日経テクノロジーonline SPECIAL

第2回 ジェイソン・ロペス氏 インタビュー

3Dプリンティングの進歩は、世界中を魅了するハリウッドの映画製作にも劇的な影響を与えている。近年の話題作、「ターミネーター4」「アタバー」「ロボコップ」「パシフィック・リム」などは、いずれも3Dプリンティングなしでは作品が生まれなかったといっても過言ではない。衣裳や道具などのアイデアから完成にかかる制作時間の大幅な短縮と、完成品の品質の高さ。映像に迫力とリアリティを与える高品質な演出材料が、従来では考えられなかったスピードで生み出されていくのだ。 ここでは、先日来日した米Legacy Effect社リードシステムエンジニアのJason Lopes氏の講演をベースに現在ハリウッドで起こっているものづくりの変革をレポートする。

[画像のクリックで拡大表示]

 米Legacy Effect社はハリウッド映画の特殊効果などを手掛ける。2008年に初めて3Dプリンターを導入して以来、画期的な演出を数々実現してきた注目企業だ。その中においてJason Lopes氏はリードシステムエンジニアとして3Dプリンターを駆使した特撮技術の進化を牽引してきた。彼の活躍の場は、映画の世界のみでなくCMやロボット、新たなキャラクターの創出など留まるところを知らない。

  「我々の役割は、アイデアを現実社会に取り込むこと。それを従業員のすべてが熱意を持って取り組んでいます」。という力強いコメントで、3Dプリンティングの活用事例と今後の可能性について語り始めた。

2008年、小さなパーツ作成のために初めて3Dプリンターを導入。
しかし、設置1週目で大きな可能性を秘めていることを実感

 「映像の中に登場するキャラクターを本物のように見せるように命を吹き込む。スクリーンで生きてくるキャラクターを作ることが私たちの使命です」とLopes氏は言い切る。キャラクター作りの根幹はデザインにあり、地道な作業を重ねてディテールの完璧化を成し遂げる。そこには時間と労力がかかる。しかし、「想像のかなたからやってくるキャラクターを作ることに、いつもワクワクしています。そして、このものづくりには3Dプリンティングの技術が欠かせないのです」(同氏)。彼らが手掛けるキャラクターは、CMに登場する小動物からフランケンシュタインのような古典的なものまで多岐に渡る。しかし、世界中で持っても知られているのが、「ターミネーター4」「アタバー」「ロボコップ」「パシフィック・リム」など近年話題となった映画の主人公と周囲のキャラクターたちだ。そして、彼らが身にまとうスーツや小道具のほとんどが3Dプリンティングで造られているという。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
図1◎米Legacy Effects社の作品例(出所:米Legacy Effects社)

 同社の3Dプリンター導入の経緯をLopes氏はこのように語る。

 「我々は2008年にObjet Eden 260Vを導入しました。当初の目的は、映画の演出に使うパーツを短時間で制作することでした。しかし、活用し始めてから1週間で3Dプリンターの利活用にはもっと沢山の可能性があることを確信しました。それが現在3Dプリンティングなしでは私たちのものづくりが成り立たない環境づくりの第一歩です。このマシンは7万時間もプリントしています。」。わずか1週間で3Dプリンティングの可能性を見出した彼らは、さまざまな創作と制作活動に3Dプリンターを活用していく。RP(ラピッド・プロトタイピンク)からRM(ラピッド・マニュファクチャリング)まで目的と用途に応じて多種多様な3Dプリンターを使い分けている。現在では同社の工房には昨年発売されたObjet500 Connex3 を他、様々なタイプの3Dプリンターが並ぶ。もっともハイエンドなObjet500 Connex3を設置しているスタジオはConnex Room呼ばれている。

[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
図2◎スタジオには様々な種類の3Dプリンターとそこで生まれた作品が並ぶ

3Dプリンティングは問題解決のためにある
地道な反復作業がソリューションを生み出す

 3Dプリンティング活用の最新事例として、同氏は「ロボコップ」の事例を紹介した。この事例を紹介するのに8時間は必要なほど丹念に時間をかけてこの作品を制作した。そうした中で3Dプリンティングを活用した衣裳ほか演出グッズの製作リードタイムは驚くほど短時間で、しかも高品質な仕上がりを実現し画期的な成果をもたらすことができたと言う。ここのは3Dプリンティングの最新技術が駆使されていることが見逃せない。昨年3Dプリンティング業界で話題になった、大型化、マルチマテリアル化、カラー化のベネフィットをフル活用したのだ。

  「台本を入手した私たちは、まずグローブの製作から着手しました。グローブのコンセプトデザインにConnex500のマルチマテリアル・テクノロジーを駆使しました。それから、単にグローブだけではくスーツ全体の製作に入りました。パーツを十分に断裁すればわずか一夜で完全なスーツが出来あがってしまうのです。こうしたプロセスの中で、私たちは何度も何度もテストすることが可能でした。実物を出力して検証することを繰り返す。それが短時間で行えるので問題解決を早期に図ることができるのです。まさに、3Dプリンティングは問題解決のためのテクノロジーです。地道な作業の繰り返しの中にソリューションが生まれます。そうして完成したキャラクターだからこそ、スクリーンの中で生き生きと活躍する命を吹き込むことができるのです」。Lopes氏は力強く語った。

[画像のクリックで拡大表示]

協力:ストラタシス・ジャパン

お問い合わせ
  • ストラタシス・ジャパン
    ストラタシス・ジャパン

    〒104-0033 東京都中央区 新川2-26-3
    住友不動産茅場町ビル2号館8階

    TEL:03-5542-0042

    FAX:03-5566-6360

    URL:http://www.stratasys.co.jp/