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太陽光発電設備は本物だけが選ばれる時代に、日本に適した分散型で躍進するデルタ電子

パワーコンディショナ(パワコン)など太陽光発電システムにかかわる設備の導入では、メリットが明確な製品だけをシビアな眼で選択する時代になった。太陽光発電システムの構成は、設置環境や導入目的に応じて一品一様で異なる。特に、設置場所が断片化しがちで、地形の変化が大きい日本では、その傾向が顕著である。このため、柔軟なシステム構成を取ることができる設備が求められている。デルタ電子は、こうした日本市場の要求に応える、分散型太陽光発電システムの構築に向けたパワコンを提供する。

宮崎偉生氏
デルタ電子 大阪営業所 所長 兼 マネージャー
リニューアブルエナジー・ソリューション営業部

 日本の太陽光発電システムの市場は、商業施設向けやメガソーラーの建設がピークを迎え、住宅向けでは新築住宅用を中心に安定した市場を維持している。ただし、固定価格買取制度(FIT)の見直し、出力抑制制度の導入などもあり、一時期の過熱したブームは過ぎ去った。こうした中、デルタ電子のパワコンは、「日本の設置環境、制度に適応した製品が評価され、ますます好調に推移しています」(デルタ電子 大阪営業所 所長 兼 マネージャー リニューアブルエナジー・ソリューション営業部の宮崎偉生氏)という。

変化に富んだ日本の地形に柔軟に寄り添う

 有利な買取価格によって太陽光発電市場が過熱していた時期には、導入を急ぐあまり、設置場所の特徴や目的を精査しないまま、他のユーザーの導入実績だけを見て設備を選択してしまうユーザーが少なからずいた。例えば、これまでのメガソーラー向けシステムでは、数百kWといった大出力のパワコンに、数多くの太陽光パネルを集中的につなげる構成が好んで採用されていた。一般に、配線が単純化し、取り付けが簡単になると考えたからだ。しかし、これは砂漠や草原といった広大な土地を確保しやすい海外の設置環境に適した構成である。日本のように、断片的な狭い土地を寄せ集めた設置環境に適した構成ではない。太陽光発電システムは一品一様である。設置する場所の地形や広さ、気候、また売電用、自家消費用といった利用目的に応じて、最適な構成のシステムを選択しなければならない。

 市場が冷静さを取り戻した今、太陽光発電システムの導入を考える企業や個人は、導入する設備を慎重かつ合理的に選ぶようになった。さまざまな要求に応えられる、柔軟な設備が選ばれるようになったのだ。デルタ電子のパワコンの販売が好調な理由は、同社が、日本の設置環境に適した分散型の太陽光発電システムの構成に適した製品を投入しているからだ(図1)。分散型とは、小出力のパワコンを1単位として、必要に応じて、必要な台数だけ組み合わせる構成法である。1単位の出力が小さいため、エリアごとの設置可能なパネルの枚数が違っても柔軟に対応できる。地形や土地の広さに合った数のパネルを設置し、これを複数組み合わせて、整地した広い土地を用意しなくても大出力システムを構成できる。まさに、日本のメガソーラーに適した、自然環境に寄り添う構成法である。

図1 デルタ電子が提案する分散型太陽光発電システム
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自らユーザーになって日本の設置環境に順応

 デルタ電子は、「1991年の日本法人の設立当初から日本市場を重視した製品開発と事業体制の整備を進めており、その姿勢は今も変わりません」(宮崎氏)と強調する。現在、デルタ電子のパワコンは、台湾NSP社製の太陽光発電パネルと組み合わせて自社ブランドでシステムを販売している他、関西の大手太陽光発電システムメーカーにもODM供給している。定評のある電力変換技術に裏打ちされた高効率と柔軟かつ的確な市場対応力が高く評価されて、既に日本での供給実績は3万台以上に達している。家庭用パワコンでは、海外メーカーとして初めて一般財団法人 電気安全環境研究所(JET)の認証を取得。2015年1月に施行された経済産業省による新たな出力抑制ルールに対応した遠隔制御(出力抑制)機能搭載のパワコンでも、JET認証を取得している。

 また、デルタ電子が自ら所有する4MWのメガソーラー発電所「赤穂エナジーパーク」を赤穂市に建設中であり、2016年1月には発電を開始する予定である(図2)。パワコンは、設置する国や地域ごとの規制や制度を熟知して、製品の仕様を決める必要がある。また、前述したように設置環境に合った構成のシステムの導入も重要になる。自身が最先端技術の日本国内でのユーザーになることによって、その有効性を実証するとともに、投入する技術をより効果的なものへとブラッシュアップさせていく。

