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3D軽量化技術でPLM情報を有効活用 設備開発含めたものづくり全体を最適化

仮想空間と物理空間を連携させるCPS(Cyber Physical Systems)は、第4次産業革命を具現化する重要なコンセプト。その中核となるのが、現物をデジタル表現するデジタルツインだ。しかし、現在ほとんどのデジタルツイン情報は単なるデータであり、3Dモデルと連携されてはいない。一般的な3Dモデルでは、性能・表現能力も不十分だからだ。ラティス・テクノロジーの3D軽量化技術「XVL」はデジタルツインの基盤として進化を遂げている。3D活用のための充実したソリューション群と全社を貫く設計情報の流れ(XVLパイプライン)により真のPLM(Product Lifecycle Management)を実現する。

鳥谷 浩志 氏
ラティス・テクノロジー
代表取締役社長

 PLMが製造業に導入されて久しいが、その導入効果は設計部門周りのCAD/CAM/CAEユーザーに留まる。今後、競争力の源泉となる究極のコンカレント(協力・共同)化を実現するには、データに基づく仕事を全社規模に広げるとともに、現地現物の情報を上流のデータと紐づけて改革戦略を練ることが重要になる。3Dモデルを利用した組立検証、エレメカ検証、制御ソフト検証は、実機の完成を待つことなく早期着手が可能な上、実機に頼っていた検証作業の負荷を軽減する。

 しかし、自動車・重機・重電といった複雑なアセンブル型の製造業では、ものづくりの現場で3DCADデータを活用するには課題が非常に多い。3DCADデータは、現場で使い回すには容量や性能などの面で致命的な問題があるからだ。例えば自動車の場合、まるごと3D CADで表現したら約20GBもの容量になる。

 ラティス・テクノロジー 代表取締役社長の鳥谷浩志氏は、「誰もが使える3Dで、利用の壁をなくすことを目指した」と、3Dデータの軽量化技術「XVL」の開発意図を説明した。データの圧縮率は、前述の約20GBの自動車の3Dデータなら、XVLで変換することにより0.25GBと約1/100まで小さくなるという。軽量化により3Dデータの使い勝手を高め、ものづくりの上流から下流までXVLで一貫した流れ(XMLパイプライン)にすることで、PLM情報をものづくりのあらゆるステージで活用できるようになり、全体最適化が進む。

図●XVLパイプラインは3DデータとPLMデータをセットにして、誰でもアクセスできるようにした
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3Dの指示書で作業効率向上

 鳥谷氏はそのXVLパイプラインによる全体最適化の具体例を挙げた。一つはPLMデータをXVLで表現することによる製造支援だ。CADは部品の設計情報を定義することはできるが、その部品をどう組み立てるかまでは定義できない。しかし、軽量なXVLであれば、設計情報と組立工程をXVLで定義して共有することができる。

 設計情報を基に部品を3Dで表現し、その部品をどのような順序で組み立てるかをCAD設計完了直後から早期に検証する。こうして、正しい工程に基づき、視覚的に表現した3D作業指示書を半自動で生成することが可能になる。ある造船会社では、製造指示をXVLによる指示書で全社に配信することで、図面だけでは分かりにくい配管の構成もタブレット上で簡単に確認可能にするなど、作業効率の大幅な向上を実現した。

 もう一つの事例は、作業者による組立工程を実物大モデルでMR体験するものだ。MRとは次世代のVRであり、まさに仮想の世界を現実のものとして自分の体で体験できる。製品の設計情報と作業環境をXVLによる実物大の3Dデータで再現し、そこに作業者が実際に立って触れることで、現場の作業性や安全性を評価する。作業環境の3Dデータ化にはレーザースキャナーを活用し、点群データを作ることで3Dデータに落とし込み、設計情報と合わせてXVL化する。ITに疎い年配の方でも、作業者本人が実際に現場に立って確認できるため、「人間にとって作業しやすい環境か、すぐに分かる」(鳥谷氏)という。

 XVLは生産現場の設備開発にも威力を発揮する。生産に使用する設備を3Dで設計し、XVLで制御ソフトの動作シミュレーションを繰り返すことで設備の組み立て前に完成度を高めるというアプローチだ。設備を設計して組み立て後に行っていたデバッグの多くが、XVLによるバーチャルな環境で行える。あるメーカーでは、設備組み立て後のデバッグ時間が68.4%短縮されたという。それだけ製品出荷までのリードタイムを短縮することも期待できる。

 情報は保有しているだけでは価値を生まない。共有して活用してこそ価値を生むものである。優れた現場力を有する日本の製造業にとって、設計情報を全社に開放するXVLパイプラインは、極めて大きな武器となるのである。

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