日経テクノロジーonline SPECIAL

SEMICON Japan 2016の見どころ

「大量消費への対応」から「多様化した価値への対応」へ。半導体産業での技術開発と事業は、進化の基軸を大きく変えつつある。そして日本の半導体産業は今、次の飛躍を目前に控えた「第2黎明期」の真っ只中にあり、次世代を開く技術と事業のあり方を模索している。こうした状況下で、「SEMICON Japan」は40周年という節目を迎えた。展示会で披露される技術と製品、セミナーの登壇者とそこで語られる話題は、日本の半導体産業のこれからを映したものになる。さらに新鮮な発想を持った若い企業と人材が集うイベントでは、来たるべき新時代についての活発な議論が期待できそうだ。「SEMICON Japan 2016」の見どころを、SEMIジャパン 代表の中村 修氏に聞いた。

――40周年となるSEMICON Japanでの注力点をお聞かせください。

中村 修 氏
SEMI ジャパン 代表

中村氏 SEMICON Japanでは、2年前から、IoT関連の応用やデバイスを生み出す企業が集い、半導体産業の方々と対話する場、「WORLD OF IOT」を開催してきました。おかげさまで、各方面から好評を得て、日本の半導体産業がIoT関連で重要な役割を担うためのお手伝いができたと自負しています。3年目の今回も、賛同する企業が着実に増え、より充実した内容になります。

 日本国内では、IoTをテーマにした展示会が増えてきました。SEMICONJapanは、製造装置・材料からデバイス、応用機器までIoT向け半導体のサプライチェーン全体の企業が一堂に会する場になります。IoTの発展に欠かせない半導体を軸として、サプライチェーン全体を俯瞰できることは、ほかの展示会にはない特徴です。

デバイスの使い手が作り手に

――今回のWORLD OF IOTの見所を教えてください。

中村氏 IoTの応用製品を提供する日本を代表する大手メーカーが、積極的な内容で出展します。IoT応用製品のみならず、デバイスメーカーの出展もあります。

 IoT応用製品メーカーは、製品開発のために半導体コミュニティーの方々の力を借りて、デバイスの開発を推し進めようとしています。日本において、応用に近い力のある企業がデバイス開発に注力し始めている点は注目できます。

――IoTの発展に、半導体デバイスがいかに重要なにかが分かります。中村氏

 さらに、IoTの利用シーンを拡大する新しいデバイス技術の確立に向けた展示もあります。2015年10月、SEMIはフレキシブル基板にシリコンチップを含めた部品をハイブリッド実装する技術、フレキシブル・ハイブリッド・エレクトロニクス(FHE)に従事する団体であるFlexTech Allianceと戦略的パートナーシップを結びました。SEMICON Japan 2016では、30コマの展示コーナーを設けます。ここには、研究や繊維や印刷の企業、プリンテッドエレクトロニクスに取り組んできた産業技術総合研究所や次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合が出展します。出展企業では、衣服にセンサーを埋め込む技術などを提案します。会期初日の12月14日には、セミナーも開催します。

多様なデバイス、多様な技術

――IoTには、新しいデバイスの登場が求められているのですね。

中村氏 既存の半導体デバイスにも従来とは違った要求が出ています。IoTの応用は、ものづくり、医療・ヘルスケア、スマートハウス、農業、自動車、エネルギーなどさまざまです。そして、それぞれの応用で求められるデバイスと、それを作る技術が多様化しています。

 少品種大量生産に最適化された最先端のデバイス工場だけで、求められるデバイスのすべてを作ることはできません。さまざまなセンサー、アナログ、パワー半導体を、きめ細かく作り分ける、柔軟で小回りが利く生産体制が求められるのです。

――SEMICON Japan 2016 の中では、本格的なIoT 時代の到来を映すどのような動きが見られますか。

中村氏 会議棟で基調講演のフォーラムを提供するSuperTHEATERの業界トップからのご講演に加えて、展示会場でも今年はTechSTAGEの数を増やし、技術・市場のトレンドをご理解いただける各種講演をお届けします。これらの講演はいずれも本格的なIoT時代の到来を映すものとなります。

 各社の200mmウエハー対応、アナログ半導体やセンサー、通信デバイスなどへの対応といった、IoTによる多様化の時代への取り組みを反映するものです。

 展示会場では、レガシーファブを再生するための技術を集めた「持続可能なモノづくりパビリオン」を設けています。性能・品質・コストを改善する技術を集めた「製造イノベーションパビリオン」と合わせて見ることで、多様な半導体デバイスを効果的かつ効率よく生産するための技術を総覧できます。

――技術や設備の資産価値を高めるチャンスが到来しているのですね。

中村氏 また、日本の電子部品業界の大活躍は目を離せません。

 SEMICON Japanの他の地域で開催されるSEMICONとの最大の違いは、電子部品業界が参加していることです。IoT 関連機器では、センサーや無線回路に組み込む受動部品などに、技術革新が求められています。また、電子部品と半導体デバイスの統合したモジュールが、IoT関連機器の開発と利用シーンの拡大を後押ししています。こうした分野での、日本企業の競争力は圧倒的です。

若い企業と人材を徹底支援

――半導体産業が新しい基軸で成長を始めたことを、実感できそうです。

中村氏 その通りです。ニーズが多様なIoT関連機器の市場の成長に伴って、半導体産業は新しい基軸での成長を始めました。来たるべき新しい時代に、より力強く成長していくためには、冒険的な発想でビジネスを展開する若い企業、次世代を担う若い人材の育成が欠かせません。

 昨年から始めた、「INNOVATION VILLAGE」には、今年は30ユニット以上が出展します。創業間もない企業が集まり、潜在的な顧客や投資家と事業の展開について語り合う場です。日本の半導体産業に新風を吹き込むアイデアと、ここで出会うことができるかもしれません。

 また、半導体関連企業の若手社員、学生など若い人材の育成に向けて、40周年の記念事業として「MIRAI GAKKO」を企画しました。会社の垣根を超えて若者同士が切磋琢磨する場となります。ここでは、セミナーや交流会、若手同士のグループで「新たなイノベーションビジネスのプランを作る」をテーマにハッカソンを開催します。また、SuperTHATERに登壇した業界エグゼクティブやベンチャー企業の経営者などと、直接対話できる機会も設けます。すべての参加費が無料です。

―― 半導体産業の未来を映すSEMICON Japan 2016になりそうです。

中村氏 SEMICON Japan 2016には、世界で重要な役割を担う日本の半導体産業と業界全体の将来を示唆する数々の提案と議論の場を用意しています。SEMICON Japan 2016にご来場いただけば、世界の将来像が理解いただける、つまり「地図はここにある」というテーマのもとでSEMICON Japan 2016を企画しました。会場に足を運び、半導体産業の明るい未来とそこに向けた確かな歩みを実感していただきたいと願っています。

Profile
中村 修(なかむら おさむ)氏
日製産業株式会社入社
株式会社日立ハイテクノロジーズ 執行役常務
半導体製造装置営業統括本部長
グループ戦略本部長
日立ハイテクノロジーズシンガポール会社
代表取締役社長
2014年7月SEMIジャパン代表就任