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電子部品を軸足に、センサーと独自のソリューションで新たなTDKの創出へ向け前進する

TDKが好調だ。自動車や産業機器での旺盛な需要に支えられて、同社の受動部品や2次電池の販売は伸びている。ただし、楽観視していない。継続的に成長できる企業への脱皮を目指し、IoTや自動車での需要拡大が期待されるセンサー事業を中心に据えるため、同社は事業構造改革に取り組んでいる。現在の事業状況と構造改革の進捗、今後の展開を同社 代表取締役社長の石黒成直氏に聞いた。

―2017年の事業状況は。

石黒:2018年3月期(2017年4月~2018年3月)上半期の売上高は前年同期比7.7%増の6236億円で、半期および四半期ベースで過去最高でした。好成績となった主な要因は、売上高の3割強を占める受動部品事業が自動車向けと産業機器向けで、同じく約3割を占める2次電池などのフィルム応用製品事業がスマートフォン向けで、それぞれ販売を伸ばしたためです。

 自動車市場では電装化の進展によって部品搭載数が増加、さらに通信機能の搭載が進み、販売が堅調です。当社製品のセラミックコンデンサー、インダクティブデバイスの応用市場は順調に広がっています。また、産業機器でも半導体製造装置やロボットなどでの設備投資が旺盛で、インダクティブデバイスや圧電材料部品の販売が伸びました。2次電池も、スマートフォン向け以外に、ドローンやゲーム機など新しいアプリケーションへの採用が広がっています。自動車や産機向けを中心に下半期も堅調に推移するとみており、2018年3月期の通期予想を、売上高は1兆1900億円から1兆2500億円へ、営業利益は800億円から850億円に上方修正しました。

駒はそろった、大仕事はこれから

―現在、センサー事業を柱に育てる構造改革を進めています。

石黒:2018年度上半期のセンサー応用製品事業は、売上高が前年同期比75.1%増の366億円でした。これは、2017年5月に買収を完了した米InvenSense社が連結対象となったことが大きいのですが、従来の自動車市場向け温度・圧力・磁気の各センサーの販売も増加しています。

 TDK は、センサー事業の売上高を、2021年には2000億円を目指します。

―センサー関連企業の買収を通じ、ポートフォリオの変革と共に、将来の目指す姿に向けて着実に動いています。

石黒:はい。M&Aによって、来るべきIoT時代、クルマの新時代に向けたセンサーソリューションを提案できる素地である技術とハード、ソフトを、集めることができました(図)。

 もともと、TDKはハードディスク装置のヘッドで培ったトンネル磁気抵抗効果(TMR)素子を応用した磁気センサーで、強みを持っていました。

 また、ドイツのEPCOS社は温度・圧力のセンサーを手掛けており、モジュールに適応したパッケージ技術を持っています。このため、応用製品への展開が可能です。さらに2016年には、汎用性が高い磁気センサーであるホール素子で実績を持つスイスのMicronas Semiconductor社、産業機器や自動車関連の慣性センサーを作るMEMS技術を保有するフランスのTronics Microsystems社を買収。2017年に入って、ASICの設計で豊富な実績を持つベルギーのICsense社と、先に紹介した民生用のモーションセンサーで数多くの製品と顧客を持つInvenSense社を加え、センサーのラインアップがそろいました。グループの中でシナジーを発揮し、人と社会が抱える課題をさまざまな製品・技術をつなぐことで解決する、「コトづくり」のビジネスを強化します。

―TDK が描く次世代のセンサー事業の姿が、くっきり見えてきました。

石黒:IoTやクルマの自動化や電動化で、あらゆるセンサーの需要が急拡大するとみています。買収によって得た多くの技術とスキルをまとめ上げ、時代が求めるセンサーソリューションを提供できる企業として機能させるための大仕事が始まっています。

 2017年4月に、センサー事業の組織として「センサシステムズビジネスカンパニー」を立ち上げ、買収した企業群をここに集約し、一元的な管理と横断的な研究開発を行います。センサー事業では、お客様が実現したいことを察知し、先回りしてソリューションを提案する、マーケットインの事業体制による「コトづくり」のビジネスモデルが重要になります。既に、横断的な取り組みとして、10を超える開発プロジェクトが動き出しています。

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図 効果的なポートフォリオ拡充による事業戦略の遂行

高品質の極みを目指す

―現在の事業の柱である受動部品などは、どう強化するのでしょうか。

石黒:自動車や産業機器など、受動部品の応用市場では、特に高い信頼性が求められます。厳しい品質要求に応えるため、ものづくりのあり方を抜本的に変える取り組みを進めています。

 2016年10月、国内の主力拠点である秋田県の本荘工場と稲倉工場に、IoTやビッグデータなどの最先端技術を取り入れた新棟を作りました。「Industry 4.0」に当社独自の目標である「ゼロディフェクト」を加えた、これからTDKが世界中に展開する工場のモデルとなる工場です。不良品を見つけて取り除くのではなく、生産工程で不良品を出さないための工夫を多数盛り込んでいます。

 カメラによるパターン認識やセンサーによる検知など、さまざまな技術を使って生産状況をリアルタイムでチェックするとともにデータを蓄積、解析し、生産ラインにフィードバックして不良品をなくす取り組みを加速しています。

 例えば、フェライトコアを生産している稲倉工場東サイトでは、従来は合計で約40mあった生産ラインを1/5に短縮し、リードタイムも最大で1/4にしました。1台でフェライトコアの生産を完結できる新たな装置を導入し、装置間の搬送をなくし、歩留まり、スループットを向上させ、仕掛在庫の解消も実現しました。

―将来の飛躍に向けて、楽しみな材料が多いですね。

石黒:次の中期3カ年計画では、モノづくりをベースとした電子部品ビジネスを軸足に、センサーソリューション、パワーソリューションというコトづくりと、ゼロディフェクト品質の強化を進め、IoT化の進むグローバル市場で大きく成長できる企業を目指します。

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  • TDK 株式会社
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