日経テクノロジーonline SPECIAL

デルタ電子

自然環境を生かす理にかなった技術で 日本のものづくりを支えるデルタ電子 デルタ電子 代表取締役 柯 進興氏

パソコン用電源などでよく知られるデルタ電子が、メガソーラー用のパワコンや自動車用の換気装置や充電装置など産業分野の製品でも存在感を増してきた。同社の技術の特徴は、自然環境や地形など機器の利用環境の利を生かして、効果的かつ環境にやさしい製品を提供する点にある。その理にかなった製品は、日本市場での評価が着実に高まっている。日本法人 代表取締役の柯 進興氏に、2015年の国内での事業の状況と、2016年の展望と戦略を聞いた。

――デルタ電子にとって、2015年の事業環境はどのようなものでしたか。

 産業全体の成長が鈍化し、市場全体の成長は期待できない年でした。このため、当社ではシェアを拡大できる戦略に注力。その結果、既存分野では、2014年と同等の水準を維持できました。加えて、新規事業である太陽光発電用のパワーコンディショナが成長し、熱対策製品での新規応用の開拓ができました。当社は、事業の基盤をIT(Information Technology)からET(Energy Technology)へと戦略的に移行しています。狙った方向にしっかりと向かっています。

理にかなったデルタ電子の製品

――パワコン事業の成長は、何が功を奏したのでしょうか。

 固定価格買取制度(FIT)の見直しなどもあって、太陽光発電市場自体の成長は期待できませんでした。こうした中で、かねてから当社が提案してきた分散型システムのメリットが着実に認知されてきました。小出力パワコンを組み合わせて、地形の変化に応じた柔軟なシステム構成を採ることができる分散型は、まとまった広さの土地を確保しにくい日本に適した構造です。市場が冷静になった今、導入する施設を合理的に選んだ結果、当社の製品が選ばれました。パワコンの品揃えは、これまで家庭用中心でしたが、産業用製品も揃い、これからが楽しみです。

――熱対策製品では、どのような分野に応用が広がったのでしょうか。

 熱対策製品では、エアコンを使った力ずくの冷却ではない、空気の流れを作り出して効果的かつ理にかなった冷却技術が、さまざまな分野で注目され始めました。例えば、自動車の中にいる人の体感温度を下げる場合、これまでならばカーエアコンの利用に頼りがちでした。近年、シートの中にファンを仕込み、送風することで、最小限の電力消費で、体感温度を下げる仕組みを導入するメーカーが出てきました。こうしたスマートな熱対策は、太陽光発電のパワコンや産業機械、データセンターなどでも見られる潮流です。

――産業分野でもデルタ電子の製品の利用が広がっているのですね。

 これまで、当社の日本でのお客様は民生分野が中心でした。こうした熱対策製品で、当社は、戦略的注力分野である自動車、産業機器向けでの実績を作ることができました。自動車産業では、車内の換気や送風以外にも、電気自動車のオンボードチャージャー、家庭で使う外付けの充電器、パーキングエリアでの充電器、急速充電器の商談をいただいています。また、産業機器の分野では、生産ラインの自動化促進に貢献できると考えています。日本の企業が産業機器を世界市場に展開するとき、仕向地のものづくりの特徴に合わせたローカライズがとても重要です。世界市場で豊富な実績を持ち、現地の顧客のニーズをつぶさに把握している当社がお手伝いできます。

医療機器にも事業を展開

――2016年にはどのような事業を展開しようと考えているのですか。

 新しいことに挑戦する準備を進めています。まず、電力関係の分野では、電力自由化によって、新しいビジネスモデルの誕生が見込まれています。当社では、太陽光発電用のパワコンだけではなく、バッテリーも含めて、より付加価値の高いシステムを提供していきます。三菱重工業からリチウムイオン二次電池の事業を引き継いだことで、2016年からは自社ブランドでの生産ができます。また、世界中で実績を積んできたネットワークシステムを組み入れたソリューションを提供し、電力消費のデータをスマートメーターから収集し、需要を分析して行うデマンドレスポンス事業にも貢献していきます。

 こうした新しい取り組みの効果を実証する場として、当社が所有する4MWの太陽光発電所「赤穂エナジーパーク」を赤穂市に建設中です。2016年1月には稼働開始します。太陽光発電の他、蓄電システムも据え付け、地域を対象としたデマンドレスポンスへの貢献にも取り組み、次世代太陽光発電所の一つのモデルを提案していきます。

図 デルタ電子の事業領域
[画像のクリックで拡大表示]

――電力関連での幅が広がりますね。

 医療関連でも新しい取り組みを始めます。まずは、競争力の高い技術の強みを生かして、医療機器用の電源に参入します。CTスキャンや粒子線でのがん治療、X線診断装置などで、100kVといった高圧対応、精密制御、高信頼性を兼ね備えた高度な電源が求められています。こうした電源に取り組むことができるメーカーは限られています。当社は、約10年前からドイツの研究拠点で技術開発を進めてきた成果を携えて参入します。さらに、超音波やX線の診断装置への参入も考えています。台湾で、X線診断装置の会社に投資し、その準備を進めています。

 自動車、産業機械も2016年にさらに強化したい分野です。特にIA事業は、今後長年にわたって当社のビジネスの柱になると考える、重要な分野です。日本には世界的FAメーカーが多く、市場開拓は容易ではありませんが、多くのユーザーがIA製品に新たな選択肢が現れることを望んでいます。じっくりと提案活動を強化していきます。こうした活動を加速するための拠点として、自動車、航空宇宙、産業機械、工作機械の企業が集積する中部地域に、2014年12月に営業所を開設しました。2016年には10名が常駐する体制を整える予定です。お客様の下に足しげく通い、ニーズをいち早くつかんで対応していきたいと思います。

――日本でのデルタ電子の存在感が大きくなってきますね。

 日本の産業分野の企業をお客様とするためには、信頼される企業である必要があります。デルタ電子は、企業の安定性を評価するダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックスに5年連続で選定され、世界の主要電子設備・機器・部品企業で首位の評価を受けています。

お問い合わせ
  • デルタ電子株式会社
    デルタ電子株式会社

    〒105-0012 東京都港区芝大門2-1-14

    TEL:03-5733-1111(大代表)

    FAX:03-5733-1211(大代表)

    URL:http://www.delta-japan.jp/