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9千ユーザーをOffice 365に移行

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Office 365 導入事例 国立研究開発法人産業技術総合研究所 9,000ユーザーを短期間で Office 365 に移行し、安心安全なメール環境を構築 ~日本国内のデータセンターを拠点とする、世界標準のセキュリティを備えるクラウドサービスを活用~

 産業技術総合研究所(以下、産総研)は国内最大規模の研究機関である。特に産業に直結する分野で、数々の成果を生み出してきたことで知られる。2015年、同研究所で Office 365 のメールサービスが動き始めた。メールの仕組みを従来のオンプレミスからクラウドに切り替えたのは2012年のこと。以来3年間利用した別のクラウドサービスから、今回、 Office 365 に移行した。マイクロソフトの国内データセンターを拠点に提供されるメールサービスは、国際標準のセキュリティや可用性、堅牢性などが高く評価されている。

クラウド化への背景東日本大震災をきっかけに
事業継続性強化の取り組みが加速

国立研究開発法人
産業技術総合研究所
環境安全本部
情報基盤部長
工学博士
正木 篤氏

 国内最大規模の陣容を持つ産総研は、産業との連携を重視した幅広い研究で知られており、北海道から九州まで全国11カ所にある拠点の中でも、茨城県のつくばセンターは中心的な役割を担う。

 産総研では研究職員や事務職員、テクニカルスタッフなど多くの関係者が働いており、メールアカウントは約9,000ユーザーアカウントにおよぶ。これほど多くの人たちの研究、業務を支えるIT環境づくりは大きなテーマだ。この分野で主要な役割を果たしている情報基盤部では、以前からITにおけるBCP(事業継続計画)に取り組んできたという。

 「災害時のことを考えると、つくばセンターだけにITインフラが一極集中している状況は好ましくありません。そこで徐々に事業継続性を考慮したIT環境の検討を始めていました。その動きが一気に加速したのは、2011年の東日本大震災がきっかけです」と産総研の情報基盤部長である正木篤氏は語る。

 つくば市では震災に伴い停電が発生し、産総研のサーバーの多くが停止に至った。こうした経験を踏まえて、つくばへの集約型からの脱却が切実な課題として浮上したのである。

 「大きく2つの方向性があります。外部に出しても問題ないと判断したデータについては、クラウドサービスを積極的に利用する。セキュリティ的な重要度が高く内部に置くべきと判断したデータについては、拠点間でのバックアップなどのBCP対策を施した上で産総研内のITインフラ環境を利用します」と同部情報基盤グループのグループ長である久保真輝氏は話す。

 産総研で進むオンプレミスからクラウドへのシフト。その背景にある理由を、久保氏は「事業継続性の観点に加えて、管理コストの削減と省エネルギー。これらの3つの効果をクラウド化で追求していきたいと考えていました」と説明する。

Office 365 の導入ユーザー数9,000人の大規模移行を
約2カ月という短期間で実現

国立研究開発法人
産業技術総合研究所
環境安全本部 情報基盤部
情報基盤グループ
グループ長
久保 真輝氏

 クラウドのメールサービス入札については、重要な要件がいくつかあった。久保氏は次の内容を挙げる。

 「まず、十分にセキュリティが保たれたクラウドのメールサービスであること。機能面ではメール機能のほかにも、会議室予約やスケジュールなどの機能、個人用ストレージを利用できることなどを求めました」

 入札の結果、 Office 365 に移行することが決まった。約9,000人が利用する大規模なメールシステムの移行を成功させるため、移行のためのツールや手段をフルに活用。加えて、マイクロソフトは「Adoption Offer」という Office 365 導入支援プログラムを、導入支援パートナーであるソフトバンク・テクノロジー株式会社に提供した。同プログラムを活用することにより、システムを極力止めずに、通常よりもはるかに短期間でのスムーズな導入が可能になった。

 ほかのクラウドサービスから Office 365 に移行させたデータの総量は35TB以上に達する。プロジェクトチームは大量のデータ移行を約2カ月という短期間で終え、 Office 365 への切り替えを成功させた。 Office 365 による新しいメールサービスは順調な稼働を続けている。

