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先進的なセーフティ・システムを続々と市場投入

2015年にZFの傘下の事業部門として新たなスタートを切ったZF TRW。同社が長年培ってきた安全技術とシャシ・テクノロジーのリーディング・カンパニーであるZFの技術が有機的に結びつき、単なる両社の技術の和をはるかに超えた新たな価値が生まれている。ここでは、ZF TRWの、自動車をめぐる安全のトレンドを先取りしたソリューションを紹介する。

 ZF TRWが数多く手掛ける車載セーフティ・システムの中で、先進的な特長を備えている製品が揃っているのがエアバッグ・システムである。中でも注目すべき製品の一つが、後部座席用エアバッグ(「SCARAB」)である。前部座席用エアバッグ・システムの市場で多くの実績を誇る同社は、座る人の年齢や体の大きさ、前部座席の距離などさまざまな環境に適応する先進的なシステムをいち早く導入している。同社は、前部座席用エアバックの技術やノウハウをベースに、シートベルトと連動させることで安全性を高めた後部座席用エアバッグ・システムを開発した(図1)。

図1 新開発の後部座席用エアバッグ・システム
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 「SCARAB」は、前部座席の背面に搭載する。前部座席は前後にスライドして位置を調節できるため、後部座席の乗員とエアバッグとの距離が変化する。ZF TRWの高度な後部座席エアバッグはユニークな形状をしており、前部座席と後部座席乗員との距離に応じて調節される。前部座席がかなり前方にある場合でも乗員を保護することができ、また、後部座席に近い位置にある場合でも、乗員に高い荷重がかかるのを防ぐ。

新型のセンター・エアバッグを開発

 ZF TRWは側面衝突保護機能の向上を図る新型のセンター・エアバッグも開発している(図2)。このエアバッグはシート内部に組み込まれている。車体の運転席側(近傍側面)または助手席側(遠方側面)に衝撃が加わったときに、運転席と助手席の間に展開し、前部座席の乗員の頭部、肩、胴体部分を保護する。遠方側面に車両や障害物が衝突した場合には、センター・エアバッグがドライバーのポジションを維持し、身体の横方向のずれを最小限に抑えることで、助手席の乗員や周囲の内装部品と接触する危険性を軽減する。また、遠方、近傍いずれの側面衝突においても、乗員同士が衝突するリスクを軽減する。

図2 前席同乗者の安全性を高める新型センター・エアバッグ
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自動運転の進化に貢献する複眼カメラ「TriCam」

図3 自動運転システムに向けた3眼式カメラ「TriCam」
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 自動車の安全めぐる最先端の取り組みとして業界で大きな焦点となっているのが、事故の発生を未然に防ぐ「アクティブ・セーフティ」や「自動運転」である。ZF TRWは、これらを実現するシステムの幅広い要素技術を取り揃えている。例えば、自動運転システムに向けたセンサーがそのひとつ。中でもハイグレードの自動運転機能をサポートする複眼カメラ「TriCam」(図3)は、3種類のカメラを搭載した、いわゆる3眼式カメラだ。

 「TriCam」は単眼カメラ「S-Cam4」に、さらに長距離検知機能を高めたカメラと、魚眼レンズを搭載した短距離用カメラを追加した。すでに、欧州の高級車メーカーがTriCamの採用を決めており、2018年の供給開始を予定している。

 このTriCamをはじめ自動運転システムでは、より高度な自動運転機能を実現しようとすると、搭載するセンサーの数が増えと同時に、個々のセンサーの機能強化も進む。これに伴い扱うデータ量が増えるため、情報処理の中枢を担うECU(電子制御ユニット)にかかる処理の負荷は増える一方である。こうした問題に、いち早く応えるためにZF TRWは、第2世代セーフティ・ドメインECU「SDE2」を開発した。(図4)。

図4 市場のニーズを先取りした第2世代セーフティ・ドメインECU「SDE2」
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 「SDE2」は、数多くの車載センサーを統合するハブとして機能し、車両運動調停システム、レーダーやカメラなどのセンサーからより多くのデータを統合、360度全方位の検知を実現する。同時に、ステアリング、ブレーキ、駆動系の各システムとのインターフェースの機能も担う。優れた処理性能をいかして、1台のECUで多くの機能を担うことで、システム全体の合理化に貢献する。ZF TRWは北米や欧州の自動車メーカー向けに、2018年から同製品の供給を開始する予定である。

 自動車の安全をめぐるトレンドを先取りしたシステムを次々と開発し、市場に投入しているZF TRW。こうした同社の取り組みは、一段と加速する自動車の進化に大きく貢献するに違いない。

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