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量産車への採用が進む「A2B」

アナログ・デバイセズが挑むクルマの未来2018 Vol.2

ハーネスのコストと重量を数分の一に
オーディオ専用バス「A2B」
量産車への採用が進む

アナログ・デバイセズはオーディオ信号や制御コマンドの伝送に適した車載用オーディオ・バス「A2B(Automotive Audio Bus)」を開発した。進化するインフォテインメント、アクティブ・ノイズ・キャンセリング、インカーコミュニケーションなど、「音」を対象にした先進的なニーズに応えるソリューションだ。米フォード・モーターが量産車に採用中である。

クルマの進化をオーディオや音の観点で振り返ってください。

小野 宏氏
アナログ・デバイセズ株式会社
オートモーティブ セグメント
FAEマネージャー

小野:クルマのオーディオ・システムは、かつてはラジオを受信したり、カセットテープやCD などを再生するだけのシンプルなものでしたが、最近では、ハンズフリー通話機能、リアシート・エンターテイメント、車室空間を静音化するアクティブ・ノイズ・キャンセリング、小型マイクと小型スピーカーを用いて前方座席と後方座席間の会話をスムーズにするインカーコミュニケーション、ハイレゾ音源への対応、クラウドを介したストリーミング再生など、さまざまな新しいテクノロジーやサービスへの対応が進んでいます。

 また、スマートフォンやスマートスピーカーでおなじみとなった音声認識エージェントにも注目が集まっており、これらをクルマに応用しようという動きも見られます。


技術的にはどのような課題が生じていますか。

小野:クルマに搭載されるスピーカーやマイクロフォンの数が増えている今、それらの間でオーディオ信号をどのようにやりとりするかが新たな課題として浮上しています。アナログ信号をそのまま伝送すると、シールド付きの太いケーブルを張り巡らさなくてはなりません。マルチメディア用インタフェースとして開発されたMOST BUSやEthernet AVBなどを使う方法もありますが、本来は映像伝送も含めたマルチメディアデータ伝送を対象にした規格であり、コストもかさんでしまいます。さらにストリーミング再生ではコンテンツ保護への対応も必要です。

オーディオ専用バス A2Bを開発

アナログ・デバイセズの取り組みを教えてください。

小野:オーディオの高音質化や音声機能の進化に応える新しい伝送の仕組みが求められていることを受けて、当社は、車載用のオーディオ・バス A2Bを開発しました。

 A2B はデジタル・オーディオ信号やコマンド信号を最高50Mbps のビットレートでシリアル伝送するバスで、軽量かつ安価な2 線式非シールド・ツイストペア(UTP)ケーブルを使って、デジタル・アンプ、スピーカー、マイクロフォン・アレイ、音声認識ECUなどのノード間を最長15m で接続できるのが特徴です。sシールド付きのアナログ・ケーブルを使う方法に比べて、ケーブル・ハーネスのコストと重量をそれぞれ数分の一に削減できるなど、さまざまなメリットをもたらします。

A2B の採用状況はいかがですか。

小野:第1世代にあたるA2Bトランシーバ「AD2410」およびスレーブノード用の「AD2401」と「AD2402」を2014年10月に発売して以来、A2Bはすでに多くの量産車に搭載され、出荷数は100 万個(ノード)を超えるまでになりました。例えば、米フォード・モーターが2016年に生産を開始した4車種のプラットフォームに搭載されていますし、日米欧に加えてアジア圏のそれぞれの自動車メーカーでの採用も決まっています。今後、オーディオ・システムや音声機能の進化を背景に、2024年には累計ノード数は2億5000万に達すると見込んでおり、高まる需要に応えられるよう生産体制の確立を進めています。

システム・レベルの統合も推進

今後の展望を聞かせてください。

小野:当社はお客様のニーズを反映した製品の開発に努めてきました。A2Bにおいても、クルマのオーディオ機能や音声関連機能の発展に向けて、オーディオ・バスとしてのさらなる性能向上と機能の集積化を続けていきます。

 具体的には、第2世代品となるトランシーバ「AD2425W」およびスレーブノード用の「AD2421W」と「AD2422W」を2017年1月に発売しました。第2世代では、接続スレーブ数を9 から11に増やすとともに、ノード間距離を10mから15mに延長しています。また2018年には、ノイズ性能を高めるとともにPDM(Pulse Density Modulation)マイクを直接接続できるトランシーバ「AD2428W」およびスレーブノード用の「AD2426W」と「AD2427W」をリリースします。

 さらに、コンテンツ保護機能、DSP、A/D変換回路などをそれぞれ統合した高集積ソリューションの開発も進めています。

 今後、クルマの電子化・電動化が進むにつれて、オーディオや音声関連機能に対するニーズも大きく変化していくと考えられます。アナログ・デバイセズは、クルマの進化に柔軟に対応できるよう、A2Bをはじめとするソリューションの開発と提供に引き続き取り組んでいきます。

オーディオ信号や関連コマンドの伝送を目的に開発

 A2Bはデジタル・オーディオ信号や関連コマンドの伝送を目的にアナログ・デバイセズが開発したシリアル・バスだ。ビットレートは最高50Mbpsで、同時ストリーム数は最大32本である。バスあたり最大11ノードをデイジーチェーンで接続でき、ノード間の距離は最長15mと長いため、大型車両にも適用できる。

 物理層にはノイズに強いLVDS(小振幅差動信号)を採用しており、安価なUTPケーブルでもCISPR 25(2008)(ALSE法)などのEMC規格を十分にクリアする。論理的にはデジタル・オーディオ信号インタフェースの「I2S/TDM」(Inter-IC Sound/Time Domain Multiplexing)および制御コマンド・インタフェースの「I2C」(Inter-Integrated Circuit)と等価であり、ソフトウェア・スタックが介在しないためレイテンシは50μsと小さい。信号と合わせて+5V/300mAのDC電源を供給できるのも特徴だ。なお、オーディオ信号だけではなくセンサー・データの伝送バスとしても使える。

 開発者向けに、評価ボード、バス解析ツール、ソフトウェア・ツールなども提供される(一部はサードパーティ製)。

※仕様はいずれも第2世代品です
図1.オーディオや音声関連機能の進化に応えるオーディオ専用バス「A2B」
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  • アナログ・デバイセズ株式会社
    アナログ・デバイセズ株式会社

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