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MS クラウドOS時代のIT基盤の選び方―SQL Server 2014

SQL Server 2014[Relational Database Management System]
~さらに進化し、大量データの高速処理を可能に~

2014年上半期のリリースが予定されているSQL Server 2014は、「ミッションクリティカルなパフォーマンス」「あらゆるデータを使い慣れたツールで分析」「ハイブリッドクラウドへの対応」の3つを中心に開発が進められている。SQL Server 2014の新機能を中心に、次世代で求められるデータベースのあり方を考えてみよう。

OLTPをさらに高速化するインメモリ機能を標準搭載

2012年3月に登場したSQL Server 2012は、「ミッションクリティカルを託せる信頼性」「ビッグデータ対応のビジネスインテリジェンス(BI)」「アプライアンスからクラウドまで単一アーキテクチャ」の3つの柱を軸に開発され、多くの企業に採用されてきた。2014年上半期に登場予定の次期SQL Server、SQL Server 2014はマイクロソフトのほかのサーバー製品と同様にクラウドファーストの開発で、クラウドサービスやデータセンター運用で得られた知見を製品にフィードバックすることで、SQL Server 2012の製品コンセプトをさらに進化させている。

最初の柱となる「ミッションクリティカルなパフォーマンス」では、さらに可用性を高めつつ、大量データをより高速に処理することが目指されている。特にオンラインビジネスなどでは、パフォーマンスの低下が売り上げロスや販売機会の損失に直結することが多いため、ダウンタイムが発生しないことはもちろん、アップタイムの中でいかに高いパフォーマンスを発揮して大量のトランザクションを処理できるか求められているのだ。

SQL Server 2014では、コードネーム「Hekaton」(100倍)と呼ばれるインメモリOLTP機能が標準搭載される。インメモリ化することでOLTP(オンライントランザクション処理)を10倍高速化。さらに、ボトルネックとなるT-SQLのインタプリタ言語をネイティブコンパイルすることで10倍高速化し、論理上10×10で100倍の高速化を目指している(カタログ上では10~50倍のパフォーマンスアップとされている)。実際にCTP1 (Community Technology Preview 1) を早期導入した企業では、SQL Server 2008で1秒間に1万5,000件のクエリー処理が、SQL Server 2014のインメモリ機能によって1秒間に25万件のクエリーを処理できるようになり、16倍の高速化を実現しているという。

SQL Server 2012以降では、高可用を実現する「AlwaysOn」機能が提供され、プライマリに1台、セカンダリに4台の最大5台の冗長化が可能となっている。SQL Server 2014で提供される進化したAlwaysOn機能では、セカンダリが8台に増え、最大9台の冗長構成とすることができ、より可用性を高められる。

データの取り込みを容易にし使い慣れたExcelで分析可能に

ビッグデータなどのあらゆるデータに簡単にアクセスして、分析できることもSQL Server 2014の特徴の1つだ。ソーシャルメディアやWindows Azure Marketplaceのデータプロバイダーで公開されているデータにアクセスしたり、HadoopベースのWindows Azure HDInsight Service やHDInsight Serverを使って、使い慣れたWindowsの操作性でビッグデータにアクセスしたりすることもできる。また、Parallel Data Warehouse(PDW)に提供されるクエリーエンジンの「PolyBase」では、非リレーショナルデータとリレーショナルデータを簡単に結合することが可能で、ITの専門家でなくてもビッグデータを簡単に扱うことができる。

SQL Server 2014では、だれもがビッグデータを扱えるようにすることを目指し、OfficeやExcelを使って簡単にビッグデータを使った分析が行えるような機能も数多く搭載される予定だ。ビッグデータを活用できるデータサイエンティストの不足が懸念されているが、データサイエンティストは統計や数学のプロでビジネスのプロではないため、ビジネスのプロである現場の社員がビッグデータを活用できるようにしたほうがよいというのが、マイクロソフトの考え方でもある。

SQL Server 2014では、Power Queryで社内や社外のWebなどのデータに簡単にアクセスでき、データをインメモリエンジンであるPowerPivotに集約して、Power Map、Power View、Excelで利用できる Power Date Mining、Office 365で利用できるPower Q&Aなど、さまざまな方法でデータをビジュアル化することができる。これらの機能を使えば、使い慣れたExcelやOffice 365を使って各種データを高度に分析できるうえ、クラウド上でのデータ分析もサポートするほか、モバイルデバイスでもデータ分析できるツールを提供する予定となっている。また、SharePointとの統合も強化され、Excelで分析・モデル化したデータをSharePoint上で共有したり、SharePointの管理コンソールの一部として利用したりできる「PowerPivot管理ダッシュボード」を使った管理も行えるようになっている。

ハイブリッドクラウドに対応し一貫したデータプラットフォームを展開

「クラウド移行ウィザード」もSQL Server 2014で強化され、オンプレミスのSQL ServerをWindows Azureに簡単に移行することが可能になる。ハイブリッドクラウドを構築した場合でも、Windows AzureとSQLデータベースサービス、SQL Server 2014で一貫したデータプラットフォームを展開し、管理コストの低減や目的に合わせたシステムのスケールアップ/スケールアウトを行うことも可能となる。また、バックアップコマンドでWindows Azureなどのパブリッククラウドを選択できるようになるなど、Windows Azureにネイティブで対応する機能も強化されている。

前述のAlwaysOn機能は、Windows Azureでも正式サポートされているため、オンプレミスだけでなくパブリッククラウドにSQL Serverのセカンダリを置くことで、容易に高度なディザスタリカバリ(DR)対策を行うことが可能だ。これらのバックアップ機能を活用すれば、Windows Azure仮想ネットワークでセキュアにデータのやり取りを行うことができ、稼働中のオンプレミスのSQL Serverではなく、パブリッククラウドのWindows Server上のSQLデータベースサービスでデータ分析やさらなるバックアップを実行させることが可能だ。オンプレミスのSQL Serverに負荷をかけたくない場合や、社外でもデータを活用する場合などに有効となり、クラウドの利点を活用しながらオンプレミスと同じデータをビジネスに役立てることが容易となる。

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