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産業用サーボシステムSANMOTIONの新製品

生産設備にはなくてはならない産業用モータの分野で、顧客ニーズに応える高性能・高信頼・高付加価値な製品を提供しているのが山洋電気だ。国産モータのパイオニアとして60年を超える歴史を背景に持つ同社は、顧客の装置や機器に合わせ、細かなカスタマイズを柔軟におこなえるため、業界からの支持も厚い。同社のラインアップから3製品を紹介する。

技術力や製品企画力に定評の「SANMOTION」ブランド

佐藤 良 氏
山洋電気株式会社
営業本部 副本部長
サーボシステムビジネス担当

 山洋電気は、産業用サーボシステムを「SANMOTION」というブランドでラインアップしている。同社は1952年にACサーボモータとDCサーボモータを国産第1号[*]として製品化。1959年にはステッピングモータをやはり国産第1号[*]として製品化した歴史を持ち、国内における産業用モータのパイオニア的な存在といえる。

[*]いずれも同社調べ

 同社は製品企画力や技術力に定評があり、高速フィールドバスシステムのEtherCATインタフェースを搭載した製品の開発にいち早く着手。業界の先陣を切る形で2009年にはEtherCATインタフェース搭載のサーボアンプやモーションコントローラを製品化し、省配線や高性能化のニーズに応えてきた。

 また、同社は顧客の多様かつ高度な要望に応えるカスタマイズ力を強みとしている。カタログには標準モデルが掲載されているが、出荷台数のおよそ70%をカスタマイズ品が占めるという。モータのシャフトや取り付け部の形状、巻線仕様、エンコーダの分解能など、モータが組み込まれる装置や機器の仕様に合わせて、柔軟にカスタマイズできる。

 「お客さまの装置や機器の競争力を高めるのが当社の役割です。お客さまの課題を理解しながら、より優れたカスタマイズ製品をご提案できるよう努めています」と、同社営業本部でサーボシステムビジネスを統括する佐藤良氏は説明する。

 ここでは同社の新製品から3モデルを紹介しよう。

高性能を実現した20mm角の小型ACサーボモータ

中村 宣敏 氏
山洋電気株式会社
営業本部
サーボシステムグループ
グループ長

 まず、フランジサイズ20mm角の小型ACサーボモータ「SANMOTION R」を紹介する。これらは、チップマウンタのほか、半導体製造のボンダやハンドラなどへの組み込みを想定して開発された小型ACサーボモータだ。

 複数のモータを並べて配置するチップマウンタのような装置に最適な製品となっている。

 小型モータで不足しがちな瞬時最大トルクを同社の従来品に比べて17%も向上させた(型番:R2GA02D20FXC00の場合)。また、最高回転速度を20%高めて6000min-1を実現する一方で、8.5%もの軽量化を達成している(20W品の場合でわずか130g)。このサイズにおいては業界トップクラスの性能だという。

図1.業界トップの高トルクを実現したフランジサイズ20mm角の小型ACサーボモータ「SANMOTION R」
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 「トルク性能や回転数の向上によって位置決め時間が短縮されるとともに、ワークヘッドなどの可動部を軽量化することができるため、お客さまの装置や機器の性能向上が図れると考えています」と、山洋電気でサーボシステムの営業を担当する中村宣敏氏は説明する。

 また、最適な磁気回路の設計によりコキングトルクを低減し、より滑らかな回転を実現した。

EtherCAT対応の多軸サーボアンプが登場

図2.EtherCATインタフェースを備えた4軸一体型サーボアンプ「SANMOTION R ADVANCED MODEL」
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 次に紹介するのがEtherCATインタフェースを搭載した4軸一体型のサーボアンプだ。「小型ロボットやチップマウンタなど、複数のモータを使う装置や機器に適したアンプです。EtherCATでも小型化を図りたいというお客さまのニーズに応えて開発しました」と中村氏は説明する。筐体サイズは高さ200mm×幅50mm×奥行き130mmとコンパクトだ。

