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加速するキャビン・エレクトロニクスの進化

アナログ・デバイセズが挑むクルマの未来2018 Vol.5

フルHDをUTPで伝送する映像用バスC2Bを開発
キャビン・エレクトロニクスの
進化をアナログ技術で加速する

クルマの電子化に伴って車室(キャビン)周辺の機能も大きく変貌し、従来の用語である「インフォテインメント」を超えて、「キャビン・エレクトロニクス」とでも呼ぶべき領域へと進化を遂げつつある。さまざまな新しい機能を実現するために、アナログ・デバイセズでは、オーディオ、ビデオ、センシングなどのソリューションを通じて、キャビン・エレクトロニクスのニーズに応えていく。

ヴラッド ブラヴスキー氏(Vlad Bulavsky)
ヴラッド ブラヴスキー氏
(Vlad Bulavsky)
アナログ・デバイセズ株式会社
オートモーティブ ビジネスユニット
オートモーティブ キャビン エレクトロニクス
ジェネラル マネージャー

近年の自動車を取り巻く変化をどう見ていますか。

ブラヴスキー:大きなトレンドとして挙げられるのが、ADASに代表される「セーフティ」、自動運転を通じて移動の概念を変える「モビリティ」、およびコネクテッドカーや新たなインタフェースなどを表す「スマート」という3つのキーワードです。

 そして、これらトレンドのすべてに関わる領域のひとつとして当社が注目しているのが、車室(キャビン)を取り巻く進化です。

 アラウンドビュー・カメラや電子ミラーなど、すでに実用化されている機能のほか、ロードノイズ・キャンセリング、前後座席間での会話を容易にするインカーコミュニケーション、音声による操作やパーソナライゼーション、画像認識で疲労状態を監視するドライバー・モニタリングなど、新しい機能が続々と提案されています。

 従来の「インフォテインメント」から範囲が大きく広がってきたこともあり、当社では新たに「キャビン・エレクトロニクス」と呼んでいます。

キャビン・エレクトロニクスのポイントを挙げてください。

ブラヴスキー: 技術的には、オーディオ、ビデオ、およびセンシングが柱になるでしょう。

 オーディオを例に取ると、EVやPHEVではカーエレクトロニクスの消費電力が電費に直結するため、従来のようなハイパワー・アンプと大型スピーカーの組み合わせではなく、例えば小型スピーカー・アレイを使って臨場感を出すような工夫が必要です。

 ビデオに関しても、アラウンドビュー・カメラなどの映像表示はほとんどがNTSCレベルの標準画質(SD)にとどまっていますが、スマートフォンのきれいな画面が当たり前になっている現在はフルHD化(1080p)が求められています。

 すなわち、従来のインフォテインメントからアーキテクチャが大きく変わりつつあるのが現状といえます。

フルHD対応の映像専用バスC2B

アナログ・デバイセズではどのようなアプローチを提案していますか。

ブラヴスキー:オーディオ信号処理に関しては、浮動小数点DSPを内蔵した「SHARC プロセッサ」や、プログラマブルなオーディオ専用DSPである「SigmaDSP オーディオ・プロセッサ」を展開しています。また、キャビン内のマイクロフォン・アレイ、スピーカー・アレイ、およびオーディオ信号処理ECUをローコストな2線式非シールド・ツイストペア(UTP)ケーブルで接続する「A2B(Automotive Audio Bus)」は、すでに一部の量産車に採用されています。

 ビデオに関しては、NTSC/SDカメラ用に設計されたUTPハーネスのままフルHD映像を伝送できる専用バス「C2B(Car Camera Bus)」を2018年10月にリリースしました(図参照)。車体の長いトラックなどにも適用できるように、信号補償によってケーブル長30mを超える伝送を実現しています。

 従来、フルHD映像の伝送には主にLVDS(小振幅差動信号)が用いられましたが、インタフェースICやケーブル、コネクタにコストがかかるほか、もうひとつの規格であるEthernet AVBは圧縮が必要で、パケット化によるレイテンシ(遅延)も発生します。

 C2BはフルHD映像信号を非圧縮で伝送するため遅延もありませんし、画質の劣化も起こりません。双方向にも対応しているため、ECUからカメラに対して制御コマンドなどを送ることもできます。EMC性能にも優れていて、高いノイズ耐性を示します。

 また、UTPケーブルは同軸ケーブルに比べて細く柔軟性があるため、トランクやドアなどのヒンジ部分での繰り返しの曲げに対して高い耐久性が得られます。ハーネスの軽量化は燃費あるいは電費の向上に寄与するでしょう。

C2Bはいつごろ市場に登場するのでしょうか。

ブラヴスキー:2019年中には量産車に搭載されると見込んでいます。NTSC/SDカメラ用に設計したハーネスのままフルHD映像を伝送できるところが採用の決め手になったと、自動車メーカーのお客様からは伺っています。

センサーやパワマネなど幅広く提供

キャビン・エレクトロニクスに対する今後の取り組みを聞かせてください。

ブラヴスキー:アナログ・デバイセズは、これまでも、お客様の課題や挑戦を理解したうえで、高度なアナログ技術を活用した独自の方法によって解決策を提案してきました。キャビン・エレクトロニクスに関しても、オーディオやビデオ向けのソリューションだけではなくさまざまなセンサーデバイスを提供しているほか、電源効率の高いパワーマネージメント・ソリューションも幅広く展開しています。

 これからも、「セーフティ」、「モビリティ」、および「スマート」を追求する自動車メーカーやサプライヤーのニーズを満たす価値の高いソリューションを提供していきます。

フルHDの映像信号をケーブル長30mを超える伝送が可能なC2B

 NTSC/SDカメラ用に設計された非シールド・ツイストペア・ハーネスのままフルHD(720p60/1080p30)映像を伝送できる「C2B(Car Camera Bus)」。最長約30mの伝送が可能で、大型車両の後部カメラなどにも適用できる。C2Bのピクセルレートは75MHzで、第一弾のソリューションとして、720p60対応のC2Bトランスミッタ「ADV799x」と、同じく720p60対応のC2Bレシーバ「ADV738x」がそれぞれ提供される。

図1.「C2B(Car Camera Bus)」
図1.「C2B(Car Camera Bus)」
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図2.既存のハーネスでもフルHD映像を伝送できるC2Bの概略構成
図2.既存のハーネスでもフルHD映像を伝送できるC2Bの概略構成
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  • アナログ・デバイセズ株式会社
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