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48V電動化に応える新ソリューション

アナログ・デバイセズが挑むクルマの未来2018 Vol.3

世界で進む48 V電動化のトレンドに応える
マイルドハイブリッドに適した
双方向DC/DCコンバータソリューション

2021年に予定されているEUのCO2 規制を背景のひとつとして、欧州を中心に48Vマイルドハイブリッドの市場が拡大しつつある。電源ICを中心に車載用半導体を手掛けてきたアナログ・デバイセズは、48V系統と従来の12V系統を結ぶ双方向のDC/DCコンバータソリューションを開発した。回路をコンパクトに構成できるほか、95%を超える高い変換効率などの特長を備える。

亀元 政秀 氏
アナログ・デバイセズ株式会社
オートモーティブセールス
中部・西日本地区 ディレクター

―EVやHEV/PHEVなどのさまざまな「環境対応車」が普及してきましたが、最近の市場ではどのような変化が起きていますか。

亀元:国内でのエコカー減税のような助成制度や中国における電気自動車の推進政策などもあって、いわゆる「環境対応車」がシェアを急激に伸ばしてきたことはご存知のとおりで、とくにEVへの注目度は急激に高まってきました。しかし、ここ最近は少し風向きが変わってきたように感じています。背景にあるのは、EUが2021年に導入する排出ガス規制で、走行1kmあたり95gをベースに各自動車メーカーにCO2 の排出目標量が設定されますが、守れない場合は巨額の罰金が課せられるため、2021年までの短い期間でどう対応するかが各自動車メーカーにとって最大の関心ごとになってきたからです。走行可能距離や充電インフラにまだ制約のあるEVに一気にシフトするのか、技術的に難しいストロングハイブリッド車を今から開発するのか、CO2 排出の少ないディーゼルの比率を伸ばしていくのか、といったいずれの案でも対応が難しいということが分かってきた中で、欧州を中心に、各国で採用が進んでいるのが「マイルドハイブリッド」と呼ぶ方式です。

欧州では48Vマイルドが主流に

― 「マイルドハイブリッド」の概要を教えてください。

亀元:減速時にオルタネータで発電した電力を二次電池に蓄えておき、発進時や加速時にモーターの力を借りることで、燃費を向上させてCO2 排出を削減しようというのがマイルドハイブリッドです。従来のガソリンエンジン車の構造を流用しやすく、それでいて燃費を最大で20%程度向上できるとされています。

 マイルドハイブリッドの実現にはいくつかの技術的なポイントがあります。まず、大きな電力を減速時に得るために、オルタネータの大型化が必要です。次に、オルタネータが発電した大電力を瞬間的に蓄電し、かつ、始動時や加速時に瞬間的に取り出せる高性能な二次電池が必要で、通常の12V鉛蓄電池では対応できず、リチウムイオン・バッテリが用いられます。エンジンをアシストするモーターはスターターモーターと兼用されますが、オルタネータと一体化するなどの小型化、スマート化が進んでいます。

 電装面では、上記のオルタネータ、二次電池、モーターを通常の12V系とは別の系統で構成する必要があり、大電力を扱いやすくするために欧州では48Vが用いられ、「LV148」という業界規格も策定されています。国内でも48Vを採用しようという動きが出てきました。

高効率な双方向DC/DCを提供

―12V系に加えて48V系を設けるにはどのような課題がありますか。

亀元:それぞれを独立して構成できれば問題はないのですが、12V系と48V系の間で電力をやり取りしなければならないため、双方向のDC/DCコンバータが新たな構成要素として必要です。具体的には、48V系の二次電池の充電レベルが低いときに12V鉛蓄電池から充電し、48V 系のオルタネータで発電した電力で12V鉛蓄電池を充電したりなど、電力の融通に対応できなければなりません。双方向DC/DC コンバータはDSPやマイコンでも構成できましたが、アルゴリズム設計の煩雑さ、過渡応答性能の低さ、回路面積が大きくなってしまう、最適化が伴わない場合の電力の変換効率の低さ(発熱)などが課題として指摘されます。

 アナログ・デバイセズではマイルドハイブリッドシステムの課題を解決するコンパクトかつ高効率なソリューションを提供しています。現在、お客様から最も多くのお問い合わせを頂いているのが「LTC3871」です。低圧側最高30V、高圧側最高100Vに対応した双方向DC/DC コンバータで、高次元で高い性能をまとめあげた双方向コンバータソリューションとしては市場で随一と考えています。48Vから12Vへの降圧の変換効率は最大97%、12Vから48Vへの昇圧の変換効率は最大96%とそれぞれ高く、大電流ニーズに応えての並列構成を前提としており、容易に電力拡張が可能です。

―今後の取り組みについて聞かせてください。

亀元:各国の規制を背景のひとつとしてマイルドハイブリッド市場は爆発的に伸びていくと見込まれており、それに従って、一次側と二次側のバッテリの電圧構成も鉛バッテリ、リチウムイオン・バッテリ、リチウムイオン・キャパシタ、電気二重層キャパシタなど様々な選択肢と直列数のバリエーションで、多様化する可能性が見込まれます。それら、バッテリ電圧組み合わせの多様性に応えるソリューションが最新世代の昇降圧型双方向DC/DC コンバータ「LT8708」です。先ほどの「LTC3871」は12V:48Vなどそれぞれの電圧が異なるシステムに適しますが、「LT8708」は昇降圧構成により、12V:12V、24V:24Vや48V:48Vなど一次側と二次側とが同じ電圧にも適用できる点が特長です。マイルドハイブリッドだけではなく、あらゆる電動機能の冗長用バッテリと、メインバッテリ間の電力の橋渡しにも最適です。

 また、これらの双方向DC/DC コンバータシステムでは、保護安全機能を拡張する際に、独立したハイサイドの電流検出や過電流、過電圧保護が必要となります。弊社ではこれらのニーズに最適な製品として「AD8410/8417/8418」を中心とした電流センスアンプ、「LTC4368-1」等のサージ・ストッパーも揃えており、DC/DC コンバータのメイン機能とともに最適解をトータルソリューションとして提案をしています。これからも、クルマの進化に応えていきます。

マイルドハイブリッドに適した双方向DC/DCコンバータソリューション

 マイルドハイブリッドは、減速時の運動エネルギーを電力へと換えるエネルギー回生(図1参照)がベースになっていて、得た電力を使って発進や加速をアシストすることで、エンジンからのCO2 排出を減らす仕組みだ。多くはアイドリングストップ機能と併用される。オルタネータ、二次電池、モーター(スターター)が接続される電源系統(48V)と、従来の12V系統を結ぶのが双方向DC/DCコンバータである。最新の「LT8708」は、双方向での昇降圧が可能なソリューションで、高い変換効率、並列動作、豊富な保護機能などを特長とする(図2参照)。

図1.回生システムのモーター例
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図2.双方向の昇降圧DC/DCコンバータ「LT8708」
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