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三菱電機JIMTOFプレビュー メカトロニクスの進化

三菱電機は、2016年11月17日から始まる日本国際工作機械見本市(JIMTOF)に、工作機械の
最新鋭機を一堂に集めて展示。製造業の将来を見据えて同社が展開しているソリューション「e-F@ctory」のコンセプトを一段と強力に打ち出す。注目すべきは、IoT(Internet of things)をはじめとするICT(情報通信技術)との親和性を高め、TCO(Total Cost of Ownership)削減などユーザに提供する付加価値をさらに向上させていることだ。

氷見 徳昭氏
三菱電機株式会社 執行役員
産業メカトロニクス事業部長

 IoTでモノとモノをネットワークでつなぎ、新たな価値創出をはかろうという取り組みは、製造業全体で本格化している。三菱電機は、FA(Factory Automation)とICTの連携によるソリューション「e-F@ctory」で、生産現場の機器や設備と情報処理システムをつないで、ものづくりにまつわるTCOの削減や生産性向上、品質改善などを支援している。現場の機器が発するデータをリアルタイムで分析し、得られた情報をものづくりの改善を進めるためのヒントとして提供することで、現場の力を引き出すのがe-F@ctoryの特徴だ。

 同社は今年のJIMTOFで、工作機械の分野にIoTを活用した世界を披露する。工作機械は加工の種類などによって多種多様だが、いずれも生産管理の点では高度化が求められている。1960年代から放電加工機の事業を始めるなど、工作機械そのものでも古い歴史を持つ同社は、長年蓄積した豊富な技術とノウハウを投入した工作機械と、e-F@ctoryにより継続的に改善活動を支援し、TCO削減などユーザの共通する課題の解決に貢献すると同時に、ものづくりが将来進むべき方向を示している。それを目の当たりにできるのが、今回のJIMTOFである。

 この展示会で同社はCNC(数値制御装置)、レーザ加工機、放電加工機それぞれについて、e-F@ctoryのコンセプトに基づく新しい製品やサービスを発表する。

豊富なラインナップで、あらゆる工作機械へ対応する三菱CNC

 新興国における大量生産から、先進国における多品種少量生産や変種変量生産への対応まで工作機械に求められる内容は、近年多様化の一途にある。

図1 三菱CNCは豊富なラインナップでお客様の多様な要望に応える

 工作機械に搭載される、三菱電機のCNC M800/M80シリーズは、豊富なラインナップで工作機械メーカ様と共に、こうした製造現場の多様な要求に応えている。

 同社は2014年に業界でいち早く静電容量方式の19型タッチパネルに対応したプレミアムモデル「M800Wシリーズ」を発表。自社独自開発のCNC専用CPUによる圧倒的な高生産性とスマートフォンのような使いやすさで業界をリードしてきた。

 2015年には、ハイグレードモデル「M800Sシリーズ」、スタンダードモデル「M80シリーズ」を相次ぎ発表。表示器・キーボードが一新され、そのフラットなデザインは、2015年度グッドデザイン賞を受賞するなど高い評価を得ている。さらに、今年のJIMTOFでは、M80シリーズの制御ユニットと表示器を分離したモデル「M80Wシリーズ」を展示する。19型タッチパネルにも対応し、スタンダードモデルにおいても上位機種と同様の使いやすさを実現する。

 M800/M80シリーズは、マシニングセンタ向け機能に加え、旋盤機向け機能を大幅に強化。同社がマシニング加工機で強みとする「Super Smooth Surface制御」を搭載し、多軸複合加工機におけるミーリング加工を実現する。その他、切削形状を数個のアイコンの中から対話形式で順次選択するだけで加工サイクルを簡単作成できる「対話式サイクル挿入」機能など加工プログラムの作成を支援・自動化する機能を新たに搭載。複雑なプログラム作成が誰でも簡単にできることを会場で体験して欲しい。

 さらに、e-F@ctory 関連機能である、MESインターフェイスライブラリ機能を搭載。加工完了時やアラーム発生時に収集した情報を上位の生産管理システムに自発的に送信する。JIMTOFでは、温度センサーユニットや消費電力モニタなどの周辺機器も活用した機械状態監視ソリューションを展示し、工場の見える化の実現例を紹介する。

IoTを導入して遠隔での管理・保守を実現

 レーザ加工機では、ファイバレーザ加工機の主力機「eX-F」を中心に展示する。同社は2016年度にファイバレーザのラインナップとして新たに8機種を追加した。合計10機種となったファイバレーザの主力機がeX-Fだ。JIMTOFでは主力機種であるeX-Fシリーズに高出力ファイバレーザ発振器を搭載、更に新しい技術を発表する。

 同社はレーザ加工機でも、IoTを活用した新たなサービス「iQ Care Remote4U」をこの4月から始めている。加工機の情報を随時クラウドに上げ、遠隔地からの監視や診断などを可能にする。ユーザは加工機の稼働状態や加工予測時間などを、PCやタブレット上で離れた場所から確認でき、それをもとに生産効率の低下を防いだり、コストの把握・分析を行うことができる。

図2 「iQ Care Remote4U」でレーザ加工機の状態を遠隔地からPCなどでリアルタイムに確認できる

 また同社のサービスセンタの技術者がサービス拠点からユーザのレーザ加工機にアクセスし、予防保全情報を提供したり、現地でのサービス前に必要な情報を収集したりすることが可能だ(図2)。ソフトウエアのバージョンアップや加工条件変更も同社のサービスセンタから実施できる。サービスマンの到着を待つことなくサポート対応ができるので、加工機の稼働率を高めることができる。クラウドへの情報送信はセキュアな環境を構築しており、セキュリティ対 策も万全だ。

 現在、同社はこのサービスを、レーザ加工機新規導入の際に2年間無償提供する。そのサービスでどのようなことが可能か、JIMTOFの展示会場で体感することができる。

工程全体の短縮を提案

図3 MVシリーズは三菱電機の放電加工機のベストセラー機(写真はMV2400R)

 放電加工機では、ワイヤ放電加工機の「MX600」や「MV1200R」「MV2400R」、形彫放電加工機の「EA12PS」などを展示する(図3)。特にワイヤ放電加工機の高性能機MVシリーズは、同社の加工機事業のグローバル展開を担うベストセラー機で、2012年の発売以来、約5000台を受注している。今年のJIMTOFではレーザ加工機のeX-F同様、同機に搭載する新しい技術を発表する。

 同社が1964年から開始した放電加工機事業は、同社の加工機事業の中で最も長い歴史を誇る。すでに、基本的な加工技術については、かなり成熟度が進んでいる。そこで、今年のJIMTOFでは加工技術だけでなく、プログラム開発や段取り替え、保守など加工前後の工程にも着目し、放電加工機を使ったものづくりのワークフロー全体での短縮につながる手法を提案する。

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