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目指すのは最高ではなく“最強”のFA、デルタ電子が世界基準のものづくりを支える

生産システムを構築するとき、最もハイスペックな設備や機器を並べて安心していないだろうか。スペック表だけで価値の高い生産システムが出来上がるのならば、生産技術のエンジニアはいらない。デルタ電子は、厳しい世界のものづくりの環境で戦える、高い競争力を持ったファクトリーオートメーション(FA)システムの構築を支援する。同社が提供する産業自動化製品の世界市場での実績は十分だ。特に中国でのインバータの販売金額ではトップ4に入る実績を上げている。いたずらに最高を追うのではなく、実践的なFAシステムを生み出す最強のソリューションを提供していることが現地での高評価につながっている。

 さまざまな工業製品を生産する製造装置や工作機器、そして産業用ロボットの供給を通じて、日本には世界のものづくりを支える重要な役割を担う企業が数多く存在している。こうした企業が生み出す産業機器やFAシステムは、世界中の工業製品の付加価値や品質、生産効率の向上に直結するものだ。近年、工業製品の生産拠点が、先進国から中国を始めとする新興国へと分散してきた。そこでどのような産業機器やFAシステムを、どのような体制で供給していくかが、産業機器やFAシステムを供給する日本企業にとって大きな関心事になった。既に、現地企業との機器やシステムの商談を通じて、仕様やコスト、使い勝手、技術支援など、さまざまな側面で先進国向けとは異なるニーズがあることを、肌で感じている企業も多いのではないか。

 デルタ電子は、1995年から自社ブランドでの「IA(インダストリアル・オートメーション)事業」を展開。世界中の産業機器やFAシステムのメーカーをお客様として、営業拠点や研究開発拠点を世界中に置いている。しかし、産業自動化ソリューションのプロバイダとしては、日本市場ではまだ十分認知されていないかもしれない。しかし、実は長年にわたって日本企業に対してIA製品をODM供給してきた実績があるのだ。そして2012年、インバータ、ACサーボシステム、産業用スイッチング電源の3つのIA製品の自社ブランドでの販売を、日本市場でも満を持して開始した。

現地に根を張った販売・技術支援体制

福原 熙氏
デルタ電子 第2営業本部 ディレクター

 新興国を含む世界中の国や地域で、高性能で多機能な日本製のIA製品が使われている。ただしその一方で、「産業機器やFAシステムを開発・供給しているメーカーは、自社製品に組み込むIA製品の選択肢が少ないと感じているのではないでしょうか」とデルタ電子 第2営業本部 ディレクターの福原 熙氏は言う。デルタ電子は、日本企業とは違った2つの切り口から、産業機器やFAシステムの開発・供給を支える製品を提供している。一つは、現地での低コストで迅速かつ安定した供給、そして手厚い技術支援を提供すること(図1)。もう一つは、お客様の要求に対して過不足のない仕様の製品を提供することである。この2つは、中国市場などでデルタ電子の製品が高い評価を得ている理由でもある。

図1 世界中に広がるデルタ電子のIA製品関連の販売・支援拠点
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 まず、現地での供給・技術支援体制を紹介しよう。デルタ電子は、台湾に加え、上海近郊の呉江にもIA製品の生産拠点を持っている。このため、コスト競争力の高い製品を、迅速かつ安定して供給できる。生産するIA製品の開発は、日本企業の技術に少しでも近づこうと開発にまい進するエンジニアの手で、台湾で開発されている。また、世界中に技術支援を行うエンジニアを置く拠点を持っている。特に中国に関しては、おおよそ各省に1拠点配置し、キメ細かい支援ができる体制を整えている。加えて、呉江にあるソリューションセンターでは、製品の利用にあたってのソフト開発の支援や一部の開発代行も請け負う体制を整えている。現地の機械メーカーは、ソフト開発ができない場合が多い。デルタ電子は、こうした場合にも、単にマニュアルを渡し、セミナーなどを開いて終わりといった突き放した支援はしない。

 グローバルな支援体制が、日本の産業機器メーカーの海外進出の支援に成功した例も出てきている。通常、現地でIA製品の技術支援を行う場合、代理店などの現地採用スタッフ、現地にいる代理店の日本人担当者、日本にある代理店本社が意思疎通しながら対処することが多い。しかし言葉の違いの問題から、指示の伝達がうまくいかない場合もある。デルタ電子では、お客様が日本法人に指示すれば、その指示がただちに現地のサポートエンジニアに伝わり、よどみなく対処に当たる。

いたずらに高性能・多機能を追わず

 次に、製品仕様の特徴について紹介する。他社製のIA製品は、多くのお客様の要求に応えることを目指して、性能に余裕があり、機能が多すぎる場合が多い。しかし、個々のお客様にとっては、オーバースペックになりがちだ。デルタ電子は、IA製品の開発に当たって、お客様の声に真摯に耳を傾け、性能や機能に過不足がない、本当に求められる機能と性能を選りすぐりIA製品を開発している。

 例えば、ACサーボシステム。他社製では、モータ部に搭載するエンコーダーの分解能が400万パルスの製品が標準仕様である。しかし、半導体製造装置など一部の機器を除き、多くの場合これほどの高精度は不要である。デルタ電子の製品は、128万パルス、20ビットの製品を標準的に投入している。実際、大多数の産業機械はこの仕様で動かすことができる。また、インバータでも、他社製では200や300と多くのパラメータを設定できるものが多いが、現場で実際に使っているのはそのうちの15といった例がほとんどではないか。デルタ電子の製品では、コストの上昇要因と使い勝手の煩雑化につながる過剰な機能を、あえて削っている。

