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IoTでの多様な半導体の生産では、テストコストの削減が競争力強化の鍵

ありとあらゆるモノがネットにつながるIoT時代が到来し、多様な機器に組み込む、多様な半導体を低コストで供給する要求が高まっている。そして半導体メーカーは今、多品種生産でのコスト増大要因であるテストでのイノベーションを渇望している。ナショナルインスツルメンツ(NI)が提供するPXIプラットフォームをベースにしたテスト手法は、開発から量産まで同じテストのプラットフォームを一貫利用することで、従来の半導体自動テスト装置(ATE)では実現できない高い生産性を実現できる。まさにIoT時代の要請に応えるテスト環境だ。

 本格的なIoT時代が到来し、高度なセンサー機能や無線機能、情報処理機能が、ヘルスケア機器、防犯カメラなど様々な機器に搭載されるようになった。そして、利用目的ごとの機器仕様に合った多様な半導体が求められ、半導体メーカーは必然的に多品種生産への対応が迫られている。そこでは、マイクロプロセッサーやメモリーのような、最先端の生産技術で少品種を大量生産する生産ラインとは違う、製品の多様化に対応できるラインの構築が必須になる。

こうした半導体生産の多様化は、償却済みの旧世代ラインを数多く保有している日本の半導体メーカーにとって、絶好の商機になる。ただしIoT関連機器向け半導体市場でのコスト圧縮要求は厳しい。人が身に着ける機器や住宅、工場、社会インフラの様々な場所に、ネジ釘のように分散設置できる必要があるからだ。調査会社のDatabean社の調べでは、例えばRFICのコストが2007年比で40%以上低下しているという。この傾向は、これからも変わることはないだろう。半導体メーカーが商機を生かすためには、多様な半導体を生産しながら、低コスト化を推し進めるためのイノベーションが求められる。

多品種化の鍵はテストコスト削減

半導体の生産コストには、設備投資の償却、材料費や電力料金などさまざまな要素がある。なかでも、多品種生産では「コストの半分近くがテスト関連で費やされているのが現状です」と日本ナショナルインスツルメンツ マーケティングエンジニアの早田直樹氏は言う。開発した品種の数だけ、生産時のテストで用いるソフトウエア開発やハードウエアの保守が必要になるからだ。つまり、多品種生産での低コスト化では、テストコストの削減が、事業競争力を高めるうえでの至上命題になる。

早田 直樹氏
日本ナショナルインスツルメンツ マーケティングエンジニア

ところが、現在のテスト環境はこうした要求を十分満たせるものではない。無線通信をつかさどるRFICを例にすれば、半導体メーカー各社は、機能の集積化や新しい無線規格への登場、MIMOやミリ波など高度な技術の導入などに対応すべく、様々な品種の半導体を研究・開発している。ところが、研究と設計、試作品による検証・評価、そして量産という製品ライフサイクル中の各工程それぞれで、また品種ごとにテスト環境を用意している。まさに二度手間、三度手間を繰り返しているのだ。

これは、試作チップの検証はRFアナライザーで、量産チップのテストは半導体自動テスト装置(ATE)でといった具合に、それぞれの工程でテストに用いるツールや計測装置が、個別に違っているからだ(図1)。試作から量産に移る時点で、たとえ同一内容のテストでも新たにテストの仕組みを整える必要がある。ここで余分な工数の作業とヒューマンエラーが発生する。

図1 設計から量産までの各工程では、それぞれ別のテスト方法を用いている
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自動テストをプラットフォーム化

半導体生産のラインでよく使われているATEは、少品種大量生産する工場では効率的だ。しかし、これから求められる多品種の半導体生産では、必ずしも効率的だとは言えなくなる。ここにイノベーションが生まれる余地がある。

NIは、半導体の多品種生産におけるテストコストを削減できる手段として、「PXIプラットフォーム」に基づいた自動テストを提案している(図2)。完全にオープンなテスト開発プラットフォーム上で、目的に合ったテストをユーザーが柔軟にカスタマイズできる仕組みを提供するものだ。開発時と量産時のテストを統一し、二度手間、三度手間の開発をなくし、ヒューマンエラーが介在する余地も最小化する。このテスト手法は、自動車、航空宇宙、民生機器などさまざまな業界で活用され、目覚ましい実績を挙げている。

