日経テクノロジーonline SPECIAL

アラスジャパン

柔軟性が高いモデルベースのPLMで、ものづくりをビジネスの視点から最適化
Masahiko Hisatsugu

PLMソリューション「Aras Innovator」を提供するアラスジャパンが、日本法人設立3年半を経て業績が拡大期に入っている。モデルベースSOAというArasInnovatorのアーキテクチャーの利点を生かし、受注生産型の製造業からの支持や、設計者のコラボレーションニーズにも対応したPLMであることがその理由だ。同社 社長の久次昌彦氏は、ものづくりをビジネスの視点から最適化できるソリューションへ、機能を拡張していく方針を示した。

――業績が好調ですね。

久次 おかげさまでAras Innovatorのユーザーは、この1年でほぼ2倍になりました。2012年5月に米Aras社の日本法人として事業を開始して以来、スモールスタートによるPLMの導入を提案してきました。このアプローチの効果を実証していただいたお客様が導入範囲を広げており、それがユーザー数を急激に伸ばした要因になっています。毎年行っているユーザーイベントも、規模が前年の1.5倍に拡大し、会期を2日間に広げました。ユーザーの拡大を確かに実感できた2015年でした。

 特にユーザーが増えているのは重工業分野です。川崎重工業様をはじめ、日本の重工メーカーにAras Innovatorを使っていただいています。その理由としては、重工業における受注生産型の業務フローへの適合にAras InnovatorのモデルベースSOAアーキテクチャーが適していることが認識されたことにあります。

――モデルベースSOAというアーキテクチャーが、なぜ受注生産型のものづくりに適するのでしょうか。

久次 量産型の製品の場合、BOM(部品表)は最新の部品表情報さえあれば生産ができるからです。しかし、受注生産型の製品の場合は、最新版だけではなく、過去バージョンのBOMも利用できるようにする必要があります。

 Aras Innovatorは、モデルベースSOAに基づくシステムであるため、OOTBで提供されている標準のBOMを受注生産型に組み替えることが容易です。モデルベースSOAの柔軟なアーキテクチャーを使えば、現在多くの企業で困っている組み込みソフトウエアの管理(ALM)やモデルベースのシステムエンジニアリング(MBSE)も実現可能となり、その事例も出てきています。このように、製造業個々のビジネスモデルに合わせて柔軟に組み替えられるため、導入したPLMに束縛されることなく自社の強みを生かした業務プロセスを構築できます。

 またAras Innovatorは、アップグレードサービスをサブスクリプション契約の中で実施しており、PLMに蓄積したデータを維持しつつ最新のOSやデバイスに対応することができるため、古いバージョンによるサポート切れに悩まされることがないことも、お客様から大変評価されています。

設計意図を残して資産化

――その最新バージョンとして、2015年にver.11の提供を始めましたね。その特徴を教えてください。

久次 ver.11の特徴的な機能の1つは「Visual Collaboration」です。CADやExcelなど設計の成果物を、それに対するコメントなどと合わせて管理する機能です。品番や図面ごとに、指摘事項などを残すことができます。

 従来もビューワー画面の中でコメントを残すことはできました。しかしそれを後で検索できませんでした。コメントの内容には、その企業のノウハウが詰まっています。それを有効活用できるようにしました。

 製品の設計の中には、デザインの意図が理解されないまま、そのまま引き継がれているものもあります。なぜそのようなデザインになったのか必然性が分からないと、流用設計を進めることができません。しかし意図をきちんと残す方法がなかったのも事実です。

 これを解決するために、PLMの中には、SNSに似た機能を新たに搭載する動きもあります。確かに、SNSでユーザー同士の情報交換を可能にすれば、設計の意図を残せるような気がします。しかし実際には、SNSとは少し性格が異なるのです。やはり設計作業の現場に合わせたコラボレーションができなければなりません。Visual Collaborationは、単なるSNS機能とは違い、設計のノウハウを確実に蓄積し、生かしていくことにフォーカスした機能になっています。

 Aras Innovatorはサブスクリプション形態で提供しているため、ユーザーは追加費用無しでVisual Collaborationを利用でき、アプリケーションのバージョンアップや、データの移行など、工数が掛かる作業が不要です。ノウハウの蓄積とコラボレーションは、すぐにも適用できます。

図 Aras Innovatorの最新バージョンでは、設計意図を図面に残してコラボレーションに活用できる
[画像のクリックで拡大表示]

――コラボレーションを可能にしたAras Innovatorを軸に、2016年はどのような事業を展開する予定ですか。

久次 当社が現在事業のテーマに掲げているのが、「Business of Engineering」の推進です。ものづくりをビジネスの視点で捉えて、最適化できるソリューションを提供していくことを目指しています。

 ものづくりを支援するソリューションには、CADやCAEなど、さまざまなものがあります。ただし、これらは個別のツールの視点でしかありません。いわば「Science of Engineering」です。もちろんそのツールの存在意義は少なくありませんが、ものづくりをソフトウエアツールの個別機能の視点でしか見ていません。

 ものづくりで行われる図面を作ったり、組み立てたり、試験して解析したりすることは別々の作業ではありません。調達や品質管理、生産技術などあらゆる部門の作業がつながり一体となってものづくりに取り組むことで、全体の最適化を進める必要があります。そのためには相互で情報を共有させ、ものづくりのビジネス全体視点でのROIが明確に分かるようにすべきです。

 さらに情報を共有しながら、作業担当者に必要な情報を必要な粒度で提供する必要もあります。同じCADの図面でも、設計者が描く図面と、調達担当者が発注に使う図面では、必要とする情報の粒度が全く異なります。全体での最適化と同時に、コンテキストに沿った個別での最適化も必要なのです。

 モデルベースSOAで提供されるAras Innovatorはシステムの柔軟性が高く、ものづくり基盤の理想を追い求めるユーザーに幅広い選択肢を与えることができます。これからも利用法を啓蒙しながら、Business of Engineeringを実現できるソリューションとして提供していく方針です。

お問い合わせ
  • アラスジャパン合同会社
    アラスジャパン合同会社

    〒107-6334 東京都港区赤坂5-3-1 赤坂Bizタワー34 階

    TEL:03-5797-7920

    URL:http://www.aras.jp/

    メールでのお問い合わせはこちら