日経テクノロジーonline SPECIAL

設計プロセス革新の処方箋セミナーレビュー

ダッソー・システムズ

設計のデータ化をITとして支える
グローバルな技術情報共有の基盤

製品そのものやサービスではなく、エクスペリエンス(経験)を消費者が買うようになった現在、“もうかる設計”を実践するためのITツールにもエクスペリエンス志向が欠かせなくなっている。その代表的存在となるのが、ダッソー・システムズの「3Dエクスペリエンス」だ。技術情報を安全に共有するための機能も充実しており、グローバル展開にともなう課題の解決にも貢献する。

ものづくりのプロセスを変えITツールで社内定着させる

ダッソー・システムズ株式会社
3DSバリューソリューション事業部
営業技術部
シニア・テクニカル・セールス・マネージャー
鈴木 好徳

 プロフィタブル・デザイン(利益獲得設計)は、設計をデータ化することによって初めて実践できる。そのためには技術情報をうまく共有できるプラットフォームが欠かせない、というのがダッソー・システムズの基本的な考えだ。

 3D CADや3D PLMを得意としてきたダッソー・システムズは、現在、エクスペリエンスを重視したものづくりを支援するソフトウエア「3Dエクスペリエンス」に力を入れている。同社の鈴木好徳氏は「イノベーティブな製品を開発するには、業務側の仕事のやり方を変え、それを社内に定着させるためにITツールを活用するべきでしょう」と述べて、3Dエクスペリエンスを活用したプロフィタブル・デザインの実際を示した。

 まず、上流工程に当たる機種選定や方式選定では、顧客の要求仕様を登録した上で、3Dエクスペリエンスの画面に候補として表示される品名や方式の中からその案件に適したものを選んでいく。どのような要求仕様にどのような品目や方式が適するかは、あらかじめデザインルールとして登録しておく仕組みだ。

 品目と方式さえ決めてしまえば、サイズ違いなどに対応するための相似設計の工程はパラメトリック型CADでほぼ自動化できる。ITにできることはITに任せてしまえば、エンジニアは付加価値が高い作業に専念することが可能だ。機器や加工(曲げなど)のコストをまとめたコストテーブルを作っておくことにより、設計段階でもおおよその原価は算出できる。

グローバル展開に欠かせない技術情報共有プラットフォーム

 ただ、これからのグローバル展開を考えると、この枠組みをそのままのかたちで運用するわけにはいかない、と鈴木氏は指摘する。ノウハウの塊ともいえるデザインルールが海外に流出しないように保護する必要があるし、その一方で、そのデザインルールを海外拠点のエンジニアに守らせることも求められるからだ。

 「弊社の調べでは、53%の企業が設計・開発についての課題として『グローバル設計』を挙げています」(鈴木氏)。具体的な課題としては「国内拠点とグローバル拠点の間でのデータ共有」「国内向けシステムからグローバル対応システムへの転換」「情報流出の防止」「分断状態にある情報やプロセスの統合」などがあるという。

 この課題をクリアするのに欠かせないのが、グローバル対応の技術情報共有プラットフォームである。このプラットフォームに必須の要件として鈴木氏が挙げたのは、「CADデータのデータベース管理」「ユーザー部門による属性項目管理」「製品情報の一元管理」の3項目。これらの要件を満たすプラットフォームを準備しておけば、安心して海外に出ていけることだろう。

 CADデータをデータベースで管理するのは、海外拠点を含めたデータ共有を確実にすることが狙いだ。ほとんどのCADはデータをPCのローカルファイルに保存する仕組みになっているため、更新するたびにファイル共有サーバーにアップロードしないと、他のエンジニアのPCにあるデータとの整合性がとれなくなってしまう。そこで、3Dエクスペリエンスでは、アイテム情報とその親子関係を分離し、それぞれを別なデータとしてデータベースに記録し、形状データだけを内部ファイルに保管するようにした。「日本のエンジニアが設計結果を保存すると、その瞬間に海外のエンジニアが最新の設計データを使えるようになります」と鈴木氏は説明する。

設計諸元をタイムリーに変更し情報をデータベースで一元管理

 第2の要件となる「ユーザー部門による属性項目管理」は、設計諸元データベースを柔軟に変更できるようにするのが狙いだ。

 設計諸元には、品目レベルで共通になっている項目と方式レベルで個別に管理しなければならない項目が混在している。そのため、すべての設計諸元を単一形式のデータベースで統一的に扱おうとすると、品目によっては不要な項目を多数抱え込んでしまうことになる。

 このようなケースへの対処、例えば一部項目の非表示はアプリケーションのロジックでもできる。ただ、その代償として、諸元項目の変更に即応できなくなることは避けられない。画面上の手入力で項目を追加・削除する方法なら短時間で終わるが、アプリケーションのメンテナンスには月単位の時間がかかってしまう。

 「弊社の3Dエクスペリエンスでは、Webブラウザーを使って一般のユーザーが設計諸元データベースに新しい属性を追加定義できます」と、鈴木氏。設計諸元項目の変更に柔軟かつ短期間に対処できることは、市場投入までの期間を短縮するためにも効果的だろう。

 最後の要件として、製品情報の一元管理がある。鈴木氏は「ものが出来上がった後の会計面での管理にはERPが適しますが、ものに価値を付けて販売するには製品カットの一元管理が欠かせません」と述べて、グローバル展開を狙うには部門最適型ではないアーキテクチャーを最初から選ぶことが重要だと指摘した。

 3Dエクスペリエンスのアーキテクチャーは、この第3の要件も完璧にクリアできる3階層の構造になっている。データ化された製品情報はデータベースサーバー、インデックスサーバー、ファイルサーバーから成るデータ層に置かれていて、ユーザーはロジック層を経由してそこにアクセスする仕組み。標準的なセキュアWebプロトコル(HTTP/S)だけを使うので、海外からのアクセスに対しても万全のセキュリティ対策を打てるのが特長だ。

 グローバル展開を視野に入れつつ、利益を出せるものづくりを実践する。そのための技術情報システムとして、ダッソー・システムズの3Dエクスペリエンスはあらゆるものづくり企業を支えていく。

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