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シームレスに利用可能な日立のフェデレーテッドクラウド環境

重要な業務システムを社内データセンターからパブリッククラウドに移し替えようとする企業にとって、自社サイトからクラウドまでの通信経路をいかにセキュア・低遅延・広帯域にするかが重要な課題になっている。そうしたニーズに応えるための仕組みとしてマイクロソフトが2014年に発表したのが、Microsoft Azureに閉域網(専用線)経由で接続できるMicrosoft Azure ExpressRoute。Network Service ProviderモデルとExchange Providerモデルの2つの形態がある。日本国内ではインターネットイニシアティブがNetwork Service Providerモデルを提供。そしてエクイニクス・ジャパンがExchange Providerモデルでサービスを提供する。

シームレスに利用可能な日立のフェデレーテッドクラウド環境

日立のマネージドクラウドから
Microsoft Azureを低遅延・広帯域で使える

日立製作所
中村 輝雄 氏

株式会社 日立製作所
情報・通信システム社
クラウドサービス事業部
事業主管
中村 輝雄

日立製作所(以下、日立)は、フェデレーテッドクラウドを中心とした新たなクラウド基盤を2014年8月26日に発表。2015年1月15日には、マイクロソフトが国内提供を開始した閉域網接続サービス「ExpressRoute」(*1)に対応して、マイクロソフトのパブリッククラウドであるMicrosoft Azureとの間を低遅延・広帯域の専用線(*2)で結ぶ「クラウド間接続サービス for Microsoft Azure」を提供開始した。

 

「日立はクラウド関連商材を体系化し、高信頼・高セキュリティのクラウド環境をお客さまに提供してきました」と振り返るのは、同社のクラウドサービス事業部 事業主管の中村輝雄氏。今回のフェデレーテッドクラウドは、お客さま環境のプライベートクラウドや日立が運用管理するマネージドクラウド、Microsoft Azureをはじめとしたパートナークラウドなどの複数クラウドを適材適所に組み合わせて、シームレスな連携を可能とするものと説明する。これにより、顧客のデータセンター/サーバールームに置かれたプライベートクラウドから日立のマネージドクラウドやMicrosoft Azureをはじめとしたパートナークラウドへとスムーズに連携できる点が特長。

 

プライベートクラウドとの連携を大きくうたっているのは、顧客のすべての業務システムを外部のクラウドに移すのは現実的ではないためだ。また、パートナークラウドとの連携は、ソーシャルメディアやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)のビジネス活用で求められる「世界のどこで発生するデータも効率良く集められること」と「スケールアウト方式で能力を自在に拡張できること」の要件に応えることがねらい。中村氏は、「自社のクラウドの特性を発揮しつつ、さらに、Microsoft Azureのようなグローバルサービスとのパートナーリングを推進するというのが、当社の戦略です」と強調する。

 

光ファイバーと自社WDM装置で低遅延・広帯域を実現

ただし、機能的には複数のクラウドを連携することができても、ネットワークの能力が低くてはエンタープライズレベルのニーズに応えることはできない。そこで、日立のフェデレーテッドクラウドでは、首都圏にある日立のデータセンター間のネットワークを光ファイバーと自社の波長分割多重通信(WDM:Wavelength Division Multiplex)装置の組み合わせで再編。遅延については数ミリ秒、帯域幅については最大320Gビット/秒(光ケーブル1本あたり)という高い能力を実現した。ストレージエリアネットワーク(Storage Area Network)用のファイバーチャネル(Fiber Channel)フレームもそのままの形でやり取りできるので、将来は性能保証型のストレージシャドーイングをサービスとして提供する可能性もあるという。

 

さらに中村氏は「Microsoft Azureも光ファイバーとWDMで日立のデータセンターと接続されているので、遅延量は数ミリ秒です」と高速性をアピールする。ExpressRoute経由の場合、利用できる帯域幅のサービス品目は200Mビット/秒、500Mビット/秒、1Gビット/秒の3種類を用意。日立のマネージドクラウドとMicrosoft Azureが接続されたクラウド環境を、シームレス、かつ、セキュアに相互利用することができる。

 

このほか、サービスインテグレーションとしては、高品質のクラウドシステムを顧客が短期間に設計・構築できるようにする「日立クラウドデザインパターン」が提供される。「当社が自社システムをクラウドに移行したときの経験と知見をベースに、クラウドで高可用性システムや負荷分散システムを実現するにはどうしたらよいかを標準化やノウハウとしてまとめました」と中村氏は語る。日立では今後、Microsoft Azureなど、パートナークラウドに精通したエンジニアの育成にも力を入れていく方針であり、各クラウドの特性に応じて最適化されたフェデレーテッドクラウド環境の構築・提供が期待される。

 
クラウド戦略プロジェクトを立ち上げ、フェデレーテッドクラウドを中心とした新たなクラウド基盤を、日立グループ一体となって開発・提供
日立のマネージドクラウド、顧客側のプライベートクラウド、パートナークラウド(Microsoft Azureなど)を連携
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*1 ExpressRoute: インターネットの公衆回線網を経由せずに、Azureとユーザーのデータセンターや社内システムとを専用線でつなぐ接続サービス。ネットワーク帯域が保証され、高い信頼性と強固なセキュリティ環境下でAzureを利用できるようになる。
*2 専用線接続: 本専用線接続では、エクイニクス・ジャパン株式会社が提供する「Equinix Cloud Exchange」を活用している。

 
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