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技術者が究めるべき原価計算の秘密

 売り上げの割には、なぜか利益が出ていない--と思ったことはないだろうか。現場を預かる技術者は、コストカットに血眼になっているはずだ。しかし、見込み通りの利益が出ないのは、原価管理がうまくいっていないから。技術者ならではの探究心で問題に取り組めば、必ず解決へ至る道があるはずだ。ここではそのための指針を紹介しよう。

 ある中堅精密部品メーカーのA社。経営サイドから製造現場に「原価を毎年5%下げろ」との通達があった。そして、現場の技術者たちはどこのコストをカットするかを検討し始め、改めて思うのだ。「そもそも、今の原価を正しく把握しているのだろうか……」。

行動を起こせない理由がある

 製造原価の大部分を占める原材料費を例にとってみよう。これを知るには、「在庫受払」をしっかり管理することが求められる。「入荷と出荷しか把握していない」、「完成品の実績しか把握していない」となると、どこで不良品が出ているのか、加工・組み立て経費の内訳なども見えてこない。

 今のものづくりの現場は、様々な要因に翻弄され、原価もそれ応じて変動する(図1)。不透明な景気の先行きにあって需要の予測は難しく、競合相手に勝つため、そして取引先との関係を保つため、常にコスト競争に晒されている。

図1●ものづくりの原価を翻弄する様々な要因
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 また、材料費、労務費も刻々と変わり、さらに為替で大きな影響を受ける。海外拠点の人件費も徐々に上昇して、いつの間にか看過できない領域に達している。製品のライフサイクルが短くなり、製造する品目が増えて、少量生産していく中で、工程の段取り変えの時間が製造現場に負担をかける。

 それらの報いは、利益の不足となって表れる。今までの経験で見積もりを書いていたら、いつの間にか実態から乖離した、利益の出ない見積もりになっていたとしたら、すべては、精緻な原価管理の不在が招いたものだ。

 現場では何をすればいいか。本当に儲けていくにはどうしたらいいか。外部に対して「原価が秘密」なのはいいとして、それが自分たちにも分からない曖昧なものになっていないか。