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次世代パワー半導体の開発を加速 同時にSi デバイスの可能性も追求

オン・セミコンダクターは、1200Vまでに及ぶ幅広いレンジの耐圧をカバーする豊富な品種のパワー半導体製品を揃え、しかもSi(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(ガリウムナイトライド)と多様な材料を使ったデバイスを供給できる数少ないサプライヤの一つだ。パワーエレクトロニクス・サミット2016で登壇した同社 パワーソリューショングループの夏目 正氏は、パワー半導体技術の最前線と今後の展望について語った。

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 パワー半導体は、SiCやGaNといったワイドバンドギャップ半導体材料の導入を契機に進化が加速している。ただし、現在市場では、IGBTやMOSFETなどSiを使ったデバイスが主流だ。夏目氏は新材料を使ったデバイスに言及する前に、オン・セミコンダクターが、Siパワー半導体の開発にも継続して力を入れていることを強調した。例えばIGBTでは、ドリフト領域と呼ばれる電流が流れる基板の厚さを薄くすることで段階的に低抵抗化を図っている(図)。具体的には2010年に市場投入したIGBT「NPT」では1200V耐圧品のドリフト領域の厚さは175μmだった。これが2012年の「FSI」では150μm。2013年の「FS II」では125μm。2015年の「FSIII」では105μmと薄化を進めた。さらに、コレクタ領域へのホールの注入効率を向上し、ドリフト領域の抵抗を下げる技術も採用している。

図 オン・セミコンダクターのトレンチ型IGBTのロードマップ
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新材料の課題を着実に解決

 この一方で同社は、新材料を使ったパワー半導体の製品化を着々と進めている。ただし、新材料を使ったデバイスの市場を本格的に立ち上げるには解決すべき課題が残っているという。「これらを解決しながら、新材料を使ったパワー半導体の品揃えを充実させます」(夏目氏)。

 同氏が挙げた課題の一つは、新材料が持つ固有の物理特性に適した応用を開拓することだ。基板結晶成長技術の進歩が著しいSiCでは、縦型のデバイス構造がもたらす低オン抵抗、高耐圧、高出力という特長が生かせる領域へと応用を広げる。GaNは、Si基板上にエピタキシャル成長させた薄いGaN層に横型のデバイスを形成しているため高周波特性が優れている。この利点を生かした応用を開拓すべきだという。

 同氏は、技術面での課題も指摘した。例えば、新材料を使ったデバイスの特性をフル活用したときに電流の集中によって接合部の温度が上昇することだ。特性を安定させるには、この温度をうまく制御しなければならない。ここでは実装や放熱など多様な周辺技術が役立つ。「電力制御のような重要な周辺技術をオン・セミコンダクターは豊富に抱えています。これらを結集し、応用分野におけるイノベーションの実現に貢献するつもりです」(夏目氏)。

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  • オン・セミコンダクター株式会社

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