産総研が開く、明日への扉日経テクノロジーオンライン

産総研、国際基準の計測サービスで企業の製品開発を支援

従来の計測分析サービスで測れないモノを測りたい、より高い精度や信頼性を確保したいなど様々な要望に対応

  • 大久保 聡
  • 2016/09/23 16:00
  • 1/6ページ

 現在、企業にとって事業展開を進める上で必須な技術ではあるものの、企業内では研究開発投資がされにくい計測評価。しかしながら、最先端装置を利用して分析機関・計測器メーカーでも測れないモノを計測したい、従来からある計測手法であっても正確に計測したい、さらには世界のどこでも信頼される数値を得たいといった、計測評価に対する切実な声は引きも切らない。

 こうした計測評価に対する要望に応じて、産業技術総合研究所(産総研)は、民間企業などが有償で利用できる計測サービスを「技術コンサルティング」のメニューの1つとして立ち上げ、活用の促進を強化する方針を打ち出した。

 産総研は、リチウムイオン電池の性能評価や自動運転用の加速度センサーの評価など、企業からのニーズが高い計測評価技術だけでなく、137億年に1秒しかずれない次世代の原子時計やより正確にキログラムを再定義する技術など、計測評価の大元となる単位をさらに高精度化する技術まで、さまざまな計測技術の研究開発を行っている。過去から蓄積された計測技術やノウハウ、世界トップクラスの計測装置、そして研究者がそろい、まさに“計測分野の日本代表”といった形だ。産総研の計測サービスの利用者は、この“計測分野の日本代表”を活用できるのが大きな特徴である。

 計測技術によるコンサルティングの特徴や狙い、そして依頼者が得られる利点について、産総研 計量標準総合センター研究戦略部長の臼田孝氏と同部 イノベーションコーディネータの石川純氏に聞いた。

産業技術総合研究所 計量標準総合センター研究戦略部長の臼田孝氏(左)と同部 イノベーションコーディネータの石川純氏(右)
[画像のクリックで拡大表示]

――計測技術によるコンサルティングを始めた意図は?

石川氏 新たな技術シーズを社会に役立て、広めていくことが産総研の最大のミッションです。産総研の既存・既公開の技術・装置を利用したいという産業界からの要求は以前から存在しました。産総研ではこれらの要求に応えるために、2015年度から技術コンサルティング制度を開始しました。計測技術を担う計量標準総合センターに、この制度は大変マッチしました。

 計量標準総合センターで研究している技術シーズの例を挙げると、光格子時計による「137億年に1秒」しかずれない次世代の原子時計に関する研究開発や、キログラム原器の置き換えを目指した技術など、日本では産総研 計量標準総合センターならではの技術が多々あります。そうした技術シーズをそのまま産業界に橋渡しをして事業化できるかといえば、実は簡単ではありません。しかし、“計測”に対する視点を変えると、橋渡しのルートが見えてきます。

 “計測”という広い視野で考えると、“正しく計測したい”という要望は根強く、これまでにも産総研に声が掛かることが多々ありました。市場には様々な計測器が存在していますが、それらの計測器でこうした要望に十分対応し切れていないというのが我々の認識です。産総研では、精度の高い測定ができる計測装置と技術、人材がそろっており、正しい計測が可能です。正しい計測を実現する技術を、技術コンサルティングにより提供していきます。

 技術コンサルティングを始めた2015年度は、産総研の研究者とつながりのある企業などから問い合わせいただいたときにこのサービスを紹介していました。それでも60件の実績となりました。今後は、対外的に広くアピールすることで、お役に立つ機会をさらに増やしていきたいと考えています。

[画像のクリックで拡大表示]