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現場の課題を解決する電子デバイス【 熱・ノイズ ソリューション編】

あらゆる電子機器を設計するうえで避けて通れない熱・ノイズ対策。そこで設計者が直面する課題が、一段と高度化かつ複雑化している。ICT(情報通信技術)の発展を背景に、「自動車」「モバイル」「産業機器」「通信・インフラ」など多くの分野で機器が進化しているからだ。これとともに従来の手法では対応仕切れない問題が次々と浮上する機運が高まっている。ここでは新たな局面を迎えた熱・ノイズ対策で威力を発揮するパナソニックのデバイスを紹介する。

 電子機器の進化は留まるところを知らない。こうした中、改めてクローズアップされてきた問題が「熱・ノイズ対策」である。この背景には、高機能化の要求に対応するために高速デジタルLSIを搭載するシステムが増える一方で、デジタルLSIの実装環境が多様化していることがある。つまり、デジタルLSIに起因する熱やノイズの問題が増える一方で、熱・ノイズに関してこれまで以上に厳しい条件を求める用途が増えている。この状況を受けて需要が高まっているのが、一歩進んだ熱・ノイズ対策ソリューションをもたらす電子デバイス。その代表例とも言えるのが、パナソニックのPGSグラファイトシートと導電性キャパシタだ。

さらに高度化する熱対策に対応

 熱対策用のPGSグラファイトシートは、熱伝導率が高いグラファイト(黒鉛)を厚さが10μm~100μmの薄いシート状に加工したもの(図1)。一般的なグラファイトシートが天然黒鉛を加工して作るのに対して、PGS グラファイトシートは高分子フィルムに高温処理を施す独自プロセスで単結晶に近い構造に仕上げた人造黒鉛を用いている。天然黒鉛のシートに比べて2倍~4倍の熱伝導率を備える。発熱源に密着させて熱を運んだり、拡散させたりするのに役立つ。すでにスマートフォン、ノート型パソコン、タブレット端末、デジタルスチルカメラ、基地局、データセンター、HUD(Head Up Display)、LEDライトなど多くの機器に採用されているほか、自動車、産業機器、通信・インフラなどの分野でも、効果的な熱対策デバイスとして採用が進んでいる。

図1 熱を効率良く拡散させるPGSグラファイトシート

 応用が広がるとともに浮上する新たな課題を解決するために同社は、PGSグラファイトシートの複合化を提案している。具体的には、「積層PGS」「TSS( Thermal Storage Sheet )」「SSM( Semi Sealing Material)」である。さらに新開発の高性能断熱シート「NASBIS(NAno Silica Balloon In Sulator)」との複合品も展開している。

図2 様々な熱問題を解決する複合製品を展開
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 熱輸送量を増大させた積層PGSは、モーターや計測器へも用途が拡大されている。一定の温度で蓄熱を始め、熱容量いっぱいまで熱を吸収するTSSは、急な温度上昇を抑制できる。マイクロプロセッサの放熱に利用すれば、高い周波数で稼働する時間、つまりスマートフォンの操作における「サクサク感」を維持できる時間を延ばせる。エラストマとPGSグラファイトシートを積層したSSMは、凹凸面から熱を拡散させることができる。エラストマ層が発熱部から熱を吸収し、PGSグラファイトシートが吸収した熱を拡散するという仕組みで、基地局やデジタルスチルカメラなどの熱対策に向いている。

 NASBIS複合品は、「熱制御」や「断熱」など様々な利点を提供する。例えば、ウェアラブル端末の省電力化。PGSグラファイトシートで熱を拡散しながら、NASBIS層で放熱方向を制御し、熱の利用効率を高める。小型薄型化を追求する機器で発生しやすくなった局所的な温度上昇の抑制にも役立つ。

低ESR品で小型化の壁を突破

 陰極に電気伝導度の高い導電性ポリマー材を使う導電性キャパシタは、ノイズ対策向け(図3)。ESR(等価直列抵抗)と ESL(等価直列インダクタンス)が低いのが特長。モバイル機器、ネットワーク・サーバー、ストレージ、液晶ディスプレイ、車載用機器など多くの機器の対策に役立ち、部品点数削減にも貢献する。なぜなら、低ESRかつ低ESLで大容量の製品が揃っているため、ノイズ対策用の積層セラミックコンデンサや電解コンデンサを、より少ない数の導電性キャパシタに置き換えられるからだ。

図3 ノイズ対策と省スペースに貢献する導電性キャパシタ
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 同社では、自動車、モバイル、産業機器、通信・インフラといった分野のニーズを先取りする形で、導電性キャパシタの品種の拡充を図っている。例えば、スモールセルの普及とともに小型・高信頼化が進む通信機器向けに、周囲温度125℃で1000時間保証(推定寿命時間85℃で10年)する製品を開発した。モバイル機器向けには超小型大容量品を開発。電子化が進む自動車でも導電性キャパシタの需要が高まっていることから、車載品の拡充も進めている。

 パナソニックはほかにも、熱・ノイズ対策に役立つデバイスを豊富に揃え、多彩なソリューションを提供している(別掲コラム参照)。こうした強みを生かして同社は、自動車、モバイル、産業機器、通信・インフラといった分野における熱・ノイズ対策の要求に積極的に応える考えだ。

多彩なデバイスで熱・ノイズ対策を多角的にサポート

 パナソニックは、豊富な種類の熱・ノイズ対策デバイスを提供している。熱対策向けには、PGSグラファイトシート、NTCサーミスタ。ノイズ対策向けには、各種キャパシタをはじめ、コモンモードノイズフィルタ、EMIフィルタ、電磁波シールドフィルムなどのEMC(電磁両立性)対策部品。ESDサプレッサ、チップバリスタなどの回路保護部品などである。

図A コモンモードノイズフィルタ (上)とチップ形積層バリスタ(下)

 この中には、ユニークな特徴を備えた製品も多い。例えば、コモンモードノイズを除去するフィルタである(図A(上))。大きな特徴は、小型化を追求するために、フェライトシート、非磁性体シート、コイルなどを重ねて、一括して焼成する独自技術で実現した積層構造を採用していること。その積層構造とコイルパターンを組み合わせることで、高速信号の幅広い周波数に対応する品揃えを展開している。

 0402タイプの小型品や2連タイプなどのチップ形積層バリスタも同社の高い技術力がうかがえる製品だ(図A(下))。いろいろな誘電率を有する独自開発のバリスタ材を駆使し、幅広い用途への品揃えを実現している。

 同社は、対策デバイスをベースにした様々なソリューションを提供している。その中には、豊富な製品ラインアップを揃える同社だからこそ提供できる優れたソリューションが多い。

お問い合わせ
  • パナソニック株式会社

    オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 デバイスソリューション事業部

    URL:industrial.panasonic.com/jp/ds/intro