日経テクノロジーonline SPECIAL

半導体はあらゆる産業の基盤技術、SEMICONは業種と分野を超えた情報交差点

半導体の応用分野は広い。さまざまなモノをネットにつなぎ、そこからデータを吸い上げ活用するIoT時代には、応用分野がさらに広がり、消費量もさらに増えることが確実だ。半導体産業をこれからどのような方向に向けていったらよいのか。これは、半導体業界にいる人たちだけではなく、あらゆる業種・分野の人たちにとっての関心事になっている。業種と分野を超えた情報が集まり、発信していく場となるのがSEMICON Japan 2015である。半導体のユーザーである情報システムやITサービスにかかわる人たちにとっても、見応えのある展示、聴き応えのある講演・セミナーが目白押しだ。見どころを、SEMIジャパン 代表の中村 修氏に聞いた。

──SEMICON Japan 2015では、どのような情報を発信していくのでしょうか。

中村 修 氏
SEMIジャパン 代表

中村氏 あらゆる業種、技術分野の産業が発展していく上で、半導体の重要性はますます高まっています。

 民生、自動車、産業システム、インフラ、医療など、さまざまな業種と分野で、IoTシステムやビッグデータを活用した、新しいビジネスや社会の姿が模索され始めています。こうした中、半導体産業はさらなる発展が求められています。また、半導体微細化技術が課題と言われていますが、材料や装置、デバイスの各分野が知恵を出し合うことでまだまだ進化できます。

 半導体産業の発展と技術の進化を促すため、SEMICON Japanには、技術、情報、アプリケーション業界の人々が、分野を超えて出会うことができる場としての機能が求められています。半導体は、あらゆる産業の進歩の源泉となる、業界や分野を横断する基盤技術です。半導体産業、ひいてはSEMICON Japanは、異業種・異分野の交流を演出できる優位なポジションにいると考えています。単に展示会の間口を広げるのではなく、日本の半導体産業が進むべき方向を見据えて、さまざまな業種や分野の人たちが集い、情報発信できる場。交流し、ネットワークを作ることができる場を作りたいと考えて、SEMICON Japan2015を企画しました。

──具体的には、どのような場を用意したのですか。

中村氏 半導体の新しいアプリケーションを考える場としての特別展「WORLD OF IOT」、半導体技術の新しい価値の生み出す場として2つのパビリオン「Manufacturing Innovation Pavilion」と「Sustainable Manufacturing Pavilion」、新しいアイデアを持ったスタートアップ企業がパートナーを探す場「INNOVATION VILLAGE」を設けました。

 講演やセミナーも、こうした目的に沿った内容を語っていただける講演者を招聘しています。まずオープニングキーノートで「IoTがもたらす未来」をテーマに、これからの社会、生活、ビジネスの変化に対応するために産業界に何が求められているのか、世界のトップエグゼクティブにビジョンを語っていただきます。さらに、クラウドの御三家が顔を揃える米国大使館共催の「ITフォーラム」、スマートな街と社会の展望を語る「Digital Society フォーラム」、暮らしとくるまの進化に向けた技術とビジネスの展望を語る「Smart Life & Smart Carフォーラム」等を用意しています。半導体のアプリケーションを切り開く企業が、半導体業界の方々に向けて語りかけます。

 半導体産業の方々だけではなく、あらゆる業種、分野の方々の情報ニーズに応える、三日間ではとても見切れないほど中身が濃いものになります。

産業用IoTでの議論が深化

──IoTをテーマにした特別展は、昨年に続いての設置ですね。

中村氏 昨年初めて企画したWORLD OF IOTには、トヨタ自動車やセコム、IBM、Intel、ローム、アルプス電気など、これまでSEMICON Japanに登場していなかった58の企業と団体に出展していただきました。IoTを活用したシステムやサービス、ビジネスを考える企業と半導体産業の方々の接点となる、満足のいく情報発信ができたと思います。

 昨年出展した企業や団体のほとんどが、今年も出展します。加えて、産業用IoTに関連したシステムやサービスを提供する日立製作所、シーメンスなどインフラや産業システムを取り扱う企業が新たに出展します。道路や橋梁、プラントの稼働状況や老朽化の検知などの用途で、IoTの利用が期待されています。より実践的なIoTビジネスについて語ることができる場になるでしょう。

