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Cloud Days 2015|BigData ビジネス価値を提供することがビッグデータとIoTの本来の目的

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日本IBM

ビジネス価値を提供することが
ビッグデータとIoTの本来の目的

ビッグデータ分析もモノのインターネット(IoT)も、ただ使ってみるだけでなく、ビジネスでの価値を得られてはじめて成功といえる──。このような考えからIBMは業務課題の整理から始める課題志向型のプロセスを勧める。その核となるのが、予測・実装・評価を繰り返す試行サイクル。またIoTの実務への適用ではアナリシス(分析)の役割も大きい。

業務課題を整理して仮説を立て
予測モデルの出力を試行で確認

日本アイ・ビー・エム株式会社
IBM アナリティクス
アナリティクス製品営業・DB2 /
Netezza / InfoSphere / ECM
統括部長
森 英人 氏

ビッグデータもモノのインターネット(IoT)も、技術的にはすでに実用化の域に到達している。メディアでも報じられているように、先進的な企業・団体では実運用も始まった。その一例として日本IBMの森英人氏がセッションの冒頭で紹介したのが、洋上で不正な取引をしている船舶を発見するためのシンガポール政府のシステムである。

「このシステムでは、船舶の位置を適切なメッシュサイズに“丸めて”から分析することによって、処理に要する時間を現実的な範囲に抑えています」と、森氏。このほか、リアルタイムの交通管制、クレジットカードの不正使用の検知、購買行動を予測したリコメンデーション(推奨)など、ビッグデータ分析が活用されている事例を紹介した。

また、PSAプジョーシトロエンは車載センサーからのデータを活用するConnected Car サービスを開始。自社の車両・保守管理に利用するだけでなく、保険会社やレッカー会社に提供してのマネタイズ(現金化)も始めているという。

このような先進的事例の多くに関わってきたIBMは、その一方で、テクノロジーを自己目的化させてはならないと考えている。「『データがたくさん溜まってきたので分析ツールで試しに掘ってみたものの、思わしい結果が得られずにがっかりした』という体験をされた人も多いのではないでしょうか」と、森氏。ビジネスに役立つ価値を引き出すには、

(1) 業務課題を整理して仮説を立てる(plan)

(2) 予測モデルを試してその成果が妥当なものかを確かめる(predict)

(3) 適切なインフラの上で業務に予測モデルを組み込む(act)

(4) モニタリングによって精度を維持・向上させ、足りないデータは随時追加する(capture)

という“文脈”に沿ってビッグデータと向き合うべきだと指摘した。

このplan-predict-act-captureサイクルを回すためのプラットフォームには、まず、モデルの予測値と実システムの出力を比較・判定する可視化の仕掛けが必要になる。また、「プラットフォームを素早く構築できる」「得られる価値をスコアとして定量的に測定できる」「既存の業務プロセスやデータにもうまく適用できる」といった要件を満たせるものであることも重要だ。

そうした条件を満たすビッグデータ分析用のプラットフォームとして森氏がセッションで紹介したのが、IBM BigData Reference Architectureである。

このアーキテクチャはcapture(収集)→predict(予測)→act(適用)という流れになっており、「外部データの情報統合&ガバナンス」「Cognitive Fabricで予測・分析」「結果のビジネス活用」といった機能を複数のIBMソフトウエア製品で提供。その特長を、森氏は「クラウドとオンプレミスの両方で同じ機能が用意されているのが、IBMならではのポイント。クラウドで迅速・低コストに試行した後、オンプレミスにそのまま移行できるため、capture(収集)→predict(予測)→act(適用)のサイクルに適した環境を提供できるのがIBMの強みです」と説明した。

「IoT×アナリティクス」で新たな
イノベーション創出とビジネス価値最大化

日本アイ・ビー・エム株式会社
ソフトウェア事業本部
Analytics事業部
鈴木 徹 氏

IBMは、IoTについても「テクノロジーは道具であって目的ではない。また、アナリティクスを組み合わせることにより価値が増大する」と考えている。「お客様にIoTをご紹介するときは、そのお客様のビジネスは何なのか、そこにIoTをどう役立てていただけるのか、というところから話を進めるようにしています」と、日本IBMの鈴木徹氏。最近は、「メーカー×オペレーターの役割モデル」をIoT活用の具体的な切り口として提示するようにしているという。

メーカーとは、モノ作り企業なら企画や設計を担当するプランナーやデザイナーなど。オペレーターは商品を使ったりメンテナンスしたりする現場のユーザーだ。リアルタイム性と双方向性に優れるIoTの技術を応用すれば、オペレーターの気付きや現場で得られた知見を設計者にリアルタイムで送り、設計者が作り直したものをビジネスの現場に素早く反映させるといった使い方が可能。

 「サービスなど、物理的なモノが介在しない場合も、ビジネスの最前線で得られた気付きをバックオフィスにリアルタイムで届けることができます」と、鈴木氏は説明した。

もっとも、IoTの世界では短時間に大量のストリームデータが発生する。そのままのかたちで取り込むと設計者やバックオフィスが消化不良を起こしてしまうことは確実だ。「そこで、IBMは、モノから送られてくる大量のデータをうまくビジネス価値に変換できる製品群として、IBM IoT Foundationおよび連携して稼働するアナリティクス製品群をご提供しています」と、鈴木氏。膨大なストリームデータの中から有用なものだけをアナリティクス(分析)によって取り出し、人間に分かりやすいかたちで示すことによって、企業や団体はイノベーションを実現しやすくなると紹介した。IoTだけでも価値はあるが、そこにアナリティクスを組み合わせることにより、更なるイノベーションを生みだすということだ。

では、IBMが関わったビッグデータ分析/IoTのソリューション事例では、具体的にどのようなビジネス価値が得られているのか。

例えば世界的なジェットエンジンメーカーとして知られるプラット・アンド・ホイットニーは、エンジンのセンサーデータを基に、旅客機の経済的な運航方法を助言するコンサルティングビジネスを開始。リアルタイムの高空気象データを気象予測に活用しようとする構想も進んでいる。

また、事例としてスポーツビジネスの世界では、IoT時代に適したオープンな高速軽量通信プロトコルであるMQTTや非同期型メッセージングによって従来は不可能だった超高速のITサービスを紹介。ウィンブルドンテニスの試合結果を17万台超のスマートフォンに1秒以内に送り込んだり、ボートレース用の高速ボートからの0.2~0.5秒毎の80項目ものセンサーデータをリアルタイムで解析し予測結果を人間に分かりやすいアラートとして表示したりといった成果を上げている。

ビッグデータとIoTに強いIBMの講演とあって、立ち見も出るほどの盛況。皆、商用サービスの事例を食い入るように見つめていた。ビッグデータによるイノベーションを真剣に考える参加者に、IBMの提言は大変参考になったようだ。

お問い合わせ
  • 日本アイ・ビー・エム株式会社


    TEL 03-6667-1111 (IBMグループ番号案内)
    URL https://www.ibm.com/jp/