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高品質なオンデマンド印刷で新たな市場を切り開く、日立が挑んだUVインクジェットプリントシステム

産業用UVインクジェットプリントシステム「UJ1100」
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住宅の内装や建材、家具などに木目や大理石の模様を印刷した壁紙が使われている。しかしこれまでの印刷技術では印刷物とわかるものがほとんどだった。それに対し、日立ハイテクファインシステムズがリコーと共同開発した産業用UVインクジェットプリントシステム「UJ1100」は、同社の高い技術力を総動員することで、高画質、高精細、本物と見まごうほどの高い表現力をインクジェット方式で実現した。しかも、多様化する消費者の個性に対応しこれからの市場ニーズに迅速に対応できる次世代を担うUVインクジェットプリントシステムとなっている。


 インクジェットプリンターは必要なときに必要な量を印刷できるので、少量多品種生産に向く。在庫リスクを低減しつつ、多様化するニーズに柔軟かつ迅速に対応できる。しかし写真並みの高画質、高精細が求められる用途では今なお、凹版印刷の一種であるグラビア印刷が主流だ。

 このような状況の中、高画質、高精細を実現したインクジェットプリンターが登場した。

インクジェットプリンターで高画質、高精細を実現

株式会社日立ハイテクファインシステムズ
産業インフラ第3 設計部
部長 小笠原 和義氏

 その製品とは、日立ハイテクファインシステムズがリコーと共同開発した産業用UVインクジェットプリントシステム 「市場ニーズが多様化する中、アイデア次第でUJ1100の用途は無限に広がると捉えています」と同社の岩井進氏は期待している。

 UJ1100がこのような高画質、高精細、高い表現力を実現できた背景には、日立ハイテクファインシステムズが長年にわたり、エレクトロニクス関連装置の開発で培ってきた“凄いワザ”があった。

 「UJ1100」だ。最大の特徴は、インクジェットプリンターで高画質、高精細を実現したことにある。また、リコーが開発した光硬化型UVインクが採用されているのも特徴の一つだ。光硬化型UVインクとは、紫外光(UV)を照射すると瞬時に固まるインクのことで、乾燥時間が不要な上、丈夫で、密着性が高く、延伸性に優れる。そのため、UJ1100はフィルム、ガラス板やベニヤ板、金属板など、印刷表面が平坦であればほとんどのものに印刷が可能だ。加えて、光硬化型UVインクは何層にも重ねていくことで、立体感を出したり、木目調やレザー調など様々な質感を出すことができるので、本物と見まごうほどの表現力を発揮する。

株式会社日立ハイテクファインシステムズ
産業インフラ第3 設計部
総括主任技師 岩井 進氏

 特に同社が着目しているのが、これまでの印刷技術では対応し切れなかった住宅や自動車の内装関連市場だ。「UJ1100であれば、安価なベニヤ板を高級なヒノキ材や大理石に仕立てることが可能です。見た目には本物に限りなく近い風合いを出すことができるのです」。こう語るのは、日立ハイテクファインシステムズの小笠原和義部長だ。

 例えば、自動車の場合、より軽量で安価な材料を使って思い通りの内装を表現できる。住宅の場合では内装やインテリア家具も自由な発想でデザインできる。コンクリート打ちっぱなしのようなモダンなデザインも可能だ。

 「市場ニーズが多様化する中、アイデア次第でUJ1100の用途は無限に広がると捉えています」と同社の岩井進氏は期待している。

 UJ1100がこのような高画質、高精細、高い表現力を実現できた背景には、日立ハイテクファインシステムズが長年にわたり、エレクトロニクス関連装置の開発で培ってきた“凄いワザ”があった。

エレクトロニクス関連装置の
開発で培った“凄いワザ”を応用

ベニヤ板に直接印刷し、リアル感ある木材のカット面を表現
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ガラスの表面にも様々なデザインで印刷が可能
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 まず、高画質、高精細を実現するためにはインクの印刷物への着弾位置を高精度で制御する必要がある。それに対し、同社は、液晶ディスプレーやハードディスクの製造・検査装置の開発で培った精密な位置決め技術を応用した。左右に高速移動するインクヘッドの動きを精密にコントロールしインクの着弾位置精度を向上させた。また、インクヘッドの速度を安定化することで、印刷ムラをなくすことにも成功した。

 一方で、光硬化型UVインクにはこれまで、印刷時にヘッドから吐出したインクの一部がミスト状になって浮遊し、周囲に付着することで、印刷物の画質が低下するといった課題があった。それに対しても、同社はエレクトロニクス関連装置の開発で培ったクリーン化技術を適用。気流設計により、ミストのみを吸いこんで除去する「ミストキャッチャー」を開発して最適な位置に搭載した。加えて、低発塵設計を適用し微細なゴミを極力なくすことで画質の低下を防いだ。

 さらに、印刷中の装置の振動を抑制することも重要な課題だった。「液晶ディスプレーの露光装置には、数トンもある基板ステージを高速で動かし高精度で位置決めする技術があります。この技術を応用することで、振動を発生させることなく、高品質の印刷が可能になりました。これは、従来のプリンターメーカーにはまねのできないことだと思います」と岩井氏は胸を張る。

 これまでの産業用インクジェットプリンターは、スタンドアローンタイプのものが大半で、製造ラインへの導入を前提としたものはなかった。それに対し、UJ1100は製造ラインへの導入を前提としているため、顧客のニーズに応じて装置のカスタマイズが可能だ。この点も、産業用装置の開発を手がけてきた同社ならではの強みだ。「インクヘッドの数や種類、印刷メディアの大きさをお客様のご要望に応じてカスタマイズできます。納品後の点検・保守はもちろんのこと、機能変更なども可能ですので、お気軽にご相談いただければと思います」と小笠原氏。

 新たな分野で画期的な製品を生み出した日立ハイテクファインシステムズ。同社の“凄いワザ”を注ぎ込んだUJ1100は、高画質、高精細、高い表現力を武器に、これまでの産業用インクジェットプリンターの枠を超え、新しい市場を切り開いていくことだろう。

木目
滑らかな濃淡と自然な年輪が親しみやすく感じます
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レザー
本物のレザーのように落ち着いた 高級感が漂います
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印刷後の曲げ加工
UVインクの延伸性、高密着性により、曲げても印刷面はひび割れしません
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