日経テクノロジーonline SPECIAL

アルプス電気

常にファーストサプライヤーとなることを目指し、スマホや車載をさらに拡大しつつ、IoTを着実に開拓
Toshihiro Kuriyama

スマートフォンと車載向けビジネスでの好調によって、アルプス電気は過去最高の業績を達成した。売り上げはリーマンショック前のレベルを超え、さらなる成長に向けた攻めの体制へと移ってきている。主力事業での成長余地は十分。IoTに的を絞った新市場開拓も、異業種企業とのコラボレーションによって着実に足場を固めつつある。同社 代表取締役社長の栗山年弘氏に2015年の事業総括、2016年以降の注力点と取り組みを聞いた。

――2015年は好調な業績を残せそうですね。

栗山 今上期の実績は、売上高が対前年比で20%以上伸び、売上高、利益ともに過去最高を達成できました。営業利益率も、昨年度は9%を超え、今年度は10%を超す見込みであり、この状態を持続し続けることがポイントになると捉えています。

 現在、当社はスマホと車載市場向けのビジネスが、売り上げ全体の4分の3を占めるまでになりました。このうち車載市場向けのビジネスは、3~5年先を見越した活動を行っているため、短期的に大きく変動することはないと思っています。一方、スマホ関連は製品サイクルが短く、一夜にして市況が一変するというリスクも持っています。スマホが好調な今、いかに安定した事業分野を成長させるか、同時に新たな市場向けのビジネスを育成するかが重要になります。

――今後のスマホはどのように見ていますか。

栗山 スマホ市場は、まだ伸びしろがあると見ています。当社が扱っているスマホ向けカメラのオートフォーカス用アクチュエータ「VCM」のような高付加価値な部品は、機器そのものの進化を支えるべく、今後もさらに高機能化が求められます。これに加え、今後、IoTが本格化するにあたり、さまざまなモノや機器をクラウドにつなげるハブの役割もスマホが担っていきます。それに伴い、センサーや通信関連の機能はますます強化されるでしょう。

――では、車載市場向けに注力していくことは何でしょうか。

栗山 自動車は台数ベースでの2桁成長は期待できません。当社がそれ以上に成長していくためには、電装化のニーズを捉え、当社の強みである「HMI(ヒューマンマシンインターフェース)」「センサー」「コネクティビティ」の3つの要素技術を生かした提案をし続けることが重要になります。また、これらを融合させ、先進的な操作デバイスや、より高度な制御システムの開発にも取り組みます。特に自動運転に向けた動きが世界的に活発化し、2020年を目指して、日本メーカーも積極的に技術開発しています。普及にはまだ時間が掛かると思いますが、先進運転支援システム(ADAS)から、少しずつ進化していくことでしょう。これらの動きは、当社にとって追い風と捉えています。

ファーストサプライヤーであり続けること

――スマホ向け、自動車向けともに競争の激しい市場です。勝ち抜くためには何が重要になりますか。

栗山 何より、お客様にとっての1番手である、ファーストサプライヤーになることが重要です。ここ数年を振り返ると、好調な製品では必ず、市場先導力があるお客様のファーストサプライヤーになっています。当社は7次中期計画(2013~15年)において、お客様ごとに異なる多様なニーズにお応えする「Customer in」を掲げてきました。現在の業績が好調に推移できているのは、まさにこれを徹底した成果であると自負しています。

 複数社購買が当たり前の電子部品事業では、独占は望めません。しかし、お客様にとって、サプライヤーの1番手と2番手以降では全く位置付けが異なります。1番手は、一緒に製品を開発し、生産計画を共有するパートナー。これに対し、2番手以降は、調達の調整役にすぎません。先行きが不確実な状況の今だからこそ、1番手であることがとても重要になります。

――新市場向けではどのような点がポイントになりますか。

栗山 先に述べた当社の強みを生かせる新たな市場として注目しているのがIoTです。IoTシステムは、データを吸い上げるフロントエンド、クラウドのインフラ、価値の高いサービスを提供するプロバイダーと、大きく3つの部分に分けて考えることができます。このうちフロントエンドでは、特にセンサーとコネクティビティがキーテクノロジーとなるはずです。私たちはそこで貢献できる製品の提供に注力しています。

 しかし、センサー単品を提供するだけでは付加価値は高まりません。豊富なセンサーバラエティを通信モジュールと共に小さくパッケージにし、さらに、ゲートウェイ的な機能としてファームウエアも含め提供します。また、システムインテグレーターやベンチャー企業など、異業種とのコラボレーションを推し進めています。当社が自らサービスビジネスを行うのではなく、専門的な力を持った企業が集まる共同事業体の1社でありたいと思っています。

――手応えはいかがですか。

栗山 まだこれからですね。IoTは関連業種が多く、ターゲットが絞りにくい点が難しいところです。しかし、市場が拡大することは確実です。まずは、多様な業種の企業と協業し、経験と知見を蓄積していきます。私たちは汎用性の高い部品を提供する企業として、現在では約2000社と、非常に多くのお客様とお付き合いしています。このチャンネルを生かして事業化を進めていきます。

図 CEATEC JAPAN 2015で注目を集めた“IoT Smart Module”
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グローバル全体で事業を最適化

――戦略が着実に実を結び始める中で、次は何をするのでしょうか。

栗山 2014年度、ようやく売り上げがリーマンショック前のレベルに戻り、財務体質も回復しつつあります。今後も、売上高を毎年更新していきたいのですが、リソースには限りがあるため、いかにして生産性を上げるかが課題です。日本国内で進めてきた生産性向上の取り組みを、グローバルな規模に広げ、全体最適化をしていきます。開発場面では、これまで、それぞれの国や地域で自活できる力を養うため、現地ニーズに合った製品を現地開発する「Design in Market」を徹底してきました。これからは、それぞれ高めてきた力を持ちより、グループ全体のアウトプットやパフォーマンスの向上につなげる「Design for Global」を目指していきます。

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