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MS クラウドOS時代のIT基盤の選び方―ハイブリッドクラウドで迅速な対応と管理負荷を軽減 Windows Azureの日本データセンター活用で利用範囲も拡大

[ユーザー事例] 株式会社サンリオ
ハイブリッドクラウドで迅速な対応と管理負荷を軽減
Windows Azureの日本データセンター活用で利用範囲も拡大

サンリオは、ディザスタリカバリへの取り組みや経営戦略への迅速な対応を実現するために、情報系システムをWindows Server 2012 R2、Windows Azure、Microsoft System Center 2012 R2の組み合わせによるハイブリッドクラウドに移行している。さらに、より速いレスポンスタイムを求めてWindows Azureの日本データセンター(正式名称:Windows Azure Japan Geo)を活用することで、クラウドの利用範囲を広げ、さらに利便性の高いシステム活用を目指している。

オンプレミスのシステムをハイブリッドクラウドに移行

株式会社サンリオ
情報システム部
IT推進課 主任
大畑 正利

システム導入のコスト抑制、管理負荷の低減、柔軟で迅速な対応などでクラウドやハイブリッドクラウドが注目される中、サンリオでは、「ディザスタリカバリへの対応」「経営戦略の変化に対する迅速な対応」の2つの課題を解決するために、ハイブリッドクラウドによる統合環境構築を2013年9月に行っている。サンリオ 情報システム部 IT推進課 主任の大畑正利氏は、ハイブリッドクラウドへの移行について次のように話す。

「これまで、事業所ごとに配置されているサーバーをデータセンターに集約してきましたが、ディザスタリカバリのためのバックアップ先としてクラウドには早くから注目しており、自社で利用できないかどうかを検討していました。また、オンプレミスでシステムを活用していると、キャパシティ設計どおりにリソースを使い切っているのかが見えにくく、意図しないリソース消費の増加などの場合にハードウェアリプレイスやスケールアップ/スケールアウトが行いにくいという課題もありました。システム提供の遅れが経営戦略の迅速な実行の妨げとならないためにも、クラウドやサービスをどのように有効活用するかが課題だったのです」(大畑氏)。

これらの課題に対して、2013年6月に日本マイクロソフトからWindows Server 2012 R2、Windows Azure、Microsoft System Center 2012 R2の組み合わせによるハイブリッドクラウドの提案を受けた大畑氏は、既存の業務システムに影響を与えずにクラウド化できることや、Windows Azureの料金体系にコストメリットがあると考えた。そして採用が決定した。Windows Azureに情報系システムを移行させ、業務系システムはオンプレミスのデータセンターで従来どおり利用し、ディザスタリカバリ対応で業務サーバーの一部をWindows Azureに複製させている。

System Center 2012 R2は、ハイブリッドクラウドを管理するために採用され、社内の仮想化基盤とWindows Azureを統合的に管理することで管理負荷の低減も実現している。また、Windows Azureが地理的に離れた二つのリージョン間(Windows Azure Japan Geoの場合、東日本リージョンと西日本リージョン)で冗長性を担保していることもディザスタリカバリやシステム運用の大きなメリットとなっている。

Windows AzureとSystem Centerで効率的にシステムを運用

サンリオは、ハイブリッドクラウドを活用することによってシステムのリソース消費状況を高い頻度で見直し、業務の現状に合わせて効率的にサーバーを配置している。利用頻度に合わせてシームレスにサーバーをクラウドに置いたり、オンプレミスに置いたりできるマイクロソフトのWindows Azureは、他社のクラウドサービスにない特長の1つだ。ビジネスニーズや経営戦略に合わせて必要なリソースを活用し、企業のビジネスパフォーマンスを最大化することがITシステムの使命であると大畑氏は考えている。Windows Azureによってシステムの利用率を“見える化”でき、コスト評価を簡単に行えることも大きなメリットだ。

また、システム運用の自動化と管理・監視体制の強化、管理負荷の低減と属人化の排除も今回のハイブリッドクラウド導入の大きな目的の1つだと大畑氏は語る。「これまでの運用管理は担当者にナレッジが集中し、情報の共有を推進しにくい状態でした。System Center 2012 R2で統一した方法でオンプレミスとクラウドのサーバーを管理できれば、ノウハウをオープンにでき、属人化を排除できます。アプリケーション、ハードウェア、OSのそれぞれのレベルで異なる管理画面を使っていましたが、System Center Operations Managerでは階層構造で一元管理でき、アラートが出たイベントをドリルダウンして監視することが可能なので便利です」(大畑氏)。

