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STマイクロエレクトロニクス

センサーやパワー製品、マイコンおよびオートモーティブ製品などをベースに幅広い製品を組み合わせたソリューションを展開するSTマイクロエレクトロニクス。もともとはイタリアとフランスの企業同士が合併して誕生し、現在は本社をスイスに置く、まさにグローバルな半導体ベンダーである。ネットワーク化とインテリジェント化が融合した「スマート」な社会の実現を見据えて、先端ソリューションの提案と開発環境の拡充を推し進めている。

――2015年のエレクトロニクス市場とビジネスを振り返ってください。

カッシス STマイクロエレクトロニクス(以下ST)の2015年第3四半期の業績発表時における見通しでは、パソコンの売り上げ減少や中国市場の伸びの鈍化などを背景にエレクトロニクス市場全体の需要がやや軟化していると見ています。そのような市況の中でも、ARMベースの汎用マイコン「STM32」シリーズ、車載用マイコン、高度運転支援システム(ADAS)向け製品、パワーデバイス、6軸MEMSセンサー、MEMSマイク、タッチ・コントローラーなどの製品群は好調です。

 また、2015年中ごろには、今後の成長が見込まれる3つの領域を定めて、全社で重点的に取り組んでいく方針を打ち出しました。具体的には、「Smart Driving」「Smart Environments」「Smart Things」の3領域です。

3つの新成長領域への取り組みを強化

――それらをテーマとして掲げた理由をお聞かせください。

カッシス 理由は大きく3点に集約されます。まず、当社のビジョンおよび社会的なトレンドに合致しているということです。STは「私たちの暮らしのあらゆるシーンで活躍する製品の提供を通じて、人々の生活を豊かにする」というビジョンを掲げています。運転、環境、およびモノのスマート化は社会のトレンドであり、当社が確実に貢献できる領域です。

 2点目の理由は、これらの領域が単一のマーケットではなく、異なったマーケットやアプリケーションを複合的に組み合わせることになるからです。そのため、先端技術を生かしたSTの広範な製品ポートフォリオやさまざまな分野におけるリーダーシップが生きてくると考えています。

 3点目の理由は、中小企業から大企業まで、さまざまなプレーヤーが関係する領域でもあり、当社の顧客ベースにそのまま合致することです。

――具体的な取り組みは。

カッシス まず、「Smart Driving」が対象とする自動車の領域では、ADASや自動運転に向け、さまざまなソリューションの開発に取り組んでいます。Mobileye社と共同開発するADAS向け画像処理プロセッサーでは、既に70%以上の市場シェアを獲得しているほか、RFレーダー用ICでも主導的地位を確立しています。また、イスラエルのAutotalks社とは、車車間・路車間通信向けICの開発で協力しており、米国の次世代道路安全規制に適合する第2世代製品を、2016年内に提供開始する予定です。さらに、車載用マイコンにもARMプロセッサーを採用することを発表しました。

 STは、「Smart Driving」を構成する3つの要素である「アシステッド」「グリーン」「コネクテッド」ドライビングの実現に向け、車載用マイコン、車載専用カスタムIC、パワーデバイスからセンサーまで、幅広いソリューションを提供していきます。

図1 マイコンや各種センサー、通信用ICなどを組み合わせたスマートシティ向けソリューションを提案
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 「Smart Environments」の領域では、効率的なエネルギー管理、環境負荷の低減、公共インフラや建物などの効果的なメンテナンスを実現するスマートシティーが注目を集めています(図1)。STは、32ビット・マイコン、各種センサー、電力制御用IC、電力メーター用IC、通信用ICなど、必要とされる多くの要素をワンストップで提供できる強みを生かし、照明、メーター、駐車場、ゴミ収集など、家庭や都市などのスマート化に貢献します。

 「Smart Things」については、柱となる「ブレイン」「センシング」「コネクティビティ」に向け、マイコン、モーション・センサー、タッチ・コントローラー、MEMSマイク、環境センサー、測距センサーなどと、Bluetooth Low Energy対応通信用ICやサブ1GHz帯通信用ICなどの製品を組み合わせたソリューションを展開します。その一例として、ウエアラブル機器に最適な、MEMSマイクとBLE対応通信用ICを組み合わせた音声制御用ソリューションをリリースしました。

開発エコシステムの強化を推進

――STが強みとするARMマイコンについて紹介してください。

カッシス 当社はARMベースの汎用32ビット・マイコンで業界最多の品種とトップシェアを誇っています。売り上げも好調で、2015年第3四半期に過去最高を記録しました。Cortex-M7搭載マイコンとして世界初となるSTM32F7シリーズの量産を開始したほか、ウエアラブル機器に最適な、超低消費電力と高性能を両立させたCortex-M4搭載のSTM32L4をリリースするなど、さらなるポートフォリオの拡充を進めています。

図2 STM32マイコンが搭載された開発ボード「STM32 Nucleo」(下)と、各種機能に対応する拡張ボード「X-Nucleo」(中央と上)
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 また、STはマイコンを中心としたシステム開発環境の拡充も推し進めています。迅速かつ低コストな開発を望まれている開発者のために、18種類のSTM32搭載開発ボード「Nucleo」を用意。さらに、BLE対応通信用IC、モーター・ドライバー、各種センサー、NFCタグなどを搭載した19種類の各種拡張ボード「X-Nucleo」、ソフトウエア開発ツール「STM32Cube」などを提供しています(図2)。

――2016年以降の日本市場での取り組みを教えてください。

カッシス 「Smart Driving」「Smart City」「Smart Home」「Smart Things」を柱として戦略を展開します。例えば、自動車関連のお客様には、既存のビジネス分野に加え、ADASなどの成長分野にも力を入れます。

 ウエアラブルやモバイル端末向けにはセンサーからパワーマネージメントIC、ディスプレイ用IC、マイコンまで最先端ソリューションを拡販します。

 また、グローバル市場で活躍されているモジュール・メーカーに向けて、マイコンやセンサー、通信機能などを組み合わせた提案を行います。さらに、新規参入やスピーディーな試作開発を望まれるお客様向けには、STM32を軸としたオープンな開発環境を積極的に提供することで、新たなビジネスの創出につなげていきます。

お問い合わせ
  • STマイクロエレクトロニクス株式会社
    STマイクロエレクトロニクス株式会社

    TEL:東京:03-5783-8220
    大阪:06-6397-4130
    名古屋:052-259-2725

    URL:http://www.st-japan.co.jp/