導入後のメリット世界標準のセキュリティ
「東京地裁が管轄」も安心材料

 産総研はクラウド化による様々なメリットを感じているようだ。まず、コスト削減や効率化の観点がある。

 「オンプレミスのころには、メールサーバーの運用関係で20~30台のサーバーが動いていました。運用を担当する複数の専任エンジニアもいました。現在ではサーバー台数は大幅削減されており、サーバーを管理する専任の担当者はいません」と久保氏は語る。

 また、セキュリティや可用性などについても重視している。

 「産総研として求めたのは世界基準のセキュリティです。入札にあたっては、ISO/IEC 27001などのセキュリティ認証を必須としました。可用性や堅牢性という観点では、複数のデータセンター間で冗長化できることが重要です」と正木氏。マイクロソフトの国内データセンターをはじめとする Office 365 のIT基盤は、産総研の厳しい基準をクリアしている。

 マイクロソフトは現在、これまで以上に日本市場に注力する姿勢を明確に打ち出している。その1つの表れが、日本で提供されるサービスの法的な位置づけである。グローバルに展開するクラウドサービスでは、準拠法や管轄裁判所が海外とされているケースが少なくない。Office 365 の場合、契約書において準拠法は日本法、管轄裁判所は基本的に東京地方裁判所との内容が明記されている。

 「データセンターの場所のみならず、準拠法や管轄裁判所も国内ということは運用上の安心やメリットを感じられることは確かです」と久保氏は語る。さらに、 Office 365 のメリットはほかにもあるという。

 「以前のメールサービスでは容量制限がありましたが、 Office 365 はメールサービスの保存容量が無制限です。研究者によっては大量のメールを扱うことも多く、以前は上限を超えてしまうケースがあったのですが、これからは容量の心配はしなくてすみます」(正木氏)

システム概要図(導入時点)
システム概要図(導入時点)
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導入後のメリット

  • 1.東西2拠点で冗長化され、可用性、堅牢性を備えた国内データセンター
  • 2.最高レベルの国際標準が設定されたセキュリティ
  • 3.準拠法は日本法、管轄裁判所は東京地方裁判所という点が安心材料
  • 4.オンプレミス時代は複数の専任エンジニアが運用を担当していたが、現在、専任担当者の配置を必要とせず、管理工数の削減を実現
  • 5.導入支援施策を受けて、9,000ユーザーという大規模なメールサービスを短期間で移行

将来展望情報基盤部の最大のミッションは
セキュリティ、可用性、堅牢性

 インターネット上では巧妙かつ高度な攻撃手法が次々に編み出されており、その脅威は増大するばかりだ。一方で、研究の価値をより高めるために、多拠点を結ぶコラボレーションの重要性も高まっている。こうした中で、産総研のITを支える情報基盤部の果たすべき役割もまた大きなものになっている。

 「現在の情報基盤部の最大のミッションは高度な情報セキュリティの確保。そして、可用性や堅牢性です」と久保氏。こうしたミッションを遂行する上で、人員配置の最適化は大きなカギを握る。「クラウド化によって運用負荷が軽減されたことで、情報セキュリティ管理などの高度な業務に人材をシフトすることが可能になりました」と久保氏は続ける。

 「新たな脅威は今後も増え続けるでしょう。クラウドサービスである Office 365 は定期的にセキュリティ、コンプライアンス機能が大きく強化され続けていると聞いております。時代の潮流に沿ってさらに増える新たな脅威への対策の対応が進むことも期待しております」と久保氏は語る。

 Office 365 のスムーズな導入に成功した産総研は、このほかにもマイクロソフトの「 OneDrive for Business 」も活用しており、今後は「 Skype for Business 」の活用も検討しているという。正木氏や久保氏はこうしたコミュニケーション環境の進化を図りつつ、業務効率のさらなる向上を目指す考えだ。

お問い合わせ

日本マイクロソフト株式会社

〒108-0075 東京都港区港南2-16-3

TEL:03-4332-5300

http://www.microsoft.com/ja-jp/office/365/default.aspx

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