プロダクトデザイナー・澄川伸一氏を驚かせたVRの最前線 3Dデータから“バーチャル・プロトタイプ”を作成 進化したVR技術がデザインの未来を変える

デジタルデータをもとに、まるで実物が目の前に存在するかのようなビジュアル体験を可能にするVR(バーチャル・リアリティ)。2016年は「VR元年」ともいわれ、適用分野が拡大していくと予想されており、中でも大きな効果が期待される領域の1つが、プロダクトデザインの世界だ。VRによって直感的かつ迅速なレビューが可能になり、従来のデザインプロセスが大きく変わるといわれている。今回は、携帯音楽プレイヤーの草分けである「ウォークマン」をはじめ、さまざまなプロダクトのデザインを手がけてきた澄川伸一氏が、最新のVRソリューションを体験。富士通デザインの山岡鉄也氏と、デザインの現場がどのように変わるかを語り合った。

“手で触りたくなる”VR体験を可能に

曲線や曲面を積極的に取り入れ、人間工学に基づいた使いやすさと美しさを両立した製品を数多く手がけてきた世界的なプロダクトデザイナー・澄川伸一氏。思い描いたイメージを具現化するため、同氏は利用するツールに強いこだわりを持っているという。

澄川

製品のデザインには、もう20年以上、3D CADソフトを使っています。また、クライアントに的確かつ迅速にデザインイメージを伝えるため、2012年からは3Dプリンターで出力したモックアップでのレビューも行っています。デザインプロセスの効率化には、早い段階からデザインに関する情報量を増やし、決断や選択の精度を高める必要があります。そのためには、2Dの図面だけでは不十分というのが私の考えです。

山岡氏が所属する富士通デザインも、同様の理由から、20年前に3D CADを採用。さらに今年、デザインレビューに「VR」を活用する試みを開始した。採用したのが、「zSpace(ジースペース)」というVRソリューションだ。

ディスプレイから浮かび上がるVR画像に思わず手を添える澄川氏

ディスプレイから浮かび上がるVR画像に思わず手を添える澄川氏

山岡

専用のメガネをかけると、ディスプレイに表示されたモデルが立体的に浮かび上がって見えます。操作はこのスタイラスを使ってください。どうですか。

澄川

これはすごいですね。思わず手で触りたくなるほどのリアリティです。メガネのかけ心地も軽く、目もほとんど疲れない印象です。以前、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)でVR体験をしたのですが、いわゆる“VR酔い”になりそうで長時間は使えませんでした。このメガネは、そういった違和感がほとんどありません。

山岡

普通のメガネと装着感も見え方も変わりませんから、気軽に装着し、長時間のレビューも快適に行えるんです。私たちもこれなら、日々の業務に使えると感じています。

澄川

レビューに立ち会うクライアントにも強烈な印象を残せるはずです。私もぜひ、プレゼンなどで使ってみたいですね。

山岡氏が手応えを感じ、澄川氏のVRへのイメージも大きく変えた「zSpace」。その概要と可能性を、次ページでさらに詳しくみていこう。



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