオを幅広く展開しているのがサイプレスである。「サイプレスはSRAM業界をリードしており、ある市場調査会社の調べによると、近年のワールドワイドシェアは同期式SRAMで41%、非同期式SRAMで42%と、いずれもトップシェアを誇っています。また不揮発性SRAMの分野でも業界トップの座にあると考えています」と、サイプレスでSRAMビジネスを担当する吉田真大氏は説明する。

 ランダムトランスファーレートが最高2133MT/s(メガ・トランザクション毎秒)にも達する高速な同期SRAM、超低消費電力が特徴で電池でデータを保持できる非同期SRAMの「MoBL」(More Battery Life)ファミリ、1億回以上の書き換えが可能な不揮発性の「nvSRAM」ファミリおよび強誘電体を使った「F-RAM」ファミリなど、幅広いラインアップを取り揃えているのが同社の特長のひとつだ(図1)。

 「SRAMはSoCやFPGAに内蔵されることも多いため、単体SRAMデバイスの市場は縮小方向にありますが、サイプレスはお客様のニーズに対応するべく、ポートフォリオの拡充と安定的かつ長期的な供給に努めています。また、年率10%程度の市場の伸びが見込まれている不揮発性SRAMについても、『nvSRAM』と『F-RAM』を柱にしながら、高信頼かつ高性能なデバイスの拡充を図っていきます」と吉田氏は同社の戦略を説明する。

図1 サイプレスは、高性能な同期SRAMのほか、非同期SRAM、不揮発性SRAM、および特定用途に向けたスペシャリティメモリを取り揃えている。
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アクセス性能が最高20nsの高速不揮発性メモリ「nvSRAM」

 サイプレスのSRAM製品ポートフォリオから不揮発性SRAMを紹介しよう。

 不揮発性SRAMは、電源オフ直前の機器の状態を保存しておき復電後に同じ状態から機器を動かすような用途や、各種のステータスやエラー情報を高速にロギングするような目的で使われる。また、ネットワーク機器においては、ルーティング情報などの格納にも欠かせないデバイスである。

 サイプレスの「nvSRAM」は、高速SRAMに近い最高20nsというアクセスタイムを実現した超高性能な不揮発性メモリだ(図2)。データ保持期間は20年以上、書き換え可能回数は100万回を保証する。また、一般的なCMOSプロセスに僅かな工程追加で製造が可能なため大容量化に向いている。

 高速SRAMとEEPROMとを統合したデバイスで、内部のパワーディテクタが電源オフを検出すると即座にSRAMの情報をEEPROMに転送し、その後、電源が再びオンになったときにEEPROMの情報をSRAMに書き戻す仕組みである。なお、SRAMからEEPROMへの転送に必要な時間だけ電源を確保するために100μF程度の外付けコンデンサが必要だが、ボタン電池は必要としない。

 現在、パラレルインタフェースタイプとシリアルインタフェースタイプがあり、パラレルは256kbitから8Mbitまでをラインアップする。また、32ビットインタフェースを備えた16Mbit品はサンプルを出荷中だ。

 「サイプレスの『nvSRAM』には研究開発も含めると25年の実績があり、車載用や防衛用に対応した高信頼グレードも含めて累計で10億個以上の出荷を誇ります」と吉田氏は訴求する。

 「nvSRAM」は、超高速な不揮発性メモリを必要とするアプリケーションに最適といえるだろう。

図2 256kbitから16Mbitまでを揃え、最高20nsのアクセスタイムを実現した、高性能不揮発性SRAM「nvSRAM」。
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データ保持期間150年、アクセス回数100兆回を実現した「F-RAM」

 不揮発性SRAMのもうひとつの柱である「F-RAM」は強誘電体材料(ferroelectric)を使った不揮発性メモリで、他の不揮発性メモリーと比較して圧倒的な低消費電力を実現し、バックアップ用の電池はもちろん、「nvSRAM」で必要となる外付けコンデンサを使うことなく、電源オフ中もデータを保持し続けるのが特長である(図3)。

 「サイプレスは『F-RAM』の研究開発で最先端を歩んでいたRamtron社を2012年に買収し、当社の不揮発性SRAMポートフォリオに組み入れました。以前から展開してきた『nvSRAM』と合わせて、高速で大容量が必要な場合はnvSRAM、低消費電力でコンデンサ不要が希望の場合はF-RAMとお客様の多様なニーズによりきめ細かく対応できるようになったと考えています」と吉田氏は述べる。

 「F-RAM」にはさまざまな特徴があるが、データ保持期間は周囲温度が65℃以下のとき151年以上、アクセス可能回数は100兆回を保証する。また、品種にもよるが、動作時電流は一般的なEEPROMの1/3から1/5であり、さらにスリープ電流は3μAときわめて小さい。書き込みスピードに至っては10倍程度高速なため素早くスリープモードに移行が可能になりその分消費電力も少なくできる。

 多くのデータの書き換えが発生するであろうウェアラブルデバイスや自動車のデジタルタコグラフのような、広い意味でのデータロガー的なアプリケーションや、産業機器、FA機器、OA機器、ネットワーク機器など、データ保持を必要とするさまざまなアプリケーションに適したメモリデバイスといえるだろう。放射線にも強く、航空宇宙関連機器などにも最適だ。

図3 強誘電体材料を使用した「F-RAM」は、電源が突然オフになってもデータを保持するとともに、150年のデータ保持期間と100兆回のアクセス耐久性が特長。
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2Mbitを投入しF-RAMのポートフォリオを拡充

 「F-RAM」製品の容量は、シリアルインタフェースタイプが4kbitから2Mbitまで、パラレルインタフェースタイプが64kbitから2Mbitまでとなっている(図4)。このうちシリアルタイプは8ピンパッケージで供給され、同じくシリアルタイプのEEPROMをそのまま置き換えることができる。シリアルクロックは20MHz(小容量品)または40MHz(大容量品)だ。

 品種にもよるが旧来の回路にそのまま適用できるように5.0V品も用意されるほか、車載アプリケーションの拡大に応えて、AEC-Q100グレードも取り揃えている。

 このうち、シリアルタイプの2Mbit品「FM25V20A」と、パラレルタイプの1Mbit品「FM28V102A」および2Mbit品「FM28V202A」は、それぞれ2014年に発売された最新品種だ(図4の黄色部分)。

 シリアルの「FM25V20A」は40MHzのSPIインタフェースによって高速なアクセスを実現した。工業用温度範囲および車載用温度範囲の品種があり、多機能プリンタ、産業機器、スマートメーター、車載電子機器、ウェアラブルな医療機器などに適する。

 パラレルの「FM28V102A」および「FM28V202A」は、サイクルタイム90nsと十分な性能を維持しながら、「F-RAM」の特徴であるローパワー動作(アクティブ7mA/スタンバイ120μA/スリープ3μA)を実現している。高速なパラレルアクセスを必要とする産業機器、IT機器、ネットワーク機器などに最適だろう。

 不揮発性SRAMは使い方次第で機器やシステムの価値を高めてくれるデバイスのひとつだ。アクセス性能や耐久性に優れるサイプレスの「nvSRAM」や「F-RAM」によって、さまざまなアプリケーションの可能性が広がっていくことが期待される。

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