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60Wを供給、車載向けUSB Type-Cソリューション

アナログ・デバイセズが挑むクルマの未来2019 第1回

60Wを供給する
車載向けUSB Type-Cソリューション

最大100Wの電力供給が可能なUSB Type-Cが注目されている。2020年頃からクルマへの搭載が見込まれる中、車載用パワーマネージメント・ソリューションで豊富な実績を持つアナログ・デバイセズは、USBソリューションで業界をリードするサイプレス セミコンダクタの協力を得て、車載向けUSB Type-Cのリファレンスデザインを開発した。

(写真左から)アナログ・デバイセズ株式会社 オートモーティブ セールス 東日本地区 セールスマネージャー 三矢 洋介 氏/サイプレス セミコンダクタ MCU&コネクティビティ事業部 ワイヤード部門 マーケティングディレクター 山田 祥之 氏/サイプレス セミコンダクタ 技術営業本部 シニアスタッフFAE 志賀 俊文 氏/アナログ・デバイセズ株式会社 オートモーティブ セールス 東日本地区 フィールドアプリケーション エンジニアマネージャー 馬場 正幸 氏

 USB Type-Cコネクタ(レセプタクル)を装備した機器が増えてきた。扁平な形状が外観上の特徴で、プラグの裏表を問わずに接続できるなど使い勝手に優れており、パソコンだけではなく各社のスマートフォンにおいても標準インターフェースとなりつつある。

 USB Type-Cの新たなアプリケーションとして期待されているのがオートモーティブ分野で、Type-Cレセプタクルをセンターコンソールなどに装備しようという動きが顕在化し始めた(図x)。メリットとしては、大きく次の3点が挙げられる。

図x. センターコンソールに装備したUSB Type-Cコネクタの例
図x. センターコンソールに装備したUSB Type-Cコネクタの例
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①広帯域でのデータのやり取りが可能

 Type-CでサポートしているUSB 3.1を介して、スマートフォンなどの外部機器とクルマとの間で、最大10Gbpsものデータレートでデータをやり取りできる。スマートフォンのさまざまな機能やアプリとの高度な連携が図れる。

②映像信号の伝送が可能

 Type-Cではその信号線を他のインターフェースに割り当てることのできるAlt Modeが定義されている。機器側とクルマ側の双方が対応していれば、例えばDisplayPortとして動作させることで、スマートフォンの動画をリアシート・ディスプレイなどに表示できる。

③大容量でのチャージが可能

 Type-Cは最大100W(20V×5A)の給電が規格化されており、さまざまな機器のチャージング・ポートとして利用できる。

 このうち、回路設計の観点で見たときに課題となるのが③の大容量チャージング機能である。最大100Wもの電力の安定的な供給、電源回路が発する熱の抑制、自動車の各EMI規格(例えばCISPR 25)への対応とAMラジオへの干渉の防止、車載用途に耐えられる長期信頼性や堅牢性など、さまざまな要件を満たさなければならない。

Type-C リファレンスデザインをADI が開発

 車載分野でのUSB Type-Cコネクタへの関心の高まりを受けて、USBコントローラで業界をリードするサイプレスセミコンダクタと、パワーマネージメント・ソリューションで業界をリードするアナログ・デバイセズ(ADI)は、前述の③で挙げたチャージング・アプリケーションを対象にしたリファレンスデザインの開発を共同で進めている。

 サイプレス セミコンダクタの日本法人でUSBソリューションを担当する山田祥之氏は、協業に至った経緯を次のように説明する。「自動車業界のお客様から、チャージング・アプリケーションのリファレンスデザインは、車載で実績のある電源ソリューションをベースに構成して欲しいとのご要望を頂いていました。そこで、車載分野で多くの実績と経験を持つアナログ・デバイセズと共同で取り組みを進める運びとなりました」。

 こうした顧客ニーズを受けて、アナログ・デバイセズでは、日本サイプレスの協力のもと、

(a)最大15Wを供給可能なType-C リファレンスデザイン
(b)最大60Wを供給可能なType-C リファレンスデザイン

の2種類のボードを開発した(図y)。

 いずれも、サイプレスのUSB PDコントローラと、アナログ・デバイセズのパワーマネージメント・ソリューションとを組み合わせて構成している。

図y. アナログ・デバイセズがサイプレスの協力を得て開発したType-Cのリファレンスデザイン。上(赤レジスト)は昇降圧コントローラLT8390Aを搭載した60W構成(b)、下(緑レジスト)は降圧コンバータLT8640S-2を搭載した15W構成(a)
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車載Type-C アプリケーションの開発を加速

 リファレンスデザインに搭載されるサイプレスの「EZ-PD™ CCG3PA Auto」は、USB Power Delivery 3.0規格に準拠したUSB PDコントローラだ。Type-Cに接続されたUSBデバイスとの間でハンドシェイクを行って電力クラスなどを決定し、電力供給を制御する役割を担う。

 独自の機能として、2系統のType-C間での電力の総和を調整するロード・シェアリング、周囲温度が上昇したときに供給電力を抑えて安全性を高めるパワー・スロットリング、給電ケーブルでの電力損失を補うケーブル補償のほか、PPS(Programmable Power Supply)をはじめとするさまざまなチャージング仕様に対応している。なお、製品名にAutoが付くことからも分かるように、オートモーティブのインキャビン・アプリケーション向けに開発された。

 EZ-PD™ CCG3PA Autoの制御に基づいて電力を供給するのが、アナログ・デバイセズのパワーマネージメント・ソリューションで構成される電源回路だ。

 最大15Wを供給するリファレンスデザイン(a)に搭載されているのが、アナログ・デバイセズの降圧スイッチング・レギュレータ「LT8640S-2」である。スイッチング動作で生じるEMIノイズを大幅に抑える、独自のSilent Switcherアーキテクチャを採用している。最大スイッチング周波数は3MHzと高く、スイッチング周波数2MHz における変換効率は最大で95%(入力12V /出力5V時)にも達し、発熱も少ない。

 最大60Wを供給可能なリファレンスデザイン(b)には、昇降圧スイッチング・レギュレータ「LT8390A」が搭載されている。入力電圧範囲が4Vから60Vと広く、鉛蓄電池の12V系電圧が瞬間的に上昇するロードダンプのような条件にも対応できる。現在、小型、高効率、低ノイズ、デュアルポート等、主目的に合わせた、複数の種類のリファレンスデザインを開発中である。

 LT8640S-2と同様に変換効率が高く、例えばスイッチング周波数が2MHzのとき、変換効率は最大で95%である。スイッチング周波数を高く設定することでインダクタやキャパシタなど外付け受動部品の小型化が図れるのもメリットで、実際にいずれのリファレンスデザインともに電源部はコンパクトに構成されている。

 アナログ・デバイセズのパワーマネージメント・ソリューションは、旧リニアテクノロジー時代を含めて、車載用として多くの実績を誇る。Type-Cのチャージング回路においても最適なソリューションといえるだろう。

 アナログ・デバイセズは、USBソリューションで長年に亘って業界をリードしてきたサイプレスと協力を図りながら、車載向けUSB Type-Cソリューションの提案を進め、OEMやサプライヤーの早期開発を支援していく。

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  • アナログ・デバイセズ株式会社
    アナログ・デバイセズ株式会社

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