図2 建設中の赤穂Energy Park
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屋外設置を可能にして投資の圧縮を可能に

 ここで、デルタ電子が日本市場に投入しているパワコンを簡単に紹介しよう。製品のシリーズは、家庭用の「RPI Hシリーズ」と産業用の「RPI Mシリーズ」に大きく分けられている。いずれもデルタ電子が、長年にわたって培ってきた高効率の電力変換技術を注いで開発した製品である。

 このうち、「RPI Hシリーズ」は、家庭用太陽光発電システムでの利用に最適な、屋外設置が可能な単相パワコンである。4.0kWから5.9kWまで定格出力の異なる4モデルを用意。4.0kW品と4.5kW品では96.5%、5.5kW品と5.9kW品では96.0%と高い変換効率を実現している。マルチストリングに対応し、住宅の屋根など複雑な形状の設置場所に置いたパネル枚数の異なるストリングを、外付け装置なしでパネルを接続可能である。また、設置面積が小さく、重量も20kgから25kgと軽い。加えて、各方面から高い評価を得ているデルタ電子の熱管理技術を駆使することで、放熱板を使った自然空冷の完全密閉構造を採用。これによってIP65という防塵防水性能を実現している。

 一方、「RPI Mシリーズ」は、商業施設など中型からメガソーラーまで、さまざまな規模と構成の産業用太陽光発電システムで利用できる、3相パワコンである。定格出力が16.5kW、 20kW、50kWの3機種を用意。98%以上の高い効率を実現している。また、小型・軽量の筐体を生かして、パネルの架台の背面に取り付け、地形の制限を受けない分散型システムを構築できる。さらに、4回路または6回路のマルチストリングにも対応。加えて、2系統の最大電力点追従(MPPT)機能によって、異なった方角に配向している各ストリングの電力効率が最大になるように自動調整して、システム全体の発電能力を最大限まで高めている。防水防塵性能はIP65であり、防錆仕様で、屋外での設置にも対応している。屋外設置が可能になることで、収納建屋や施設の建設費用を圧縮できる、冷却空調設備への投資を圧縮できる、環境負担を軽減できる、といったメリットが得られる。沿岸地域での設置が多い日本の事情に合わせた塩害対策も万全である。DC入力端子ではIP68、AC出力端子ではIP67等級とより高い防水防塵性能を確保しており、安定した電力供給を可能にしている。出力抑制機能も既に装備されている。

三菱重工からリチウムイオン二次電池事業を買収

図3 蓄電システムのキーデバイス、リチウムイオン・バッテリーセル

 デルタ電子は、さらに価値の高い太陽光発電システムのソリューションを提案するため、最適な蓄電機能を開発・生産していく体制を整えた。電力の品質向上、安定供給、非常時の電源として、蓄電システム(ESS)の重要性が増している。そこでデルタ電子は、2014年4月に、三菱重工業からリチウムイオン二次電池事業を引き継ぐことで合意した。三菱重工業のリチウムイオン二次電池は、軽量、コンパクトで信頼性が高く、コンテナ型電力貯蔵システムなどに搭載されて実績を重ねてきた。その高度な技術とデルタ電子の量産技術を融合させて、蓄電システムの普及に対応していくことになる。2016年春には、自社製リチウムイオン二次電池の量産が始まる予定である(図3)。同時に、太陽光発電システムと親和性が高いESSも開発中である。赤穂エナジーパークでも、ESSを導入した次世代型のシステムを構築する。

 また、将来的には、IoTシステムを太陽光発電システムなどと組み合わせて、地域の電力需給を最適化するシステムの提供にも取り組んでいく。デルタ電子は、グリーンビルディング(環境配慮型建物)のソリューションを世界中に提供してきた実績を持っている。その高い技術は、同様に最新技術を投入して建設した自社工場やオフィスが、米国のグリーン建築基準であるLEEDや台湾のグリーン建築評価システムであるEEWHで、「Diamond」や「Gold」の認証を取得していることで証明されている。こうした建物内の電力需給の最適化で培った技術を、地域規模で実施するデマンドレスポンス事業などに展開していく。

 デルタ電子は、パワコンの販売だけではなく、お客様それぞれのニーズに合致した太陽光システムのトータルソリューションをワンストップで提供できる。これは他の海外メーカーとは大きく異なる点である。日本法人の設立から現在に至るまで、きめ細かいローカルサポートを実施できる体制をじっくりと整えてきた。東京と大阪に拠点を置き、手厚いメーカーサポートを提供できる。また、市場サポートを提供する設置業者などパートナーも逐次増やしていくという。デルタ電子のシステムを、日本のさまざまな場所で目にする機会が増えそうだ。

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