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イグス

樹脂製のケーブル保護管、ケーブル、ベアリングなどを開発・製造し、グローバルに展開するイグス。独自開発のエンジニアリングプラスチックを使い、金属製と違って錆びず高温にも耐えるメンテナンス性の高い製品を世に送り出してきている。製品のユニークな特長をアピールすることで積極的に市場を開拓。日本法人の業績も急成長しているという。日本法人を率いる北川邦彦社長に、同社の最新状況と戦略について聞いた。

――最初に、2015年の状況から教えてください。

北川 中国向けの工作機械や産業用ロボットの需要がやや落ち込んだものの、前年比プラスの売り上げを確保しています。海外で使うロボットでも日本で製造して持ち込むことが多いため、日本法人も海外市況の影響を若干受けています。今、期待が大きいのは自動車関連とインフラ関連分野で、いくつか大型の案件が動いています。

――2015年度の業績は。

北川 ここ数年、実質売上高で前年比+20%を目標に設定し続けてきています。2015年も目標達成に向けて果敢に取り組んでおります。商談ベースでは堅調ですが、中国市場の変調などからお客様が慎重になってきている面はあると思います。

――業績が手堅いのはなぜでしょう。

北川 特に、金属から樹脂への置き換え需要が多くなっています。食品や医療分野では、置き換えによるメンテナンス費用の削減、潤滑オイルが付着するリスクの低減、薬液への耐性などが評価され、採用が増えています。

ベアリングの認知度がアップ

――2015年の大きな成果を教えてください。

北川 ひとつは、ケーブルとベアリングの認知度が上がってきたことです。「ケーブル保護管」「ケーブル」「ドライテックベアリング」という3つの主力製品のうち、従来は売上高の大部分をケーブル保護管が占めていました。これが、認知度が上がるにつれて他の2つの売り上げが目に見えて伸びてきました。

 次に、4月に「バーチャル展示会」を自社のホームページに立ち上げたことが挙がります(図1)。製品のラインアップの紹介だけでなく、実際に製品が使われている様子を動画で見ていただけるコンテンツです。これまでお客様に製品を見ていただく機会は展示会が中心でした。ところが、東京や大阪などで開催されている展示会には意外に地方のお客様が来ていないことが分かりました。そこで、場所や時間を問わず自由に製品を見ていただけるバーチャル展示会を立ち上げることにしました。

図1 「イグスバーチャル展示会」
www.igus-japan.jp)の画面
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――開設後の状況はいかがですか。

北川 毎日のように新しいお客様がバーチャル展示会を見て下さっています。実際に、ご覧になったお客様からウエブを通じて問い合わせがあり、商談に結びついた事例も出てきています。特に、樹脂で出来たドライテックベアリングの案件が増えています。これはベアリングがケーブル製品よりも幅広い用途で使われているからだと思います。

 ドライテックベアリングは、従来の金属製ベアリングと置き換えることで、メンテナンスの負担を減らせるなどの利点をもたらします。バーチャル展示会を通じて、この利点に注目するお客様が増えているのでしょう。

別次元の性能を持つプラスチック

 樹脂には脆弱なイメージがあるかもしれませんが、イグスは従来とは別次元の性能を持った樹脂を開発、製品に採用しています。例えば、10トンを超える大型トレーラーの車両とコンテナの連結部に使用する高強度の樹脂ベアリングや、製鉄所内の設備向けに常温で250℃、瞬間で800℃の耐熱性を持つ樹脂ケーブル保護管などの実績があります。ケーブルやケーブル保護管を金属より軽く細くできるため、軽量化によって稼働に必要なエネルギーが5分の1になった例もあります。

 2015年の3つ目の成果は、ロボットに実装した事例を公開できたことです。日本法人25周年を記念して12月2日~5日に開かれた2015国際ロボット展にフォーカスして、さまざまな開発を進めました。展示会では、ロボットハンドのデモ機やヒト型ロボットをはじめ、イグスの製品が随所に組み込まれた多様なロボットを展示しました(図2)。日本のお客様にも、今後の成長が見込めるロボット分野において、私たちの製品を採用するメリットに気付いていただける機会を提供できたはずです。

図2 国際ロボット展に展示したロボット。
樹脂技術の結晶であるロボットハンド「ロボリングD 関節ユニット」と、ボン大学と共同開発し、サッカー大会にも出場した「NimbRoロボット」。
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――2016年の目標を教えてください。

北川 引き続き対前年比20%の売り上げ増を目指します。2012年に私が社長に就任したとき、5年間で売上高を2倍にするという目標を立てました。これを実現するためには、毎年20%の成長を目指す必要があります。

 売り上げを伸ばすために、開拓するマーケットセグメントを広げるつもりです。本来、イグスの樹脂製品を使っていただいていても良さそうなのに、採用されていない分野がまだまだあります。新しいマーケットセグメントのお客様に、金属製から樹脂製部品の置き換えを提案していくことによって、さらに売り上げを伸ばしていくことができると考えています。

成長に合わせ生産性をさらに強化

――目標達成に向けた取り組みを教えてください。

北川 事業リソースが限られている中で売り上げを伸ばすには、業務の効率化を図り、受注から納品までのリードタイムを短縮する必要があります。言い換えれば、お客様の要望にいかに早く応えていくかということです。このため、基幹業務ソフト(ERP)の刷新や新しい営業支援ツールの導入を進めて、営業の機動力を高めてまいります。また、栃木にある工場も拡張しています。製品のストックを増やし、生産性の向上を図って、お客様へのデリバリータイムを短縮できるように取り組んでいきます。

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

北川 お客様には「こんなことができないか?」「こんなモノがあったら…」という要望があると思います。不可能だろうと決めてしまわずに、どんどん私たちに投げかけてください。イグスには、いただいた要望を真摯に向き合い、実直に取り組んでいく社風があります。是非、私たちに挑戦する機会を与えてください。

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