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「デジタルツイン」で バリューチェーン全体を検証可能に

「IoTを部門単位で導入しても部分最適にしかなりえない。全体最適を目指すなら、バリューチェーン全体を水平統合してデジタル化する必要がある」と強調するのはシーメンスの藤田研一氏だ。現実とまったく同じバリューチェーンをデジタル環境の中に構築する「デジタルツイン」を実現することで、生産性向上やコスト削減が可能になるという。

藤田 研一氏
シーメンス
代表取締役社長兼CEO

 デジタルツインは、現実の世界を3Dのデジタル環境の中に再現すること。現実とデジタルを“双子”のようにそっくりに再現することで、「現場で起きることをデジタル環境ですべてシミュレーションできるようになる」(藤田氏)。シミュレーションによりシステムを検証し、最適化した結果を現実の環境に反映できると同時に、オペレーションのノウハウも蓄積できる。

 シミュレーションによる検証は、設計や生産プロセスなどの個別業務では部分的に行われることはあっても、作業環境なども含めて行われていることは少ない。しかし、バリューチェーンの水平統合で全体最適化を目指すには、プラント全体でシミュレーションする仕組みが必要で、現場のすべてをデジタルで統合することで、ムダや無理の抽出をプラント全体で行う「デジタルエンタープライズ」が実現する。

 プラント全体をデジタルツイン化すれば、設計した設備が現場に無理なく設置できるかデジタルでチェックできるようになる。同社はこうしたシミュレーションに必要な一連のツールの提供で、デジタルツインの活用を支援している。

 現場のノウハウをすべてデジタル化した際のセキュリティー面の不安には、プラントレベル、ネットワークレベル、システムレベルで保護する多層防御のソリューションで対応する。そのノウハウを凝縮した同社のドイツ・アンベルク工場は、IEC基準のセキュリティー認証も取得しているという。

新しいビジネスモデル構築を支援

 デジタル化をプラントレベルより一段上の全社レベルで実現すればさらに効果を高められる。多くの製造業でグローバル展開が進んでいるが、世界に散らばる現場の様々な知識を吸い上げて水平展開するには、現場情報を統合する環境が必要で、同社はクラウドベースのIoTプラットフォーム「MindSphere」を用意している(図)。

図●「MindSphere」にはすでに35万台の機器がつながり、アプリも自由に開発できる
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 MindSphereは現場からの情報を収集し、分析のためのアプリケーションに渡す統合的なプラットフォーム。フィールドのデバイスとの接続機能を提供する「MindConnect」は、インダストリー4.0で標準と位置付けられている接続規格のOPC UAに対応し、同社製に限らずあらゆるメーカーのデバイスが接続可能だ。また、MindSphere上で動くアプリケーション「MindApps」は、パートナーやユーザーがプラグアンドプレイで簡単に使えるアプリで、自由に開発できる。

 藤田氏はMindSphereの事例として、産業用洗浄機械メーカーのケースを紹介。機械をクラウドに接続することで予知保全を実現しただけでなく、初期コストが手ごろな従量課金方式のビジネスモデルを構築できたという。

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