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ダイカスト並みの寸法精度を誇る石膏鋳造、低コストでスピーディな試作を実現

石膏鋳造による試作例。上はエンジン部品。複雑で細やかな形状でも精度よく、しかもなめらかに仕上がる(下)。
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金型を使わずにダイカストと同等レベルの品質・精度の金属成形を実現する「石膏鋳造法」。この技術を磨き、試作や小ロット品の製作で高い評価を得ているのが、山梨県・都留市にある有限会社モールドモデルだ。従来、自動車部品などの試作品には「砂型鋳造法」がよく使われてきたが、部品の強度や耐熱性への要求が高まる中、試作品にも高い精度が求められるようになってきた。モールドモデルの石膏鋳造はそうした要求に応えられるワザとして、今、様々なものづくりの現場から熱い視線が注がれている。


自動車の金属部品は、金型を使ったダイカスト鋳造で量産されるのが一般的だ。これに対し、量産に入る前の試作品の製造には、これまでは安価な砂型鋳造が使われることが多かった。しかし、金型に比べて寸法精度が低く、表面が粗いといった課題がある。こうした課題を解決する新たな方法として、モールドモデルが20年近くにわたって取り組んできたのが「石膏鋳造法」だ。

試作品の段階から高い寸法精度が求められる自動車部品

有限会社モールドモデル
代表取締役 佐藤 敏雄氏

 近年、3次元CAD/CAMの急速な発展と普及によって、部品の鋳造においても複雑な形状の再現が求められるようになっている。

 特に、自動車産業においては、軽くて耐食性の高いアルミニウム合金の鋳造が急増しており、金属部品の強度への要求が高まっている。また、普及が進む電気自動車では、電子部品が大量に使われることから放熱が大きな問題になり、部品の放熱性や、使用環境の負荷に耐えられる強度が確保されているかを、量産前の試作段階でチェックする事が重要になっている。量産前の試作品の段階から、形状、物性の両面において、量産品に近いものが求められているのだ。

 そこで近年、期待が高まっているのが石膏鋳造法。石膏鋳造法とはその名の通り、鋳型の材料に「石膏」を使う鋳造法だ。砂型同様、流し込んだ金属を冷やし固めた後は石膏型を壊して取り出す。ダイカスト並みの寸法精度と表面のなめらかさを実現できるのが特長だ。このため試作品だけでなく、単品や少量生産用途にも使えると期待されている。

有限会社モールドモデル
取締役営業部長 堀内 美佐子氏

 「電気自動車はまさに、電子機器の集合体と言えます。最近は特に、電子機器を冷却する熱対策部品を試作してほしいという依頼が増えています」。こう語るのは、モールドモデルの堀内美佐子営業部長だ。熱対策部品の場合、冷却機能を高めるため、複雑な形状の冷却フィンが多く必要とされる。「その点、石膏鋳造法であれば薄肉・複雑・異形状な部品の成形が得意なため、再現性の高い試作品を製造できます。また寸法精度は、成形品で±0.1mm程度を狙って造ります」。ダイカスト試作以外の利用場面では、石膏鋳造の特徴を最大限生かし「抜き勾配ゼロ・アンダーカット・中空に近いなど、設計の自由度は格段に高まります。複雑な形状であるほど、石膏鋳造で製作する意義があります」と堀内営業部長は話す。

 金型を使わないため、開発リードタイムを短縮でき、しかも低コストなところも石膏鋳造の魅力だ。同社の佐藤敏雄社長は次のように説明する。

 「鋳型の材料費だけを比べると、石膏は砂の10倍の価格で決して安くはありません。しかし、砂型鋳造法の場合、出来上がった試作品の精度を高めるために、さらに機械加工などの2次加工を施す必要があります。これに対して石膏鋳造であれば、もともと寸法精度が高く、表面もなめらかで精緻な金属成形ができるため、2次加工が削減できます。トータルで見ればコストパフォーマンスは高いと言えます」

 現在、同社の石膏鋳造法で鋳込める金属は、アルミニウムと亜鉛。顧客の要望に応じて、強度試験用や熱試験用の試作品など、作りこみも可能だという。

CADデータ補正からマスターモデルの製作、型の作成、鋳造、型ばらし、洗浄、仕上げ、マシニング加工までのプロセスを自社工場で一気通貫で行える
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高い精度の原点はマスターモデル製作技術

 モールドモデルが石膏鋳造で高い評価を得ているのには理由がある。もともと同社は、樹脂などを材料とする模型を手がけていた。自動車のボディから内装まで様々な模型を手がけ、自動車メーカーのラフスケッチから模型を作りだす「造形モデリング」の技術を磨いてきた。その後、模型をマスターモデルにしてシリコン樹脂で型を作り、樹脂製 もう一つ、同社の強みとして挙げられるのが、一気通貫のプロセスマネジメントである。顧客から受け取った3次元CADデータの補正から、マスターモデルの製作、シリコン型および石膏型の作成、鋳造、型ばらし、洗浄、仕上げ、マシニング加工までのプロセスを自社工場で一気通貫で行っている。さらに表面処理・塗装などの後工程も、納期対応力の高い協力工場のネットワークを生かして標準対応が可能だ。

 「出来上がった試作品の修正が仮に発生したとしても、すべてのプロセスを社内に持っていますので迅速な対応が可能です。自動車産業では、試作品の精度とスピードを高いレベルで求められますから、その要求に応えるうちに当社の技術が育ってきたと感じています。今後、石膏鋳造の存在を広く知っていただくことで、様々なものづくりの現場でお役に立ちたいと思っています」と佐藤社長は意欲をみせる。

お問い合わせ
  • 有限会社モールドモデル

    〒402-0025 山梨県都留市法能宮代1087-3

    TEL:0554-45-8071

    FAX:0554-45-8072

    URL:http://www.mold-model.com/

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