日経テクノロジーonline SPECIAL

設計プロセス革新の処方箋セミナーレビュー

日立ソリューションズ

社外との安全な情報共有によって
設計プロセス革新をさらに進める

ものづくりの世界でも“自前主義”は限界を迎えつつある。市場投入までの期間(TTM)を短縮するためにも、パートナー企業は欠かせない存在。設計プロセスを変革する際は、そうしたパートナー企業との情報共有についても効率的で安全なものにしていく必要がある。そのための最新の情報共有基盤が、日立ソリューションズの「活文 Managed Information Exchange」だ。

ITの整備が済んでも残る3つの課題

株式会社 日立ソリューションズ
営業統括本部
ハイブリッドインテグレーションセンタ
ソリューション開発部
部長代理/活文エバンジェリスト
松本 匡孝(きよたか) 氏

 現在ではほとんどのものづくり企業で、ITの整備が一段落している。コミュニケーションをとるための電子メールアカウントは全員に行き渡っているし、設計・生産技術・製造の各部門にはCAD/PDM/PLMも導入済みだ。「この状態からさらに上を目指すには、設計プロセスの革新を推進する『攻めのIT』として、PDM/PLMを補完する企業間情報共有基盤を導入することが望まれます」と日立ソリューションズの松本匡孝氏は話す。

 PDM/PLMを既に稼働させているものづくり企業であっても、パートナー企業との情報共有には課題が残っている。例えば、図面は電子メールの添付ファイルで送るし、最終成果物の受け取り方法もDVDの郵送やクラウドストレージ経由が一般的である。「見積もり依頼や仕様確認のために大量のナレッジが電子メールで飛び交う“ナレッジ問題”、大容量ファイルの受け渡しに手間がかかる“効率問題”、データの二次利用を防げない“セキュリティ問題”の3つの課題にも手を打たなければなりません」(松本氏)。

 実際、大手から中堅製造業の現場を対象に日経BPコンサルティングが実施した「情報共有の現状と課題」調査では、回答者の96.1%が他拠点との情報交換の手段として電子メールを挙げ、86.9%が大容量ファイルの送信やセキュリティの確保に手間がかかっていると答えている。調査回答者の人たちが感じている平均的な“無駄時間”の合計は、月当たり9.3時間だ。また、社外への電子メールを誤送信してしまった経験があると答えた人も39.0%いたという。

図面とナレッジが分かれていると設計の見直しや再利用ができない

 では情報をうまく共有できないと、どのような不都合が生じるのか。

 松本氏は、「設計ナレッジが属人化してしまう」ことによって、設計の見直しや再利用ができなくなることが最も重大な問題だととらえている。

 例えば、設計・開発に関わる作業の一部を社外のパートナー企業に委託している場合、そのパートナー企業とのディスカッション内容はPDM/PLMツールに記録されない。「PDF化して図面をパートナー企業に送り、その内容や処理の方法についてミーティングや電話や電子メールでディスカッションしても、納品された最終成果物にディスカッションの経緯は残されていない」(松本氏)のである。

 その結果、後工程を担当する社内のエンジニアが「この部材はなぜこの形状と肉厚なのか」「寸法公差をここまで厳しくしなくてもよいのではないか」と疑問に思っても、事情が分からないので変更できなくなってしまう。設計内容を改善できないのであれば、期間短縮や原価削減も望めなくなる。

 「このような情報共有ニーズに応えるためのITツールとしては、文書管理システム、エンタープライズサーチ、社内SNS、社内Wikiなどが以前から使われています」と、松本氏。しかし、いずれも本来の業務で利用していない別システムに情報の登録作業を強いられることから、現場のエンジニアにかかる負担が大きいなどの理由で実際にはあまり使われていないという。

 そこで日立ソリューションズが提案しているのが、「データとナレッジを一体のものとして記録・管理」する新しいタイプの情報共有基盤だ。最大の特長は、図面とナレッジが別々になってしまわないので、図面データさえ開けば設計変更の理由や根拠をいつでも調べられること。前工程のエンジニアと後工程の担当者の間でナレッジを共有できるだけでなく、その成果物を別のプロジェクトで再利用するのもスムーズだ。また、ファイルをリモートで失効することが可能なためパートナー企業などの社外の関係者に渡した図面が不正に使われてしまうことも防げる。

ソーシャルや高速転送にも対応した新タイプの情報共有基盤

 その具体的製品として松本氏は「活文 Managed Information Exchange」(以下、活文)を挙げ、最近の導入先でその情報共有機能がどう使われているかを紹介した。

 活文の開発にあたって、日立ソリューションズは「ナレッジ共有」「業務効率化」「セキュリティ」の3要件に応えることを狙ったという。ナレッジの共有を実現しているのは、バージョン管理にも対応した「コンテンツ管理機能」。設計内容をめぐって関係者がディスカッションできる「エンタープライズソーシャル機能」も、ナレッジの“熟成”には効果的だ。また、大容量ファイルの受け渡しにかかる手間を減らして業務を効率化するのが多重化通信対応の大容量ファイル転送機能。不正使用を防ぐファイルセキュリティ機能もきちんと備えている。

 この情報共有基盤を24企業・10研究機関の研究者が参加する16のプロジェクトに採用したのが、大阪大学COI研究推進機構である。共有の対象となったのは、研究者がやり取りしている実験データ、報告書、論文など。プロジェクトごとの専用ワークスペースで大容量ファイル転送機能を使ってデータをやり取りし、エンタープライズソーシャル上でディスカッションすることによって、効率的で実り多い研究が可能になったという。知的財産やセンシティブデータ(機微情報)を多数含んでいることから、セキュリティ対策にも万全を期した。

 またあるビル設備メーカーでは、設備更新に先立つ調査・解析工程のための情報活用基盤として活文を選択。現場で採取した3D計測データのオンライン転送に大容量ファイル転送機能、解析を担当するパートナー企業とのやり取りにナレッジ共有機能をそれぞれ活用した。こちらの導入事例でも、3D計測データや解析結果の契約外使用を防止する目的でファイルセキュリティ機能をフルに使っている。

 「情報共有での『攻めのIT』とは、パートナー企業、他社、マーケティングチームとのコミュニケーションをより強めていくこと。それこそがオープンイノベーションにほかなりません」。松本氏はこう述べて、新しいタイプの情報共有基盤の利用を強く訴えた。

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