瀬原田哲雄氏
デルタ電子 第2営業本部 産業機器営業部 部長

 「究極の精度が求められる半導体や、絶対に止められない製鉄の分野で使うIA製品は、まだ日本製を求めるお客様が多いように思えます。しかし、食品などの生産ラインで使っているポンプやファン、コンプレッサを駆動するインバータなどでは、私たちの製品を使った方が、明らかに高いコスト・パフォーマンスが得られます」(デルタ電子 第2営業本部 産業機器営業部 部長の瀬原田哲雄氏)。日本の産業機器やFAシステムのメーカーは、中国市場などに供給する場合、現地仕様にローカライズした製品を用意するようになってきた。デルタ電子のIA製品を使えば、機器やシステムを、構成要素のレベルからローカライズできる。

単純なシステム構成で難しい設定を排除

 ここで、デルタ電子が日本市場に投入しているIA機器を紹介しよう。

 インバータでは、PLCを内蔵した製品を2シリーズ、小型で安価な製品を1シリーズ投入している。PLCを内蔵しているインバータには、高機能磁束ベクトルインバーター「VFD−C2000シリーズ」と小型ACインバータ「VFD−Eシリーズ」がある。中国や台湾で工業製品を生産するメーカーの現場担当者は、扱いが難しく、面倒なシーケンサーを使いたくないと考えることが多い。ボタンひとつで機械が動く、単純明快なシステムを求めているのだ。こうした声に応えて、デルタ電子が開発したのがこれらの製品である。PLCを内蔵し、外部シーケンサーを併用しなくても機械を駆動できるようにした。

 「VFD−C2000シリーズ」には、450kWまでのモータ出力に適応した製品を用意している。PLCを標準で10Kステップ内蔵し、三相誘導電動機はもちろんのこと、同期型モータ、サーボモータを駆動し、位置決め制御も可能である。また、高性能の可変周波数制御技術を採用。高精度・高応答の速度/位置制御、優れたトルク制御とトルク制限を実現している。さらに、モジュール化設計により、I/O拡張カード、エンコーダフィードバックカード、各種通信カードなどで機能拡張できる。

 「VFD−Eシリーズ」は、15kWまでに適応した製品を用意している。PLCを標準で500ステップ搭載。筐体がコンパクトであるため、これを搭載する機器を小型化できる。また、モジュール化設計を採用したことで、冷却ファンやパネルは取り外しが可能になり、保守を容易にしている。国際標準規格であるMODBUSプロトコルによるインターフェースも内蔵。さらにオプションの機能拡張カードを利用すれば、幅広い通信方式に対応できる。

 PLCを内蔵していない「VFD−Lシリーズ」は、1.5kWまでのモータ出力に適応した製品を用意している。簡単な操作での変速が実現できる。

 ACサーボシステムでは、「ASDA-A2シリーズ」を投入している。ドライバには位置制御機能を内蔵し、63ポイントの位置決め機能、E-CAM(電子カム)制御機能を搭載している。さらにリニアスケールの取り込みを標準搭載し、複雑なシーケンサーやモーションコントローラーがなくてもこれだけでモータを駆動・制御できる。電子カムは、最大720ポイントに対応し、専用ソフトによるプログラミングで2点間のスムーズな補間ができる。サーボモータには、128万pprの高分解能インクリメンタルエンコーダを搭載。低速運転時の不安定動作を低減し、円滑なモータ動作、高精度な位置決めができる。

図2 EtherCATに対応したACサーボシステム「ASDA-A2-E」
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 さらに、2015年には、グローバルスタンダードの産業用ネットワーク規格であるEtherCATに対応したモデル「ASDA-A2-E」も発表した(図2)。Industry4.0への対応などに向けて、生産ラインのネットワーク化が進んでいる。EtherCAT対応の工作機器、射出成形機などは、日本でも数多く利用されるようになった。EtherCATを介したフィールドネットワークを構築することで、ハイエンドのアプリケーションにおいて、高速で正確なリアルタイム制御が可能になる。

産業用ロボットも現地ニーズに合わせて開発

 デルタ電子は、世界市場に向けた産業用ロボットの開発・販売にも力を注いでいる。自社の呉江の工場でも、自社製ロボットを使っている。

 日本企業が作る産業用ロボットとデルタ電子が作る産業用ロボットでは、他のIA製品と同様に開発のコンセプトが異なっている。中国では、人件費を削減するための自動化よりも前に、品質のバラつきをなくすといった、生産ラインの価値を高めるための自動化が優先して進められている。生産ラインを完全自動化すれば、生産効率が無条件で上がるとは考えていない。このため、人と協働するロボットに対するニーズが高く、前後の人手で進める工程が追いつかなくなるような単純な処理速度の向上は望まれていない。こうした現地のニーズに合わせて、人と機械が協働できる産業用ロボットを開発し、市場投入している。

 現時点で、こうした産業用ロボット日本市場で販売する予定はない。しかし、産業用ロボットのように最先端のFAシステムを、現地のニーズに合うかたちでパーツレベルから開発しているという点は注目できる。日本企業が、現地のニーズに合った産業用ロボットを開発・販売するとき、デルタ電子のIA製品は、システムを構成するパーツとして大いに貢献できるだろう。

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