日経テクノロジーonline SPECIAL

アドバンスド・データ・コントロールズ

最適なソフトウエア開発環境を提供し、自動車やFAを柱に年率20%の成長を維持
Takashi Kawahara

アドバンスド・データ・コントロールズが好調だ。組み込みシステム向けリアルタイムOS ベンダーである米Green Hills Software 社(以下、GHS 社)の、日本を含むアジア・太平洋地域での販売代理店兼テクニカルパートナーである同社。自動車やFA 機器メーカーでの採用が広がり、年率20%もの高成長を数年にわたって続けている。好調さの背景やこれからの取り組みについて、同社代表取締役社長の河原 隆氏に話を聞いた。

――ビジネスの概要と2015 年の概況について教えてください。

河原 当社は、GHS社の統合開発環境「MULTI」や堅牢(けんろう)かつセキュアなリアルタイムOS「INTEGRITY」などを扱っています。これらの製品と保守サービスの売り上げが占める割合は、約75%に達しています。

 2015年3月から始まった当社の第34期は、とても好調です。2013年度および14年度と同様に、前年比で20%程度の成長を見込んでおり、売上高は20億円に達する見通しです。

 こうした成長をけん引しているのが、自動車分野およびFA 分野です。自動車分野で、MULTIが大手自動車メーカーのデファクトスタンダードツールとして採用され、ティア1だけではなくティア2のお客様からも引き合いをいただいています。

 FA分野では、INTEGRITYが大手FAメーカーに採用されました。伸ばしたいと考えていたFA分野での将来に向けた足掛かりが得られました。

――自動車とFA機器という日本企業が強い産業を押さえたことになります。

河原 自動車分野ではADAS(先進運転支援システム)の進化を背景にソフトの開発規模がさらに増大し、一社だけではすべてをカバーできなくなっています。しかし、開発の一部を外部のサプライヤーに委託するとき、開発環境がバラバラでは効率も品質も上がりません。自動車メーカーがMULTIをデファクトスタンダードツールとして位置付けたことで、開発環境の統一化の機運が高まり、自動車のサプライチェーンを構成するさまざまな階層からの引き合いが増えました。

 FAでは、ネットワークへの接続が当たり前になり、セキュアかつ堅牢なOS 環境が以前にも増して求められています。INTEGRITYはもともと防衛や航空宇宙をターゲットに開発されたOSです。NSA(米国家安全保障局)が定める評価保証レベル「EAL6+」の認定を唯一取得した商用OSとしても知られており、その優れたアーキテクチャーは折り紙付きです。よく冗談半分で「死なない、殺されない、侵されないOS」と表現するのですが、信頼性や堅牢性を重視されるお客様からINTEGRITYを使ってみたいとのお問い合わせがあり、採用していただいております。

GHS製品で20年以上の実績

――GHS社について説明してください。

河原 GHS 社は、もともとは言語処理(コンパイラ)を長年にわたって手掛けてきたソフトベンダーで、現在はMULTIやINTEGRITYが主力ソリューションです。

 このうちMULTIに含まれる同社のC/C++コンパイラは、組み込みプロセッサーのベンチマーキングをしている業界団体のEEMBC(The Embedded Microprocessor Benchmark Consortium)におけるテストで常にトップクラスのコード効率とオブジェクト性能をたたき出しています。また、40種を超えるプロセッサーアーキテクチャーに対応しているため、プロセッサーの種類を問わず同じ環境で開発できる特長があります。機能安全規格であるIEC 61508やISO 26262の認証も取得済みです。

 一方、INTEGRITYも、極めて堅牢かつセキュアな特長を生かして、FA 分野だけではなく自動車分野での採用実績も増えています。

 当社は、自動車やFAだけではなく、インフラやIoTの分野にもGHS製品を提案し続けます。加えて、韓国でのビジネスも軌道に乗せるべく、現地代理店と一緒に取り組んでいます。

図 さまざまな分野で採用が広がるADaCの組み込み開発ソリューション
[画像のクリックで拡大表示]

ソフト開発の見える化に取り組む

――2016 年の取り組みを聞かせてください。

河原 まず、拡大が期待できる自動車とFAのビジネスに対応する営業体制の拡充を図ります。これらの分野に関連した企業の集積地である中部地区には、現在、名古屋テクニカルセンタ(NTC)を置いています。ここを、中部支社と呼べる規模にオフィスも人員も強化し、直接取引を増やす予定です。

 また、好調な業績を背景に先行投資ができる余裕が生まれたので、開発やバリデーションの見える化を実現する新しいツール環境の開発を当社主導で進めています。

――どういったアイデアでしょうか。

河原 これまでソフト開発は、プログラムをコーディング、コンパイルし、実行ファイルをインストラクションセット・シミュレーターや実機上で動かして検証する、というのが大まかな流れでした。ただし、この流れに沿うとプログラマーは自分の作ったプログラムが動く姿をなかなか実感することができません。実際のテストは別に進める必要があるのです。

 そこで、ゲーム分野などで大きな進化を遂げているCG技術を活用し、実際の動きを仮想的に見える化しよう、という発想です。

 例えば、天候や道路状況などさまざまなシチュエーションをCGで再現して、ADAS機能や自動運転機能をテストできます。プログラムの動きを事前に把握することができれば、プログラマーも使用感を実感しながら開発できるはずです。開発やテストの効率化はメーカーにとっても大きなメリットになります。

 このようなツール環境の実現は、私自身の夢でもあります。当社は「最適なソフトウェア開発環境の提供」を使命としています。構想で終わらせることなく、実現を目指して取り組んでいきます。このような新しいツール環境の開発に向けて複数の会社と協業を進めている最中です。2016年の秋ぐらいにはなんらかの成果をお見せできればと思っています。ぜひ期待してください。

お問い合わせ
  • 株式会社アドバンスド・データ・コントロールズ
    株式会社アドバンスド・データ・コントロールズ

    〒170-0004 東京都豊島区北大塚1丁目13番4号 オーク大塚ビル

    TEL:03-3576-5351(代)

    FAX:03-3576-1772

    URL:http://www.adac.co.jp/