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「ものづくりの未来」はこう変わる、オートデスクが提案する設計の自動化

「AutoCAD」を筆頭に2Dおよび3Dの設計ツールを提供するオートデスクは、「これまでにない設計」セミナーで「3Dプリントやコンピュテーショナルデザイン、IoTで『ものづくりの未来』はどう変わるのか」と題して講演し、「Design」(設計・開発)、「Make」(製造)、および「Use」(利用・運用)で構成されるサイクルを推進するソリューションなどを紹介した。

加藤 久喜 氏
オートデスク
技術営業本部 製造アカウント エンジニアマネージャー

 オートデスクの加藤久喜氏は講演冒頭、製造業を取り囲む市場環境やテクノロジーに大きな変化が起きていることを挙げた。例えば、金属3Dプリンターの実用化や、無限に近いリソースを時間単位で借りられるクラウドコンピューティングの普及などである。

 変化に応えるために、オートデスクは「Design」(設計・開発)、「Make」(製造)および「Use」(利用・運用)で構成されるサイクルを設定し、こうしたサイクルを円滑かつ速やかに回すソリューションの提案に努めていく考えを明らかにした(図1)。

図1. オートデスクが推進するイノベーションプラットフォームのサイクル
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 具体的には、設計・開発においては形状の自動設計を実現する「ジェネレーティブ・デザイン」、製造においては金属3Dプリンターを使った「インダストリアル・アディティブ」、利用・運用においては「コネクテッド・プロダクト」を柱に据えた戦略である。

金属3Dプリンター用ツールを展開

 加藤氏は最初に「インダストリアル・アディティブ」として金属3Dプリンターによる製造革新を取り上げた。金属3Dプリンターは昨年あたりから活用が始まり、当初は部品試作に用いられていたが、最近は最終製品に組み込む実部品の製造に使う動きがあり、応用が広がっていると説明。

 ただし、金属3Dプリンターの原理や装置の特徴をよく把握したうえで形状設計や解析を行う必要があると加藤氏は指摘する。例えば、表面精度を上げるためにあとから切削加工を行う場合は、その分を想定した肉盛りを行っておく必要がある。

 オートデスクでは、3Dプリンターを対象にしたソリューションを既に提供中で、3Dプリントのワークフロー全体を支援する「Netfabb」、積層時の温度上昇による伸縮を解析する「Simulation Utility」、3Dプリンターを対象にジェネレーティブ・デザインを行う「Optimization Utility」を紹介した。Simulation UtilityとOptimaizationUtilityは、Lattice TopologyUtilityと共にNetfabbの機能の一部として2016年9月に提供が開始された。

形状設計の自動化がいよいよ離陸

 続いて、形状設計の新しい流れである「ジェネレーティブ・デザイン」について説明した(図2)。生物発生学的(generative)なアルゴリズムに基づいてコンピュータが形状を自動的に設計する手法を指す。いくつかの段階があるが、従来のパラメトリックスタディによる単なる形状最適化にとどまらず、肉抜きなどのトポロジー変更やラティス構造化などを自動で行うのが特長である。ジェネレーティブ・デザインでは、性能、製造方法、制約条件などを与えることで、ツールがあらゆる形状を作成したり解析したりを繰り返し、最適解に近づいていく。例えば、強度を維持しながら、経験則に頼らずに軽量化を図れる。

図2. 形状を自動で設計するジェネレーティブ・デザイン
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 ツールが設計した形状はそのまま3Dプリンターに与えてもよいが、形状の一部を抜き出したり、3Dプリンターではない従来の製造方法(マシニングセンターなど)に適用するよう最適化することもできる。

 現在、同社ツールの「Inventor」でトポロジーの自動設計や、「Within」および「Netfabb」で格子化をサポートしているほか、ジェネレーティブ・デザインで得られた複雑な曲面形状をCADやCAEにフィードバックできるように、ポリゴンメッシュの編集機能をCADツールに導入したという。

 サイクルを構成する3番目の要素である「コネクテッド・プロダクト」を実現するツールとしては、センサーからの情報を集約して解析する「FusionConnect」というIoTクラウドソリューションを提供する。「IoTはどう活用するかがポイントになる。まずは環境として提案する」(加藤氏)。

航空機の軽量化を自動設計で実現

 後半では顧客事例を3例紹介した。 フランスのAirbus社は、A320型機の客室内仕切り壁の設計にジェネレーティブ・デザイン手法を導入。オートデスクのソリューションと生物学からヒントを得たアルゴリズムを用いて、強度を維持しながら1枚当たり30kgの軽量化を実現する骨組み構造をコンピュータで導き出した。現在の3Dプリンターでは最大で400mm程度の部品しか作れないため、複数の骨格部品を接続して全体を構成する。今後生産するA320 に搭載される予定だ。

 スポーツ用品メーカーの米UnderArmour社は世界限定96足の3Dプリントシューズ「UA Architech」の開発にオートデスクの「Within」を採用。クッション性に優れたミッドソールを実現した。

 米Hack Rod社は自動車のシャシー開発にジェネレーティブ・デザインを適用中である。既存のシャシーにセンサーを付けて実車走行時のデータを取得し、そこで得た知見を新しいシャシーの設計に生かそうという取り組みだ。シャシーの形状設計にはオートデスクの「Dreamcatcher」などを用いている。実用化は今後を予定する。

 オートデスクでは以上のようなソリューションのほか、クラウドにも対応した統合環境「Fusion 360」などを提供する。「オートデスクのソリューションは約200種と多岐にわたるため、まずはお客様のニーズを相談していただきたい」と加藤氏は述べる。

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