日経テクノロジーonline SPECIAL

キーサイト・テクノロジー

世界最大の電子計測専業メーカーとして、2014年に新たなスタートを切ったキーサイト・テクノロジー。ヒューレット・パッカード社、アジレント・テクノロジー社と綿々と受け継いできた技術と人材を生かし、計測器の販売だけにとどまらない高い専門性に裏打ちされたソリューションやコンサルティングサービスを提供している。2015年11月にキーサイト・テクノロジー 職務執行者社長 電子計測本部長に就任したチエ・ジュン氏に、現在の事業状況と今後の戦略を聞いた。

――アジレント社から独立して1年以上経過しました。現在の事業状況は。

チエ 2015会計年度の売り上げは、ワールドワイドで29億米ドル(3500億円)でした。また、直近の利益率は19.5%と高く、これほどの水準を維持し続けているハイテク企業は、それほどないと思います。

 アジレント社の電子計測部門だった時代は、まず利益を出すことが重要でした。独立した現在は、電子計測事業で力強く成長していくことが求められます。ただし、電子計測市場は大きな成長が見込めません。新しい市場・商品・サービスの創出が何より重要であり、キーサイトはその成長戦略をグローバルな視点から考えています。

日本市場重視には戦略的な意味がある

――キーサイトの中で、日本市場はどのように位置付けられるのでしょうか。

チエ アジア全域では欧米を上回る売り上げがあり、アジアパシフィックでの事業を担う新しい組織を設け、私が責任者として赴任しました。日本法人は、ここの要となる役割を持っています。ワールドワイドのキーサイトの中でも日本は、お客様と社内従業員の量と質、開発される技術の先進性で他の国や地域を圧倒しているからです。特に、自動車、ロボット、医療、産業機器、5G携帯電話などの技術開発で、世界をリードする存在です。

――約16年ぶりの日本勤務ですね。現在の日本市場を社長としてどう見ていますか。

チエ 日本のお客様のニーズをより深く理解し、グローバルのキーサイトが連携し日本やアジアパシフィックのお客様のニーズに合う製品やサービスを迅速に提供することがより重要になっています。私は日本法人に入社後、オシロスコープなどデジタル関連の製品を作る米国コロラド州の事業部に16年いました。この経験を日本法人で生かすことも赴任した理由の1つです。

 日本企業が、世界をリードする技術を開発する力を持つことは明らかです。これまでは、技術レベルが高い日本のお客様と日本のキーサイトだけで問題を解決できていました。これからは、海外の事業部と日本の間で、もっとシナジーを出せると考えています。

 また、日本のよさに、キーサイトがグローバル市場で得た経験やノウハウを加味すれば、日本のお客様がもっとグローバル市場で活躍できるように、サポートできると考えています。日本企業は、よい技術や高品質な製品を生み出すことに関しては類を見ない力を発揮します。しかし同時に、グローバル市場で勝ち抜くためのコストやスピードで悩みを抱えていると聞きます。ここに、キーサイトがお役に立てる余地があります。

――日本を数ある市場の1つではなく、グローバルな事業を進めるうえで、戦略的に位置付けているのですね。

チエ もちろんです。アジアパシフィックの中で、約半分が日本で売り上げており、市場そのものも大切です。それ以上に、私たちのグローバル市場での成功は、日本のお客様の成功なしには成し遂げられません。キーサイトは、最先端の研究開発を支援する技術や製品・サービスを提供する企業ですから、日本の先進的なお客様との密な連携こそが生命線なのです。

サプライヤーからパートナーへ

――現在どのような分野に注力されているのでしょうか。

チエ 5Gをはじめとするコンシューマーワイヤレス、防衛を含む航空宇宙産業、自動車、パワーエレクトロニクス、光ネットワークを含むハイスピードデジタルの5つの分野にフォーカスしています。

 そのうち、5Gは2018年に韓国でトライアルサービスが、2020年には日本で商用サービスが開始されます。キーサイトは日本を含む世界各国のリーダー企業と既に19もの共同研究開発プロジェクトを進めています。

 超最先端分野である航空宇宙防衛産業では、キーサイトの計測技術が圧倒的なシェアを持っています。

 自動車は、日本企業がとても強い分野です。ここでは、電動化や電子化が進み、自動車は単なる機械製品ではなく、検証すべき機能が複雑に絡み合った電気・電子システムの塊になりました。自動運転の実現に欠かせないレーダーをはじめ、防衛関連の技術が使われ始めました。こうした機能の測定・検証では、キーサイトの実績が生きます。

 省エネ社会を目指すパワーエレクトロニクスでは、キーサイトが持つ回路設計や部品測定の技術でデバイスの高周波化に対応します。

――今後どのような製品・サービスを提供していくのでしょうか。

チエ キーサイトは、EDAのシミュレーション環境から、据置型・携行型・モジュール型の計測器やそのソフトウエアと、75年を超える計測ノウハウで、あらゆる場面でお客様のニーズにお応えしています。

 アイデア段階から市場投入までの事業過程すべてが、世界中のどこで行われていても、キーサイトには、グローバルでサポートする体制が整っています。

 さらに、新しい測定手法の開発・提供、計測手法の最適化、製造プロセスの効率化といった電子計測の課題解決だけでなく、開発から量産化へのスムーズな移行、海外工場での製造工場新設など、事業課題の解決をサポートするコンサルティングビジネスに注力していきます。

 私たちは計測器のサプライヤーや計測のエキスパートとしてだけではなく、事業を進めるうえで欠かせない企業レベルでのパートナーとなりたいと考えています。私たちには、世界のお客様が経験したさまざまな事例が蓄積されています。また、お客様では気付かない課題を、客観的に示唆できるかもしれません。

 キーサイトが、お客様の事業課題を解決するお手伝いができれば幸いです。

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