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ソフトや機器の複製/盗用を防ぐ高度なワザ、製造業の新しい事業モデルの実現を後押し

図1 ソフトの機能のグレードを分けて上位に誘導することで収入の最大化を図る
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製造業においてサプライチェーンや製品の流れがグローバル化するとともに、製品に含まれる知的財産(IP)の管理が難しくなってきた。こうした中、機器に実装されているソフトウエアのIP を高度なレベルで管理できる合理的な手法を展開しているのが、フランスを拠点にしているGemalto だ。組み込みソフトウエアのリバースエンジニアリングや違法な複製を防ぐ暗号化技術など同社が開発した優れた「ワザ」の数々は、「セキュリティとプロテクション」「ライセンシング」「エンタイトルメント管理」を活用して既存のソフトウエア・ビジネスが抱える課題を解決し、ソフトウエアの収益化を可能にすることで、製造業の新しいビジネス・モデルの創出に貢献する。


 

 Gemaltoは、機器に実装されたソフトウエアのIPを保護し、ライセンス管理でソフトウエアから収益を得る新しいビジネス・モデルの確立を支援する事業をグローバルに展開している。同社の顧客は180の国や地域に広がり、2015年の売り上げは31億ユーロに及ぶ。

 現在、同社が提供しているソリューションは、大きく四つある。すなわち、リバースエンジニアリング対策やアンチクラッキングなどを実現するソリューション「Sentinel Envelope」で、ソフトウェアの知的財産を保護する「セキュリティ&プロテクション」。ライセンスの使用許諾、機能やアプリケーションごとの利用制御、ライセンスの稼動状況のモニタリングを可能にする「ライセンシング&利用状況の追跡」。オンプレミスやクラウドのシステム、組み込みソフトウエアの製品構成、プロビジョニング(サービスのセットアップ)、配信などあらゆるオペレーションを管理する「エンタイトルメント管理」。ソフトウエアのIP 管理や収益化にまつわるサポートを提供する「コンサルティング&サービス」である。

ソフトウエアの時代に儲かる仕組みを構築

 これらのソリューションに対するニーズが製造業において高まっている。その背景には、IoT(Internet of Things)など最先端のICT(情報通信技術)を採り入れて、ものづくりの現場を革新する動きが工業先進国を中心に活発化する中で、ソフトウエアを重視する機運が盛り上がってきたことがある。現状では不特定多数のユーザに配布したソフトウエアのライセンスを管理する有効な仕組みがなかなかない。このためハードウエア製品の付属品としてソフトウエアを無償提供せざるを得ないケースも多い。こうした問題を解決し、ソフトウエアからの収益を高めるために役立つのが同社のソリューションである。

 例えば、フル機能を備えたソフトウエアをあらかじめ実装した機器をユーザに提供したうえで、当初提供するライセンスでは、その一部の機能だけ利用できるようにする。その後、顧客が必要になったときに有料で追加のライセンスを提供することで、ほかの機能も使えるようにする仕組みを同社のソリューションで実現できる(図1)。製品納入後、ユーザを上位のグレードに誘導することで収益を高めることができるわけだ。

 もっとも、これだけならば同様のサービスを提供している機器メーカーが現状でもある。Gemaltoが提供するソリューションで注目すべきは、ライセンスのやりとりなど、一連のプロセスを自動化できる「バックオフィス連携」を実現できることだ。顧客の申し込みを受け付けたり、ライセンス・キーを郵送で配布したりするなどのエンタイトルメント管理のためなどに人的なリソースを配置しなくて済む。

開発に影響を与えずにビジネス戦略の変更

大友 淳一氏
ソフトウェアマネタイゼーション 事業本部長

 この仕組みは、製品開発のプロセスに大きな革新をもたらす可能性もある。「開発作業とライセンス実装を分離することで、製品開発の効率化が図れます」(同社ソフトウェアマネタイゼーション事業本部長の大友淳一氏)。一般にライセンス戦略を担当するのはマーケティング部門。その戦略に応じたライセンス管理の仕組みをソフトウエアに実装するのは開発部門だ。あらかじめライセンス戦略を策定し、開発段階でライセンス管理システムをソフトウエアに実装する。この場合、製品が完成した後はライセンス戦略を変更することはなかなかできない。「Gemaltoはシステムの外部からライセンスを制御できる仕組みを提供しています。これならば製品完成後でも柔軟にライセンス戦略を変更できます」(大友氏)。

 さらに、この仕組みは機種展開の効率化にも役立つ(図2)。具体的には、ハードウエアと実装するソフトウエアは共通にして、ライセンスの違いだけで機能を変えて機種展開を図る。実際に、米国の大手通信機器ベンダはこの仕組みを採用して在庫の最適化を進めた。

図2 ハードを共通化してライセンスによって機種展開を実現
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前田 利幸氏
ソフトウェアマネタイゼーション事業本部 シニアプリセールスコンサルタント

 もう一つ機器メーカーにとって見逃せないのが、同社のソリューションが「ブラックマーケット対策」にも役立つことだ。海外の工場に生産を委託したところ、ほとんど同じ機能を持った製品が市場に出回ってしまったという事態が実際に起きている。こうした問題に対して同社のソリューションを利用すればライセンスがないシステムでソフトウエアを実行できないようにすることができるので、不正な製品の流出や複製を防げる(図3)。「最新ソリューションの『Sentinel Fit』ならば、OSを搭載していないデバイスでも同様のライセンス管理ができるので、幅広い機器に展開可能です」(ソフトウェアマネタイゼーション事業本部シニアプリセールスコンサルタントの前田利幸氏)。

図3 適切なライセンス管理で製品の不正な複製を防止
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 金融サービスや小売り、企業、政府機関など幅広い分野で多くの実績を築いてきた同社ならでは高度なワザが随所に光るGemaltoのソリューション。大きな変革の局面を迎えた製造業の発展に大きく貢献するに違いない。

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