──インフラと半導体というのは意外性のある組み合わせですね。

中村氏 インフラや産業システムは、日本企業の国際競争力が極めて高い分野です。ただし、今後も世界に向けて新しい価値を持ったインフラや産業システムを提案していくためには、既存のデバイスを組み合わせてシステムを作るのではなく、デバイス・レベルから価値を作り込んでいくことになります。このため、産業用IoTの活用を考える企業と半導体産業の方々が情報交換できるキッカケを作る場が必要なのです。

 また、センサーなどから収集したデータを分析し、活用するデータセンター関連の企業にも、出展を促しています。莫大な情報が集まるデータセンターでは、それを処理するシステムも極めて巨大です。こうした巨大なシステムを、高効率、低消費電力かつ低発熱で実現するためには、新たな半導体デバイスが求められます。

 IoTの応用の広がりと歩調を合わせ、SEMICON Japanに出展いただける企業や団体の業種や分野が広がってきています。私たちが目指した半導体の展示会のあるべき姿に向かって着々と進んでいる実感があります。

半導体産業の将来戦略を考える場

──新設したSustainable Manufacturing Pavilionでは、中古の製造装置の活用について考えるのですか。

中村氏 ここでは、“レガシーファブ”と呼ばれる200mm以下のウエハーを扱うラインを再生し、時代が求める、より付加価値の高い半導体を生み出せるようにするためのソリューションを提案します。

 IoT時代には、センサーやアナログ半導体のような200mmウエハーラインでの生産に適した多種多様なデバイスのニーズが高まります。これらは、300mmの大口径ウエハーで大量生産するメモリーやプロセッサーとは異質な生産形態が求められるデバイスなのです。最先端ではないが、デバイス構造上の革新や新材料の投入などによって、飛躍的に価値が高まる可能性を秘めています。しかも償却が終り、コストパフォーマンスの高いラインでもあります。日本国内には、こうしたレガシーファブが数多くあり、世界一のキャパシティがあります。これらは日本の資産なのです。

──確かに、半導体産業が微細加工技術に頼らず、極めて長期にわたって進歩し続けていくための方策を探求すべき時期なのかもしれません。将来、自動車が他の乗り物に代わることがあっても、将来、半導体が不要になるとはとても想像できません。

中村氏 その通りです。微細加工技術は、半導体産業に従事する方々の努力によって今のところ進化を続けています。今後も様々は分野の技術革新により、半導体産業は継続的に発展できることでしょう。Sustainable Manufacturing Pavilionは、こうした半導体産業の未来の姿を探る場になります。

──INNOVATION VILLAGEでは、どのような情報発信をするのですか。

中村氏 INNOVATION VILLAGEは2014年に欧州で、今年は米国で始めました。ここは、斬新な技術は持っているが発表の場がない、資金が足りないといった課題を抱える創業間もない企業が集い、潜在的な顧客や投資家と、事業の展開について語り合う場です。若い血気盛んな起業家に、時代を切り拓く野心的なアイデアを披露してもらい、将来の半導体産業をより重層的かつスピーディーに発展させていくためのお手伝いをしていきます。

 若い人を応援する企画は、INNOVATION VILLAGEにとどまりません。SEMICON Japanの会場の熱気を、半導体産業の若い人たちに感じてもうための数々の仕掛けも用意しています。一例を挙げれば専用ラウンジの利用、交流パーティへの参加、人気セミナーへの優先申し込み枠の用意など、特典が得られる「WELCOM CARD」を若手エンジニアに発行します。

 半導体業界の方々はもとより、半導体業界以外の方々にもSEMICON Japan 2015にお越しいただき、業界と分野を超えた議論に参加していたければと思います。

Profile
中村 修(なかむら おさむ)氏
日製産業株式会社入社
ドイツ、アメリカ勤務/半導体製造装置営業に従事
株式会社日立ハイテクノロジーズ執行役常務電子デバイス事業統括本部長
日立ハイテクノロジーズシンガポール会社代表取締役取締役社長
2014年7月 SEMIジャパン代表就任