図2 NIが提案するPXIプラットフォームに基づいた自動テストの全体像
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 PXIプラットフォームでは、PCI Expressベースの高速な計測用標準バスであるPXIに対応したシャーシ内で、コントローラーと必要に応じた仕様のモジュール式計測器を組み合わせてハードを構成する。規格化された形状の計測モジュールをシャーシに挿し込むだけで、複雑なテストシステムも、すっきりとした構成で実現できる。そして、各計測モジュールは、テストソフトで自在に連携活用ながら、複雑なテストも簡単に実施可能だ。テストソフトは、NI独自のソフト開発環境であるLabVIEWのほか、Visual C#、.netなどユーザーの蓄積に応じた環境で開発できる。

既に、半導体業界でもPXIプラットフォームの活用が広がっている。例えばAnalog Devices社は、スマートフォン向けのMEMSマイクロフォンの設計開発の最終工程でのテストを効率化するために、NIのテスト手法を活用。それまで使用していたATEベースのシステムに比べて、コストを11分の1、重量を66分の1、消費電力を16分の1、占有容積を158分の1に削減できたという。

テストシステムの標準化、製造テストのコスト削減を実現

NIは、RF ICやミックスドシグナルICの量産時テストに向けて、PXIプラットフォームを適用しながら、スループットを高めることができるソリューション「半導体テストシステム(STS)」も提供している(図3)。テスター兼テストヘッドとなり、プローブカードを差し込むことでプロバーと連携したテストを実行。プローブカード次第でパッケージ状態とウエハー状態、どちらにも対応できる。STSは、開発と量産のそれぞれのテストで同じハードとソフトを利用でき、しかも「ATEのようにテスト仕様の変更時にもベンダーの手を借りることなくテスト内容を更新できます」と早田氏はメリットを強調する。求める処理能力に応じて、PXIシャーシを1つ搭載した「STS T1」、2つ搭載した「STS T2」、4つ搭載した「STS T4」から選択可能だ。

図3 NIの半導体テストシステム(STS)
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 IDT社は、STSで製造テストのコスト削減に成功している。これまでのATEでは、テスト環境の更新時には大規模な設備改修が必要だった。STSを採用することでテストシステムを柔軟に更新できるようになり、追加投資だけで済むようになった。これによって同社は、テストコストを50%削減し、複数部門でバラバラだったテストシステムを標準化した。

また、NIは、PXIプラットフォームを用いて、ATEと同様の使い勝手でパターンテストを実行できるデジタルパターン計測器の提供も開始している。デジタルのインタフェース回路のテストを対象としたものだ。

開発上流の効率化に向けたソリューションも用意している。NIは、PXIモジュールとして、低電流対応のSMU(Source Major Unit)を発売した。PXIシャーシに17チャネル分のシステムを構築できる。これをパラメトリックテストに用いれば、従来のパラメトリックアナライザよりも高速なテストが可能になる。SanDisk社は、抵抗変化メモリーの物性評価に、こうした構成のテストシステムを利用している。

IoT時代の多様な半導体を開発、量産していく中で、NIのPXIプラットフォームはテスト環境構築の標準基盤になる可能性がありそうだ。

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  • 半導体テストシステム構築事例
    NIの半導体テストシステムで、コスト削減を実現したIDT社の事例とテストソリューションを紹介

     半導体デバイスの性能が向上するに従い、ATEシステムが陳腐化するまでの期間は短くなり、すぐに能力の限界に達してしまう。このことがテストコストの高騰を招く大きな要因になっている。目まぐるしく変化する環境下で、高まり続ける性能要件に対応可能なテストシステムが必要になっている。

     こうしたテストニーズに応えるべく、NI STS(Semiconductor Test System:半導体テストシステム)はオープンなPXIアーキテクチャを活用し、必要な柔軟性と、高まる性能要件に応じてテストプラットフォームを再構成/拡張する能力を確保している。

     本資料では、2部構成となっており、前半でNI STSを活用して、コスト削減に成功したIDT社の事例を紹介。後半ではNI STSの詳細について紹介する。半導体テストシステムの構築に携わる技術者はぜひ目を通しておきたい資料だ。

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