日経テクノロジーonline SPECIAL

SEMICON Japanには各界の知恵と技術が集結 共に議論し、動き出せばイノベーションが生まれる

ビジネスや技術におけるイノベーションを創出する際には、トレンドや常識にとらわれない新味のある発想が欠かせない。幸い日本には、多様で高度な知恵と技術を持つ企業が、エレクトロニクス産業のサプライチェーン全体をカバーするように万遍なく存在する。斬新な技術の開発とその産業化を共に進めるパートナーが国内に数多く存在し、イノベーションの創出に向いた地域特性を持っていると言える。SEMICON Japan 2017は、こうした日本の潜在能力を未来を開く力へと変える場である。SEMICON Japan 2017の見どころを、SEMIジャパン 代表の中村 修氏に聞いた。

中村 修 氏
SEMI ジャパン 代表

――SEMICON Japan 2017で発信するメッセージをお聞かせください。

中村 エレクトロニクス業界や半導体業界では、目指すビジネスや製品にも、それを実現する技術にも多様化が求められるようになりました。異質な知恵や技術に触れて次の成長につながるきっかけをつかむ「マジックが起きる。」というテーマを掲げ、多様な技術やビジネスの創出につながる動きを後押しする数多くの企画を用意しました。

 世界の中でも、日本は、多種多様な技術、しかも高度な技術が集積している極めて稀有な地域です。しかも、半導体とエレクトロニクスのサプライチェーン全体をカバーする数多くの企業が存在します。こうした地域特性のある日本だからこそできる役割を、世界に向けて発信していきます。

――SEMICON Japanでは、ここ数年間、半導体業界の中だけにとどまらない、異業種企業との共創によるイノベーション創出を後押ししてきました。

中村 IoTを未来の半導体産業とエレクトロニクス産業の主軸市場へと育てるため、異業種が最初に接触する場として2014年に「WORLD OF IOT」を新設しました。ここは、まさにマジックが起きる場の先駆けでした。今年で4回目の開催となり、こうした場の価値と意義が、半導体業界のみならず様々な業界の方々に広く認知され、しっかりと機能するようになりました。WORLDOF IOTの規模は、初年の約60コマから今回の約200コマへと拡大し、より活気ある場になるでしょう。

 WORLD OF IOTは、IoTの新しいアイデアや開発成果を単に披露するだけの作品展ではありません。異業種の人たちが集まり、課題を共有し、知恵と技術を持ち寄って解を探る最初の機会を提供します。出展社も来場者も、世の中に新しい価値を提供するイノベーションを生み出したいという思いを共有しています。日本の特徴である高度な多様性は、異業種の知恵と技術が交わり、化学反応を起こしてこそ、IoTを産業として育てていくうえでの武器になると考えています。

ソフトバンクが出展・登壇

――SEMICON Japan 2017の特別展での見どころを教えて下さい。

中村 IoTやAIを使って新たな価値を持つサービスを生み出そうとする日本企業の代表格であるソフトバンクが、WORLD OF IOTに出展し、キーノートスピーチにも同社の宮内 謙 代表取締役社長 兼 CEOが登壇します。インパクトのあるビジネスやサービスを矢継ぎ早に投入する同社が、半導体産業にどのようなメッセージを発信するのか大いに注目が集まることでしょう。さらにWORLD OF IOTには、ソニー、パナソニック、ジャパンセミコンダクター、マイクロンのような世界に多大なる影響力を持つデバイスメーカーも出展します。これら各社の展示からは、IoT関連デバイスの進化の方向性を実感できると確信しています。

――半導体の製造技術に関する展示コーナーも充実しているようですね。

中村 デバイスの製造技術を前工程、後工程・総合、部品・材料に区分けして、これから求められる技術の全容を余すことなく展示します。ここ数年間で一番充実した内容になると思います。EUV露光が実用化に向かい、微細加工技術の発展が再び加速しました。また、パワーデバイスやチップ積層技術の高度化に欠かせない、パッケージの進化にも期待が集まっています。今回は、リソグラフィーとパッケージングの分野の人たちを集めて、2日目の12月14日に「GET TOGETHER」と題した新設の交流イベントを開催します。関連するセミナーの終了後に開催し、同じ技術を扱う方々が、企業と立場を超えて交流できる貴重な機会になると思います。

 加えて、テーマパビリオンとして、中小企業や新規参入企業がキラリと光る技術や製品を披露する「製造イノベーションパビリオン」や小口径ラインの再活用に向けた「中古装置パビリオン」、ミニマルファブのラインの展示と共に要素技術を提供する各社の展示を充実させた「ミニマルファブパビリオン」を用意しています。加えて、日本企業が活躍する新しい分野として「化合物半導体パビリオン」を新設しました。

将来を担う人材の育成を支援

――講演やセミナー、イベントでの見どころを教えて下さい。

中村 3日間、合計9つのテーマの基調講演やフォーラムを開催するSuperTHEATERと、3つのTechSTAGEで充実した内容の情報を届けます。さらに、出展社による技術の詳細の解説を聞くステージも設けています。

 SuperTHEATERには、最終日に「みらいビジョンフォーラム」と呼ぶ、未来を語るセッションを新設しました。半導体の進化によって、どのように社会や生活が実現するのか、未来を垣間見る場です。ここでは、ロボットと人が共存する社会、未来世代のコンピューターの進化で広がる可能性、5Gの実現によって実現する新たなコミュニケーションの環境について、それぞれの分野で先進的なビジネスや研究に携わっている講師に語っていただきます。

――足下で求める情報から、未来を見通す情報まで、実に幅広いですね。

中村 将来を担う人材の育成を後押しする企画も例年以上に充実させています。これから、日本の半導体業界は人手不足の時代に入って行くことでしょう。若い人材にこの業界の魅力を伝え、きっちりと育てていかなければ、いくら世界的に重要性が増している業界であっても地盤沈下してしまいます。

 2015 年から始めた創業間もない企業がアピールする場である「INNOVATION VILLAGE」や、2016年から始めた企業の若手や学生に業界を知ってもらう場である「MIRAIGAKKO」もより強化しました。MIRAIGAKKOでは、ハッカソンを通じて業界の未来について考えるだけではなく、TechSTAGEにおいて、成果発表も行います。ここは、若手が考えていることを、来場した中堅以上の業界人と共有する気づきの多い場になると思います。

――見どころ満載ですね。来場される方にメッセージを。

中村 私たちの生活を支える半導体やエレクトロニクスの業界で、どのようなマジックが起きて、何をどのように変えていくのか。ぜひSEMICON Japanの会場に足を運んでいただいて、その方向性と半導体業界の人たちの熱気を感じていただきたいと思います。多くの気づきと共に、明るい未来の兆しを実感できることでしょう。

Profile
中村 修(なかむら おさむ)氏
株式会社日立ハイテクノロジーズ 執行役常務
半導体製造装置営業統括本部長
グループ戦略本部長
日立ハイテクノロジーズシンガポール会社
代表取締役社長
SEMI 役員
2014年7月SEMIジャパン代表就任