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IoTと車載への注力が奏功し全製品分野で連続成長を実現AIやロボットなど新技術にも取り組む

32ビット・マイコン「STM32ファミリ」や各種センサー、車載用半導体など、幅広い半導体製品を提供するSTマイクロエレクトロニクス(以下、ST)。継続的な成長を背景にして、IoT、産業機器、スマートフォン、およびスマートドライビングに対する取り組みを強めている。日本法人社長を兼務しながら全社のグローバル・セールス&マーケティングを統括するマルコ・カッシス氏に聞いた。

―2017年を振り返ってください。

カッシス:ビジネスは引き続き好調で、当社の2017年度第1四半期(2017年1~3月)の売上高は全社で約18億ドル、第2四半期(4~6月)は約19億ドル、第3四半期(7~9月)は約21億ドルと、連続して伸びています。このうち第3四半期は前年同期比で約19%の成長となったほか、すべての製品グループにおいて二ケタ成長を達成しました。売上総利益率も第3四半期は39.5%となりました。

 また、販売チャネルを介した「マスマーケット」へのビジネスも好調です。販売チャネルによる売上比率は、2013年度の26%から本年第3四半期は34%にまで増え、顧客ベースのバランスが向上しています。

 分野としては、IoT、産業機器、スマートフォン、そしてスマートドライビングに注力しています。

―特に成長した事業領域は。

カッシス:製品として大きく伸びているのがSTM32ファミリなどの汎用マイコンです。車載用を除く汎用マイコンの市場調査では、当社のシェアは2007年に10位だったものが、2012年には6位、そして2016年には3位にまで躍進しました。製品は700品種を超え、あらゆるアプリケーションのニーズに対応できる幅広いポートフォリオが強みです。

 また、マイコン、センサー、通信ICやパワー製品など、1台当たりに組み込まれる当社製品が増えており、このことが成長を後押ししています。例えば、任天堂株式会社のゲーム機「Nintendo Switch™」には、6軸モーションセンサー、タッチスクリーン制御IC、NFC(近距離無線通信)制御ICおよび汎用のSTM32マイコンが採用され、成長に大きく貢献しています。

―カッシス社長は担当範囲が、これまでのアジア太平洋地域からグローバル全体へと拡大したそうですね。

カッシス:お客様や販売代理店ネットワークのグローバル化がますます進んでいることを踏まえて、セールスとマーケティングをグローバルに見るポジションが新たに設けられ、私がその責任者に就任することになりました。

 役割の1つが持続的な成長の確立であり、キーとなるお客様を獲得するとともに、先ほど述べたマスマーケットの強化を進めています。また、セールス&マーケティングの立場から、短期および中長期での開発ロードマップを、市場やアプリケーションのニーズと同期させることも重要な役割です。

AIや自動運転に注力

―注力分野であるIoTに対する取り組みを教えてください。

カッシス:数多くの新製品投入が功を奏し、スマートフォンを始め、さまざまなIoTデバイス向けのビジネスが順調に成果を挙げています。IoT市場はますます拡大し、注目すべき新たなトレンドが次々と生まれています。例えば、スマートファクトリーの実現に向けた生産ラインのインテリジェント化です。当社のセンサーやマイコンにインテリジェントなアルゴリズムを組み合わせて設備のメンテナンスの時期を知らせたり、あるいはデータの送受信に適したBluetooth® Low Energy(BLE)、Sigfox、LoRaなどのコネクティビティー・ソリューションの拡充に力を入れています。

 もう1つ重要と考えているトレンドがAIです。特にIoTでは、センサーから取得した大量のデータをクラウドで処理する集中型ではなく、情報収集する端末側に処理機能を分散させ、ネットワークに送るデータ量を大幅に削減することで通信帯域の効率的な利用につなげる「エッジ・コンピューティング」が普及してきているため、コンパクトなAIを搭載する汎用マイコン・ソリューションの開発を進めています。

 また、産業・ヘルスケア・教育などのさまざまな分野で活躍するロボット向けにも、センシング、コネクティビティー、プロセッシング技術を組み合わせた包括的なプラットフォームを提案しています。

―次に、自動車に対する取り組みを聞かせてください。

カッシス:STには30年前の設立当初から車載半導体を提供してきた歴史があります。現在も幅広い製品ラインアップを展開していますが、自動運転技術やEV化を背景に1台当たりに使われる半導体は増えつづけており、ビジネスにとっては追い風といえます。

 自動運転やADASに対しては、HDR(High Dynamic Range)技術とLEDフリッカー除去機能を両立させた車載用CMOSイメージセンサー、事故の発生を未然に防ぐアクティブ・セーフティ用途向けのモーションセンサーおよび長・短距離用レーダーIC(24GHz/77GHz)など、車両および周辺の情報を検出するソリューションのほか、つながるクルマを可能にする車車間・路車間通信(V2X)技術を提案しています。

 また、EV化に対しては、現在主流となっているIGBTに比べて損失が約1/4と小さく対応温度範囲も広いなどの特長を持つSiC(シリコン・カーバイド)パワーMOSFETの拡販に力を入れています。これにより、同じ容量のHEV/EV用バッテリーの走行距離を20%も延ばすことができるほか、より小型の車載システムの実現に貢献していきます。

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図 47種類のST製センサーを搭載したヒト型ロボットとADAS向けCMOSイメージセンサー

持続的な成長基盤の強化を目指す

―2018年の展望を教えてください。

カッシス:世界経済は堅調ですし、スマートフォンやクルマなどさまざまなアプリケーションで当社の半導体の採用が増えていることもあり、2018年も継続的な成長を期待しています。

 より優れた製品を開発してお客様に提供しながら、お客様との関係を築き、深めていくことを、キーアカウントやマスマーケットを通して推進していきます。同時に、センシング、コネクティビティー、プロセッシングなど、当社ならではの技術力を生かした製品群の強化に努め、持続的な成長を目指していきます。

 2017年は、日本市場におけるビジネスも非常に好調で、継続的なデザインウィン(製品採用)が得られています。日本が特に強みとしている、自動運転技術や電気自動車を含む自動車、さまざまなデバイスを構築する各種モジュール、およびゲーム機などの分野を中心に、2018年もイノベーションを通じた価値をお客様に提供していきます。

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  • STマイクロエレクトロニクス株式会社
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