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PTCジャパン

IoT(もののインターネット)によってスマート工場を実現するには、全体を統括するシステムが必要だ。PTCのソリューション群は、IoT開発基盤の「ThingWorx」を核に多くのソフトウエアや機能からなり、機械の稼働状況の可視化や分析、作業支援などの一連の流れをシステム化してくれる。また、同社の取り組みは、インダストリアル・インターネットの牽引役になっている。

 米PTC社は、3DCADやPLMソリューションの大手企業として有名であるが、2014年にソフトウエア会社の買収によって手に入れた「ThingWorx」によって、IoTの分野で急速に存在感を増している。ThingWorxは、IoT(モノのインターネット)によるアプリケーションを開発・実行する基盤システムだ。PTCはThingWorxを軸に、他のソフトウエアも積極的に手に入れて、IoT開発プラットフォームの網羅性を拡充した。同社はこれにより2016年1月のCES(Consumer Electronics Show)で「IoTイノベーション・ベンダー・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞している。

成田 裕次氏
PTCジャパン
製品事業部 執行役員

 登壇したPTCジャパンの成田裕次氏は最初に100社を超えるリストを示しながら、ThingWorxの実績の多さを強調。その中でも2社の事例を紹介した。発電機メーカーの米GE Power&Water社の場合、発電機の監視システムにPTCのプラットフォームが同システムの開発に貢献した。従来は20~30のセンサーで監視していたのを10倍のセンサーで常時監視できるようになって、予知保全や稼働率向上に効果を発揮したという。もう1社は、特殊金属メーカーの米ATI(Allegheny Technologies Inc.)社。金属の製造工程で製造機械を監視するところに、PTCのシステムが利用されていて、製造効率を最適化するのに活用されている。PTCの貢献は、後述するような米General Electric(GE)社の目に留まり、GEが目指すブリリアント・ファクトリー実現の中で大きな役割を担っている。

OPC準拠でどんなFA機器もつなぐ

 IoT開発プラットフォームのThingWorxは、大きく分けて5つのカテゴリ「Connect」「Analyze」「Create」「Experience」「Collaborate」で構成されている。

 最初のConnectは、様々な機器をネットワークにつなぎ、データを集約して稼働情報を見える化するもの。デバイスの管理やクラウドとの接続も担う。そのためにアダプタやAPIが充実している。2015年12月の買収により同社のConnectに加わったのが、OPC(Object Linking and Embedding forProcess Control)サーバー「KepwareKEPserverEX」だ。OPCはアプリケーション間通信インタフェースの統一仕様で、OPCサーバーを使うと様々なアプリケーションやFA 機器の接続性が高まる(図1)。成田氏は、KEPserverEXとの連携によりThingWorxが稼働状況の可視化にアドバンテージを持つことを具体的な画面を示しながら説明し、「可視化は、工場レベルやグローバルレベルになると難しい。ThingWorxでそれを容易にする。60種類の部品が用意されており、7日ぐらいの研修で見える化のシステムは作成可能」と開発しやすさもアピールした。

図1●多様な接続を実現する OPC サーバー「Kepware KEPServerEX」
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機械学習から仮想現実まで幅広く

 Analyzeは分析機能だ。FA機器に取り付けられたセンサーからの稼働データや、稼働履歴・整備履歴のデータが大量に蓄積される。「ThingWorx MachineLearning」は、これらのビッグデータを機械学習の仕組みによって、パターン分析や相関分析にかけ、故障リスクを予測できる(図2)。予測した結果は、最適な稼働モデルや効率的なメンテナンスに利用して、コスト削減につながる。本来データサイエンティストと言われる専門家が行うことを機械学習が代行してくれるわけだ。

図2●ThingWorx Machine Learningの概念図
ThingWorxは機器から集めた情報を機械学習により分析し、故障リスクの判定などを行う。
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 Createはアプリケーションを実現する開発・実行基盤を指す。スマート工場を実現するには、用途に応じたアプリケーションを迅速に開発する必要がある。製造現場で作業員に指示するための総合作業指示画面や、そのためのマッシュアップとモバイルアプリケーションの開発。あるいは実行モジュールの配信やソフトウエア構成管理。他社システムとの接続まで、ThingWorxは開発ツールとしても、実行基盤としても申し分ない機能を備えている。

 Experienceはバーチャル環境を活用した情報提供の機能だ。Experienceでは3Dの設計データとAR(拡張現実)を活用し、修理現場でスタッフへの具体的な指示などを行えるようにする。成田氏は動画を見せながら利用法を説明した。この機能を強化するために、同社は2016年6月に、AR 用のオーサリングツール「ThingBuilder」を提供する予定だ。

 最後のCollaborateとは、開発者同士の情報共有を進めるためのマーケットプレイスのこと。グローバルで約20万人の技術者が参加するネットワークで、ソフトウエア部品やライブラリ、アダプタなどを共有している。それらを自由に組み合わせながら、ThingWorxベースのアプリケーションを短期間で開発することが可能という。

ブリリアント・ファクトリーに貢献

沢近 房雄氏
GEデジタル
リージョナルマネージャ

 ThingWorxの事例として、今一番注目したいのが、米GEのブリリアント・ファクトリーへの採用だ。GEは「インダストリアル・インターネット」を提唱した会社。インダストリアル・インターネットのサブセットとして工場に特化したのが「ブリリアント・ファクトリー」の概念だ。

 PTCジャパンの成田氏に代わって登壇したGEデジタルの沢近房雄氏が、PTCのIoT開発プラットフォームとブリリアント・ファクトリーの関係について実績を紹介した。

 ブリリアント・ファクトリーでは、最新技術の適用で生産性を高めることを目指しており、センサーや制御システムから収集したデータをソフトウエアで分析する。それにより生産現場の状況を常に把握し、改善のための行動を起こせるようにして、品質や納期を高いレベルで維持する。ここでPTCのThingWorxが採用されている。GEは自社の400カ所の製造拠点に適用し、20%のコスト削減を図ることを目指しており、現在は100の拠点に先行して適用を進めているという。ブリリアント・ファクトリーでは、バーチャル工場を仮想空間に構築する。バーチャル工場のシミュレーション結果を設計情報と連動させ、リアルの工場に向けて製造指示を出したり、サプライヤに調達情報を提供したりする。また、リアルの工場からのフィードバックが、設計や製造に反映され、作りやすさを高めて生産性を上げることが可能になる。このようにIoT時代を先導する存在として、PTCのThingWorxがIoTに新しい考え方を提供してくれている。

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