System Center Operations Managerを活用することで、監視からトラブル発生時のアラートだけでなく、回復までを自動化しようと考えていることもサンリオのハイブリッドクラウドの特長の1つだ。「今後は、System Center Operations Managerの回復タスクを整備してトラブルへの対処法を確立させ、トラブルが起きても自動的に回復手段を試行してトラブル解決するような基盤を作っていきたいですね」と大畑氏はSystem Center Operations Managerによる自動回復化にも大きな興味を持っている。またSystem Center Orchestrator による自動運用も拡充していきたいと考えている。

さらに、ユーザー部門の要求や経営戦略のなかで迅速にシステム構築が必要になった場合も、Windows Azureのギャラリーから数クリックするだけでOSインストール済みの仮想マシンが作られ、簡単に検証環境をWindows Azure上に作れることや、スモールスタートでキャンペーンサイトを立ち上げてコストを抑えられることも大きなメリットとなっている。

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日本国内データセンターのメリットを活かしクラウドを利活用していく

サンリオでは、新たに開設されたWindows Azureの日本データセンターをいち早く採用し、システム運用を開始している。

海外のデータセンターではなく、日本国内にデータセンターがあれば、レスポンスタイムで大きなメリットが期待できる。また、業種によっては個人情報や法務的な理由で海外のデータセンターやクラウドサービスにデータを預けられない場合もあるだろう。これらの企業にとってもWindows Azureに日本国内のデータセンターがあることは朗報だ。日本国内に東西2つのリージョンが設立されるため、災害時やトラブル発生時にも国内だけでディザスタリカバリを行えることも安心でき、レスポンスタイムの点で海外データセンターとのディザスタリカバリよりも素早い復旧が見込める。

「Windows Azureの日本データセンターを使うことによって、フェイルオーバーした場合のレスポンスタイムやサービスの縮退が短いことは大きな安心感につながります。また、海外よりも国内にデータセンターがあるということは、多くの企業で経営層にもその魅力が響きやすいのではないでしょうか」と大畑氏は話す。

さらにサンリオは、国内にデータセンターがあるクラウドサービスを活用することによって、レスポンスタイムの観点からクラウド利用を拡大することができると考えている。「たとえば、ファイルサーバーなどはフォルダーを開いてファイルを利用するだけでもレスポンスタイムが気になりますが、日本データセンターでレスポンスタイムの課題がなくなるのであれば、ファイルサーバーなどもWindows Azure上に置いて活用することができます。また、バックアップ用の運用設計を行うときには、バックアップにかかる時間が大きな要件の1つとなりますが、素早くバックアップできるのであればWindows Azureをバックアップ先として、ストレージの導入コストや運用コストを削減することが期待できます」(大畑氏)。

最後に、「ビジネスに対するサービスを提供する部門として、能動的に動くことが情報システム部門の重要な使命です。経営戦略などのニーズに対して、システムがボトルネックとなって制約を与えてしまうようでは、使命を果たすことができません。オンプレミスとクラウドの利点を使い分けながら、双方のメリットを最大限に経営戦略に役立てられるようなITサービスを提供したいですね」と大畑氏は語る。システムの見える化や細やかな監視によってハイブリッドクラウドを十分に活用し、日本データセンターによるレスポンスタイムのメリットでクラウドの利用範囲を広げようとする情報システム部門は、サンリオのビジネスを大きく加速させていく。

企業プロフィール
  • 株式会社サンリオ


    代表取締役社長:辻 信太郎
    設立:1960年8月10日
    資本金:100億万円(平成25年3月31日現在)
    売上高(連結):742億3300万円(平成25年3月期)
    従業員数:766名(嘱託・アルバイト等を除く 平成25年3月31日現在)
    概要:「スモールギフト、ビッグスマイル」を合言葉に、子供たちをはじめ、世界中のすべての人々に“仲良し”の輪を広めるソーシャル・コミュニケーション事業を推進。思いやりの心を伝えるキャラクターを創出し、それを生かしたギフト商品の企画・開発、コミュニケーション創出の場としてのテーマパーク運営にも注力している。