日経テクノロジーonline SPECIAL

NXPセミコンダクターズジャパン

2015年3月に米国の大手半導体メーカーFreescale Semiconductor社との企業統合を発表し、新たな事業戦略が注目されているオランダNXP Semiconductors社。同社は、得意とする認証技術を足掛かりにしながら、「車載」「セキュア&コネクティビティ」「スタンダード製品」の大きく3分野を中心に市場を開拓する考えだ。そのための具体的な戦略や日本市場に向けた取り組みなどについて、同社日本法人の代表取締役社長を務める原島弘明氏に聞いた。

――2015年を総括してください。

原島 2015年の世界全体の売り上げは、昨年に続き通年で前年を上回る見込みです。ただし、市場の様子は前年とは変わりました。第2四半期までは好調に業績は推移しましたが、第3四半期はほぼ横ばい。第4四半期は、まだ確定していませんが慎重に結果を見極めている状況です。

 日本市場だけをみると、世界全体の伸びを少し上回る結果になりそうです。2012年に日本法人の売り上げを3年で2倍にする目標を掲げ、既に1年前倒しでこの目標を達成。現在は、2018年をターゲットに、新たな目標を設定し、順調に業績を伸ばしています。

外資系初の「ベストパートナー賞」

――業績を押し上げた製品カテゴリは。

原島 いま注力している分野は「車載」「セキュア&コネクティビティ」「スタンダード製品」の大きく3つです。いずれも、さまざまな成果が生まれています。

 車載では、先進運転支援システム(ADAS)および自動運転の実用化をにらんだ活動が活発化しています。例えば、2014年末にオーストリア、ドイツ、オランダの3カ国を結ぶ協調ITS(高度交通システム)「Corridor」で、本田技研工業様の車両を使った走行テストを実施。さらに「つながる自動車(コネクテッドカー)」を実現する「V2X(Vehicleto-X)」システム向けのチップセットの量産を業界に先駆けて立ち上げました。具体的には、車車間(V2V)や車とインフラ間(V2I)通信用のチップセット「RoadLINK」を大手自動車部品メーカーの米Delphi社に供給しています。このほかドイツSiemens社とのセキュアなインテリジェント車両ネットワークの実現に向けての提携や、シンガポールの南洋理工大学(NTU)と共同で同校構内にインテリジェント交通システムの実現に向けた実証なども進めています。実験を実施するスマート・モビリティ・テスト・ベッドの構築なども進めています。

 日本では、車載用のデジタルラジオ放送受信機向けチップセットのソリューションが評価され、パナソニック様から「ベストパートナー賞」をいただきました。外資系企業でこの賞をいただいたのは私たちが初めてであり、大きな成果の一つであると言えます。

認知度の向上とともにシェア拡大

――他の2つの分野での成果は。

原島 2014年から「セキュア&コネクティビティ」という事業部門を立ち上げました。従来は、独立した事業部門として運営していた「ID認証」「コンシューマ」「産業機器」の3つを統合した部門で、私たちが得意な認証技術を軸に、コンシューマや産業機器の市場を開拓する考えです(図)。

図 スマートな世界に向けたセキュア・コネクションを提供
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 この分野でも多くの成果が生まれています。例えば、ID認証チップの売り上げが大きく伸びました。「NFC(Near Field Communication)」を搭載したスマートフォンや携帯電話端末が増えたのが理由です。ファッションやおもちゃの業界で、RFIDの採用が進んだことも、ID認証チップの市場拡大につながりました。ファッション業界では店頭の値札にRFIDを組み込む動きが広がっています。おもちゃでは、RFIDを埋め込んだカードを使って操作するゲームなどが増えているようです。

 ディスクリートやロジックLSIなどの汎用品を含むスタンダード製品では、日本市場で業績を伸ばせたことが大きな成果です。スタンダード製品はグローバル市場で、ナンバーワンのシェアを誇っています。ところが、これまで日本市場では、あまり存在感がありませんでした。豊富な種類のスタンダード製品を提供しているにもかかわらず、お客様に認知されていなかったからです。そこで、営業担当者が既存のお客様に、積極的にスタンダード製品の特長を説明するなど地道な取り組みを進めてきました。これによって市場における認知が高まり、スタンダード製品の売り上げが伸びています。

高まる飛躍の機運

――2016年の戦略は。

原島 2016年のビジネスを進めるうえで重要なポイントとなるのが、2015年中をメドに進めているFreescale Semiconductor社との企業統合です。これを契機に、私たちのビジネスは大きく飛躍するでしょう。単純に両社の売り上げを合わせると、メモリー製品を除く半導体市場で、世界第4位の売り上げを誇る企業になる予定です。大規模な企業同士の統合ですが、重なっている事業領域は多くありません。従って、製品ポートフォリオが一気に広がります。この強みを生かしてビジネスを一段と発展させたいと考えています。

 また、お客様のシステムの領域に踏み込んだソリューションの展開も可能になります。個々のソリューションごとに、開発、営業、サポートのチームを設け、お客様の競争力強化に貢献するソリューションを提供する事業を一段と加速する予定です。同時に、情報発信やサポートの強化を図っていきます。

 ただし、すべてのアプリケーションを網羅することは不可能です。そこで、私たちの技術力を生かせるアプリケーションに注力します。日本では、「車載」「コンシューマ&インダストリアル」「モバイル」「ペイメント」の4分野に力を入れる方針です。

――多くの半導体メーカーがソリューションを強化しています。

原島 確かにその通りです。当社ならではの特長あるソリューションを提供することが重要です。そのために役立つのが、既に市場で多くの実績を上げているID認証をはじめとするセキュリティー技術です。この分野のグローバル市場で、当社は大きな存在感を示しています。セキュリティー技術を生かせる分野を中心にソリューションを展開することで、競争力を高めながら、市場を開拓する方針です。

 いまNXPは、大きな変化の時期を迎えています。今後の展開にぜひ注目していてください。

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