 主回路電源はDC48V、制御電源はDC24Vである。モータから発生する回生電力をほかのモータの電力として利用する回生機能を搭載しており、省エネルギー性にも優れる。

 インタフェースにEtherCATを採用しているため、4軸でありながら上位コントローラとの配線は、イーサネット用のケーブル1本で済み、省配線と接続工数の削減が可能だ。また、通信速度は100Mbps、最短通信周期125μsと高速なEtherCATの性能を生かして、位置指令や速度指令をより高速に伝えることができる。

 山洋電気では、EtherCATの標準化と普及を進める業界団体「ETG(EtherCAT Technology Group)」や国内の部会組織である「EtherCAT協会」に早くから参加し、技術開発や各メーカの製品との接続検証などに取り組んできた。その意味でも山洋電気のサーボシステムは安心して使えるだろう。

多回転タイプながらバッテリ不要のアブソリュートエンコーダ

 最後にバッテリレスのアブソリュートエンコーダを紹介しよう。モータの回転角度や回転数を原点からの絶対値として出力するアブソリュートエンコーダは、装置や機器に電源を投入した際にモータで駆動されるワークを原点(ホームポジション)に復帰させる必要がない。電源を遮断すると位置の情報を保持できないインクリメンタルエンコーダに比べてタクトタイムの短縮が図れるなどのメリットがある。

 従来は、アブソリュートエンコーダであっても、1回転(360°)を超えて回転角を出力する多回転タイプは、電源がオフのときでも情報を保持するとともに外力による回転を検知できるように、バッテリを接続しておく必要があった。「バッテリには寿命があるため定期的な交換作業が必要であり、モータの使用数が多ければ多いほどメンテナンス作業の負担が大きくなってしまいます」と中村氏は課題を指摘する。

図3.バッテリレスを実現した小型・高精度のアブソリュートエンコーダ「SANMOTION Model No.HA035」(右端部分)
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 バッテリを使うことなく多回転に対応したアブソリュートエンコーダを実現しようと山洋電気が開発したのが「SANMOTION Model No.HA035」である。小容量の発電素子を内蔵して電力を得るという独自の方式が採用されている。顧客の課題に取り組んだ製品といえるだろう。

 1回転内分割数は最大23ビット(約839万)で、±3万2768回転の多回転に対応する。絶対角度精度は、通常仕様品で0.1667°、高精度品で0.0167°と高い。また、エンコーダ内部の発熱を低減したため、使用温度範囲は-20℃~+105℃と広く設定されているほか、耐振動性能にも優れている。

 「バッテリ交換が不要ということで、お客さまに大変好評です」と佐藤氏は述べる。

「サーボシステムを通じてお客さまの省力化や自動化に貢献します」

システムコントロールフェアで省力化・自動化を実現できる製品を展示

 山洋電気は上記の製品を含む様々な新製品を、2015年12月2日(水)から12月4日(金)に東京ビッグサイトで開催される「システムコントロールフェア 2015(SCF 2015)」(http://scf.jp/ja/)の同社ブースに展示する予定だ。

 「バッテリレスのアブソリュートエンコーダなどのほか、EtherCAT製品、ステッピングモータ、ACサーボモータなど、お客さまの装置の性能を高めるための高精度・高信頼・高付加価値な製品を多数展示します」と佐藤氏は話す。

 モータやモーションコントローラの動作を分かりやすく伝えるために、多関節ロボットの展示なども予定している。また、高速かつ高精度な位置決めを実現する制振制御を体感できるデモもおこなわれるという。

 山洋電気ならではの、高性能サーボシステムを通じて、ものづくりの省力化や自動化を実感できる絶好の機会となるだろう。ぜひ足を運んでいただきたい。

図4.「システムコントロールフェア 2013」での山洋電気のブース
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