産総研が開く、明日への扉日経テクノロジーオンライン

産総研、国際基準の計測サービスで企業の製品開発を支援

従来の計測分析サービスで測れないモノを測りたい、より高い精度や信頼性を確保したいなど様々な要望に対応

  • 大久保 聡
  • 2016/09/23 16:00
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ADASの高性能化や低コスト化には、まずセンサーを正しく測ることが肝要

――正しい計測をしたいという要望は、どのような業界から寄せられることが多いのでしょうか。

石川氏 多種多様なので一概に特定の分野を挙げることは難しいのですが、あえて挙げるとすると自動車関連分野から声が掛かることは多いですね。例えば、加速度センサーなど、自動車の安全性に関わる部品の性能評価にまつわる依頼があります。それから、塗装面など外観評価に関わる依頼も目立ちます。

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――加速度センサーの評価ですか?

臼田氏 センサー単体の性能を高めるだけで、自動車の安全性が高まるわけではありません。センサーやプロセッサーなどのコンポーネントをセットにまとめて安全性を確保します。セットにまとめるのは、自動車メーカーの腕の見せ所です。組み合わせや手法は千差万別ですが、まずセンサーが本当に正しく外界の事象を測れているかどうかの把握が重要です。もしずれていたら、後段のプロセッサーでいくら処理を施しても意味がありません。ですので、センサーの性能を正確に把握する必要があるのです。

 MEMS技術を使ったセンサーなど、昨今新たな技術を用いたセンサーが登場し、スマートフォンでは数多く使われています。自動車に搭載するセンサーについては、コストダウンのために民生機器で使われるようなセンサーを使おうとする動きがあり、各社手探り状態のようです。民生機器に使ってきたセンサーが、自動車に搭載する際の要求値を満たせるのかどうか、正確に評価する必要性が今後一層強まります。

――確かに、各種センサーを用いるADAS(先進運転支援システム)といえば、かつては高級車のみに搭載されていましたが、今では大衆車にも採用されつつあります。コストダウンを考えると、安価なセンサーを使わざるを得ず、かといって人間の生命にかかわるので「安かろう、悪かろう」にはできません。センサーの評価については、産総研から評価結果に“お墨付き”を出すのですか?

臼田氏 我々がすべて評価するわけではありません。依頼主が保有する評価用の装置や測定方法などに対し、我々が助言・指導するといったことになります。

石川氏 センサーの測定は、かなり難しい部類に入ります。例えば、加速度センサーの場合、評価時にセンサーを固定する方法が誤っていると、評価時に加える振動がセンサーに正しく伝わらず、正確な評価結果を得られません。我々は、正確な測定を実行するためのノウハウを蓄積しており、それらを依頼者に伝えることが可能です。

――先ほど紹介いただいた、リチウムイオン電池の評価も自動車関連分野から依頼があるのではないでしょうか。電気自動車やハイブリッド車といった電動車両では電池の劣化を厳密に把握する必要があります。

石川氏 リチウムイオン電池については、興味深い依頼がありました。「計測の専門家から、電池の開発者とは異なる視点の意見を聞きたい」というものです。自社内で電池についての技術や知識は十分に持っているが、計測のノウハウが足りないとのことでした。前述のように、計測関係にあまりリソースを投入しづらく、そうした状況の中で産総研の計測技術によるコンサルティングを使えるのは大変ありがたいとおっしゃっていました。しかも、正しい計測方法を取得できれば、他社の電池との相互比較も正確にできるわけです。