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電源回路やバッテリ制御回路の評価に最適な高性能かつ多機能な直流電子負荷が登場

菊水電子工業は同社の電子負荷としてフラグシップとなる多機能直流電子負荷装置「PLZ-5W」シリーズを発売した。高速なトランジェント応答、従来機40%の小型化、LEDなど非線形負荷を模擬する任意IV特性モードの搭載、使いやすさの追求などが特徴である。

市場ニーズを反映して誕生

高橋 純司 氏
菊水電子工業 株式会社 製品開発部 開発一課 課長

 電源回路やバッテリ制御回路を評価する際に重要な役割を果たすのが、電子回路の動作やバッテリの充電状態などを電子的に模擬する電子負荷装置だ。同装置の開発を長年にわたって手掛けてきた菊水電子工業の高橋純司氏は、近年のニーズの変化を次のように説明する。

 「電子回路を構成するプロセッサやFPGAなどの高速化を背景に、消費電流の急激な変動を模擬したいというニーズが高まっている一方で、大容量バッテリーの応用範囲の拡大などに伴い、大容量化も求められるようになっています」。

 そうした市場の声を反映して開発された多機能直流電子負荷装置が菊水電子工業の「PLZ-5W」シリーズである。従来の「PLZ-4W」シリーズの上位モデルに位置づけられる製品で、最大スルーレート60A/μsの実現(図1)や電圧追従特性の高速化(図2)など、最新の電子負荷装置としてトップクラスの性能を備えた製品だ。

図1■最大スルーレート60A/μsの実現により、急峻な負荷変動も再現可能
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図2■電圧印加から電流オンまでの遅延を最小化し、抵抗器の特性を忠実に再現
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 また、独自の補正回路の開発によりリンギングのない高品位な電流遷移を実現。さらに熱設計の抜本的な見直しによって筐体の小型化も図った(10.8kW構成時で体積40%減)。

LEDなどの非線形負荷も再現

 続いて動作モードについて説明しよう。PLZ-5Wシリーズは従来のPLZ-4Wシリーズと同じように、定電流モード(CC)、定抵抗モード(CR)、定電圧モード(CV)、および定電力モード(CP)を備えており、さまざまな負荷特性を模擬できる。

図3■LEDを含む非線形負荷も模擬できる任意IV特性モード(ARB)を搭載
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秋山 一男 氏
菊水電子工業 株式会社 ソリューション事業部 ソリューション開発部 SE課 主任

 さらに、同社の電子負荷製品としては初めてとなる「任意IV特性モード(ARB)」(図3)を新たに搭載した。電圧値および電流値のペアを最大100点まで登録することで、LEDのような非線形負荷も模擬できる機能だ。

 「LED照明の駆動電源の評価などを想定して開発しました。LEDシミュレータなどの専用装置では一般的ですが、汎用的な電子負荷に搭載されることは珍しく、きわめて先進的な機能と考えています」と同社で販売促進を担当する秋山一男氏は説明する。もちろんLEDに限らず、これまでは難しかったさまざまな非線形負荷を再現できるため、新たな応用にもつなげられるだろう。

使いやすさも大きく向上

 使いやすさにもこだわった。フロントパネルのディスプレイを同社の電子負荷としては初めてカラー化し、視認性の向上を図るとともに、電圧や電流などの表示桁数を増やした。また、ロータリーノブに加えて新たにテンキーも装備した。「設定値をダイレクトで入力したいというお客様のご要望を反映しました」(高橋氏)。

 また、前面の負荷入力端子を上部に設けた。評価対象の電源装置と接続する際に背面に回る必要がないため、たとえばラボで装置類を並べながら評価や実験を行うときの作業を効率化できる。「ケーブルの取り回しが楽になるようにコネクタを上部に配置するとともに、ケーブルが吸気口を塞がないようにコネクタ面を上向きに傾けるなど、細かい工夫を盛り込みました」(秋山氏)。なお、この負荷入力端子は取り外すこともできる。

 そのほか、制御用インタフェースとして、Ethernet(LXI)、USB、RS-232C、およびアナログI/Fを標準装備した。LANで接続すればパソコンやタブレットのブラウザ経由でPLZ-5Wの設定や監視も可能だ。オプションとしてGP-IBも用意される。

図4■使い勝手にこだわったユーザーインタフェース
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200Wから20kWまでラインアップ

 多機能直流電子負荷装置PLZ-5Wは2016年1月に販売を開始しており、200WのPLZ205Wから2400WのPLZ2405WB(ブースタ)まで4モデルのほかに、最大20.4kW(最大2000A)にも対応した大容量SRシリーズも提供中である。

 「電源のプロの皆様に使っていただくことを考えて開発しました。使いやすい『道具』として活用していただければ幸いです」と、開発を担当した高橋氏は述べる。

 PLZ-5Wに同社の充放電システムコントローラPFX2500シリーズと直流電源装置とを組み合わせた充放電試験システムも近日中に提供される。構成によっては直流電源による充電状態と負荷装置による放電状態とをデッドタイムなく切り替えられるため、バッテリーの動作を忠実に模擬することが可能だ。マーケットの拡大が期待されているパワーコンディショナや回生ブレーキシステムなどの評価にも最適といえるだろう。

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